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独断専行の奈良案内(8)

○○県立○○高校

 ○○に同一の名前が入る場合、その県では一番の歴史と伝統のある公立高校でエリート校である場合が多い。しかし都、府、道にはこのことはあてはまらない。つまり都立東京高校は存在しない。愛知・宮城もそうであって大都市に共通の傾向のようだ。○○高校はあっても私立の場合もある。やはり○○県立○○には特別の響きがある。

 さて平城ニュータウンの私の団地の真向かい徒歩3分のところに○○に奈良が入る学校がある。といっても去年の春からで、それでは新築移転かというとそうでもない。

 ここ30年ちょっと、ここには奈良県立平城高校があった。私事になるが、わが愚息が通った高校である。徒歩3分にもかかわらずしょっちゅう遅刻していた高校である。偏差値は県で4,5番どころの高校である。奈良高校がここに移転して来たために閉校になりました。この移転は現象から見るとまさに「乗っ取り」であり、校舎設備はほぼ平城高校のをものをそのまま流用している。平城高校はというと、行き場を失い、消滅しました。

 移転理由は、奈良高校の校舎が耐震基準を満たさなくなったということと、全国どこでも問題となっている少子化である。歴史30年ちょっとの学校は消せても○○県立○○はつぶせないということか。もと父兄としては伝統校の横暴さを感じなくもないが、息子は「べつに」ということらしい。バス停は「平城高校」からなぜか「奈良高校」ではなく「朱雀2丁目」に変わった。

 それとともにうちの横を通る高校生の雰囲気が変わった。伝統校だけに男子はスーツが消えて詰襟になった。女子の制服も昔風のダサいものになった。

 私も実は50年以上前の奈良ではない○○県立○○高校出身である。半世紀ぶりに単語帳を見ながら歩く高校生を見かけた。「ソクラテスが・・・」という声も聞こえてきて懐かしさもある。しかしよく注意してみると大半がどーしようもない会話とじゃれ合いで、われわれもそう見られていたんだな、という認識を新たにした。

 高校生諸君! 君たちは観察されているのだぞ。


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