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人類とAIとの付き合い方は渋谷のギャルが教えてくれた【セルフィー展の開催を終えて】

<2024/6/20 修正>
それは私にとって初めての展示であり、かつ初めてのプロダクト開発のキモの部分を担えた経験だった。 渋谷駅から2分。センター街の入口で開催した「セルフィー展」は自撮りの様々な在り方を提示する、実験的なセルフィー展示として、様々なセルフィー装置の、体験型展示だった。

たった2週間足らずの会期の中で、来場者数は2500人以上。 展示を目当てに来ていただいた方々はもちろん、偶然目の前を通りかかったインバウンド旅行客の方々、たまたま渋谷に遊びに来ていた高校生大学生、 面白いネタを日々探しているTikTok クリエイターさんたち、そして極めつけは16時を過ぎるとゾロゾロとセンター街に集まってくる渋谷ギャルの方々。

普通に生きている間には、絶対に出会わないであろう属性の人びとが、同じ場所で同じセルフィー装置を体験している。ダイバーシティーという言葉は、この空間のためにできたのではと思うほど、 普通に生きているだけでは出会わないであろう様々な属性の方々が混ざり合って空間だった。 会期中には近くの高校のラグビー部が練習帰りにこぞって体験したり、ラジオの生放送取材で取り上げてくださりと、今思うと非常に濃い2週間を過ごしていた。

そんな非常に印象深い2週間の中でも特に印象に残っている出来事が、今回初公開した「未来プリ/FUTURE TREND SELFIE」を体験した渋谷ギャルたちの反応だ。AIを活用したプリ機であるこのコンテンツを体験するギャルから、これからの人類とAIとの付き合い方の方向性を照らしてくれた気がしたからだ。

「未来プリ」とは、過去に出版されたギャル雑誌を学習したAIが、未来のプリクラポーズを予測して教えてくれるセルフィー装置、つまり未来の流行りを教えてもらいながら撮影できるプリ機だ。AIのトレンドポーズを予測が完了すると、いつどんなポーズが流行るのかのポーズ説明と、どうしてそのポーズが流行るのかの流行背景を音声と文字でアナウンスで教えてくれる。あとはアナウンスに従ってポーズをとって撮影するだけ。時代の最先端であるAIが平成の懐かしさの象徴であるプリと融合したセルフィー装置だ。

渋谷センター街とAI。プリ機とAI。まだAIそのものとの付き合い方が模索されている最中の今、これらの異色の組み合わせが来場者の方々に受け入れてもらえるのか、楽しんでもらえるのか。絶対に口には出せなかったけれど、正直不安な気持ちのまま開催まで漕ぎ着けた。ところが、会期が始まるとそんな心配は一切不要だったのだと気付かされた。むしろ渋谷で開催することが正解だったとすら思えるほどだった。

AIと人類をつなぐギャル

最初にその現象を目撃したのは会期3日目の木曜日の夕方。学校を終えてセンター街に遊びに来た学生二人組のギャル。「無料でプリ撮れるんだって!やってこ!」と1人のギャルが相方を誘い来場。「未来のポーズだって!ウケる!」と、勢いそのままに撮影ブースへと吸い込まれるように入っていった。いざカメラを向けられるとまるでそれが当たり前かのようにAIのアナウンスに従ってポーズをとっていた。ギャルたちはAIに撮影を指示されるプリ体験に終始「ヤバい」と言い続けていたが、その表情は困惑というよりどうやって盛れるようにするか、つまりは彼女らの日常の延長の顔に見えた。

撮影を終えて未来プリを出ようとした時、出口に備え付けてあったプロジェクターによって投影された未来のプリ帳に自身の写真が写っていることに気づく。「これヤバい!」「もう一回やろ!」。そこから20分近く未来プリで遊び続けてくれた。

この現象は何もこの2人組ギャルに限ったことではなかった。セルフィー展4日目以降からはTikTokでの投稿を見た方々がこぞって来場してくれた。彼女らも同じようにAIの示すポーズを日常の延長上のように楽しんでいた。

学校や会社などの組織では規約やAIの利用を認めないルールを敷いているところも多い。せっかく人間の作業をかどらせるために生まれたAIにもかかわらず、それが人間のせいで受け入れられていないことには違和感が残る。

得体の知れないAIの扱いをどうすればいいのかわからないから、距離を置きたくなる気持ちはもちろん理解できる。けれども、そんな人たちにこそ渋谷の彼女らの振る舞いを見てほしい。初めてのテクノロジーとの付き合い方はなにも縛りだけではないはずだ。

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