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本が心を癒す理由とは。

「ブックセラピー」という言葉を知っていますか?
読書療法やビブリオセラピーともいわれているこの言葉。薬の代わりに本を処方することで心と身体を癒す心理療法のひとつです。
日本だと心の治療となると、薬やカウンセリングが一般的な中で、本を処方することで心を癒していくということが、イギリスをはじめ海外では実際に医療の現場の中で取り入れつつあるというのです。

本を読む人はなんとなく、本が自分の力になる、本が癒してくれる、ということを感じてはいるものの、なぜ本が心を癒すのか、と問われると少し悩んでしまうことが多い気もします。
今回はその根拠について考えていきます。

本を読む時の心の動きとして次のようなことがあるといわれています。

追体験
(登場人物に共感)

感情の解放
(溜め込まれた感情が解放)

洞察
(登場人物の状況を自分自身に適用)

普遍化
(自分だけが問題を抱えているのではないと実感)

投影
(自分自身を振り返り、未来に向けて意味づける)

物語の世界に自分を照らし合わせ共感し、物語に感情を揺さぶられることに合わせて普段溜め込んでいたモヤモヤする感情からも開放されることで、心が癒やされることがある。
物語として客観視しながらも自然と自分自身とも当てはめて考えていて、登場人物に行動モデルを求め、自分自身の抱える問題の解決の手がかりを得る。
だからこそ、本は心を癒やす効果があるのです。

加えて、悩んでいるときは、ついついそのことばかり考えてしまい、他のことを考えるゆとりが無いことが多いような気がします。木を見て森を見ず状態。
視野が狭くなってしまい、広い視点で考えてみれば見えてくる課題もストレスや不安で今何をすればよいのか、どこに向かえばよいのかが想像できなくなってしまうのです。

そんなときに本がチカラになります。
物語を読みながら物語の世界を想像すると同時に、現実世界でも想像力が膨らみ、悩んでいることを俯瞰してみることできるようになります。俯瞰して見れるようになるからこそ、悩みの解決の糸口が見えてくるのです。

そういった効果から、本を用いた心理療法が言われているのです。

ここで少し、私が母に本を贈ったときのお話しようと思います。
私の母は、娘の私から見て父との関係にモヤモヤ悩んでいるように感じました。娘である私たちが家を出て、子育てが落ち着いて父とふたりの時間が出来て。これからどう過ごしていくのだろう、離婚するのかしないのか、とモヤモヤしているようでした。そんなことを薄々感じていた私は、母にとある本を贈りました。
その本は、垣谷美雨さんの「もう別れてもいいですか」です。58歳の主婦である主人公が夫との関係に苦しみ、離婚に踏み切ろうとするお話です。

読み終えた母からこんな連絡が届きました。

「長くかかりましたが『もう別れてもいいですか』読み終えました!主人公はママだね、出だしからママの生活を描いてくれてる感じでビックリした~ ということは、自分だけじゃ無いんだ、こんな思いを抱えているのは…と思いました。読み進めていくうちに、自分自身を客観的にみることが出来たと思います。主人公は離婚を選びましたが、正直、自分は、なんかちょっと違和感も感じました。
えりかがママにこの本を差し出したタイミング、高校時代の親友との十数年ぶりの再会などなど、色々考えさせられる出来事があり、ママらしさを考えるきっかけとなりました。ありがとう。」

このような本を読んだときに感じる心の動きを通して、直接課題を解決する訳ではなくても、生きやすくなるきっかけは作っていけると思うのです。

・・・そんな本の可能性を信じて、BOOPYという活動を行っています。BOOPYはブックセラピーの略。本の力を信じて、本が生きづらさに寄り添うことができればと悩みに対して本を処方しています。
まだまだ社会実験。
ぜひあなたのお悩みも聞かせてください。

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