母の家を片付ける その15 和紙屋さんに教わった、ひとりで簡単に襖を貼る方法
片付けたり捨てたり、エネルギーの必要なことばかりが続いていますが、たまにはほっこり楽しい話題を。
襖貼り。
古びた和室を寝室にリメイクしてあげようと考えたとき、最初に思ったのが襖と障子の張替えでした。業者さんに頼むと結構なお値段がかかる。
さらに、障子紙や襖紙に凝りだすと、これまたかなりの費用になってしまう。ということで、以前私が中古マンションを買ってリノベした時に、和紙屋さんに教わった方法で、襖を貼ることにしましたよ。
…と、楽しそうに書き始めてはいますが、いろいろ想定外のこともあってそれなりに大変でした。でも、想定外部分をちゃんと押さえれば、女性一人でも襖、簡単に貼れます。その方法です。
1枚の襖紙ではなく、複数の和紙を張り合わせる
この写真は、うちの襖。行灯紙という和紙を全判で買ってきて、張り合わせています。この方法を教えてくれたのはこれを購入した和紙屋さん。こうした方法で、和紙を和室の壁全体に張り込んだりすることもあるそうです。
方法は簡単
1,和紙が重なる部分は「水切り」という方法で、手で裂いておく。カッターやハサミで切ってはダメー。水切りの仕方はこちら。
http://www.ozuwashi.co.jp/html/page11.html
2,糊はホームセンターで「壁紙用」として売られているものを使う
3,壁紙用糊を刷毛かペンキローラーで和紙の裏にまんべんなく塗る
襖の枠ははずさずに、和紙を襖に張り込んでいく。和紙の重なり部分は刷毛で糊を足してよく押さえる
枠の部分はヘラでよく抑えて固定させる。ある程度乾いたらカッターで余分な部分を切り落とす
これ、右側の新聞紙のところで和紙の裏に糊を塗ってます。この方法だとひとりでもシワなく貼れる。しかも、好きな和紙を選んで色のコーディネイトもできる。
この時は行灯紙のみでしたが、このあと居間の襖を青い和紙3色でストライプに張り替えたりして楽しい、楽しい。
費用も、襖紙として売られている大判の和紙を買うよりはずっとお手軽にできます。やっぱりね、襖の大きさに和紙を漉くって大変な作業なので、本格的なふすま用の和紙はとってもお高いのです。
お手頃なホームセンターで売られている襖紙は、鶴が飛んでたり山霞がたなびいていたりでトホホなので、個性的な色や柄を探して楽しみたい人にもおすすめ。
行灯紙は厚手なのでそのまま糊を打って貼れますが、薄手の和紙を貼るときは、予め霧吹きをまんべんなくかけて、紙を伸ばしておいてから糊を打つと皺になりません。乾きながら皺が伸びるので、貼り上がりがピンとなって気持ちいいです。水を含んだ薄手の和紙は、ひとりで扱うのが難しくなっていくので、ひとりでやるならちょい厚手のものを選ぶほうが無難かも。
ぜひやってみてー!
紙を買いに片道1時間。。。。がコロナで。。。。
さて、こんな感じで襖貼りは得意中の得意だったため、母の寝室の襖もちょちょいのちょいとできると自負していました。
派手好きの母ゆえ、ちょっと個性的な襖にしてあげようと、頭の中に計画もばっちり。あとは紙の調達だけ。
だって襖、もうこんな感じなので。寂しいよ。きれいにしてあげよう!
というところで、ハタと。コロナ禍ですよ。
私の周囲で、和紙の調達ができるところは、日本橋や銀座の老舗和紙店。ただ、本格的な和紙は小ぶりでもなかなかのお値段となるので、お手頃な雲竜紙などが入手できるのは新宿の世界堂。
い、いきたくない。
いま、新宿にも銀座にも、このためだけに一時間かけてでかけていく気力がない。
というわけで、ネットでいろいろ探し出すも、やはり紙は見て触ってみないとよくわからないわけです。ちなみに新宿の世界堂、紙系の通販は数が少なくて対応していなかった。残念。
そこで、とりあえず一番近い吉祥寺のユザワヤに行ってみる。
あかん、洋紙しかありません。
困った。
そうだ、立川に世界堂があったはず!
せっせと電車に乗って片道10分の立川の世界堂へ。。。。。。。行ってはみたものの、新宿店とは雲泥の品揃え。これはあかん。
でも、母の部屋の襖を貼るためだけに、私の貴重な時間を何日も襖紙探しには費やせません。
仕方なく立川の世界堂で、ラシャ紙の全紙を買いました。まあ、紙を貼るのは版画や絵画で得意中の得意だし、なんとかなるじゃろ?
襖3枚分、全紙8枚でまかなえると計算して、費用は
1.544円。
やす!
糊が198円。 やす!
表装習ってたときは糊も紙も布も高くて高くてアップアップ状態だったけど、ま、こんなんでもなんとかなるかね。ラシャ紙最高!
貼るよ、貼るよ
洋紙がまったく言うことをきかないの図
ニュアンスの違う赤を3枚と2枚。白を3枚。これをどうやってアレンジするかデザインを決めていきます。
ただ紙を貼るだけではストライプになって、楳図かずおのTシャツみたいになってしまうので、これを大人っぽく個性的にするために、赤いラシャ紙に黒の墨と、銅色の墨、いつも絵画に使っている金のアクリル絵の具で模様をつけていく。
この配分を決めて寸法に合わせて水切りをして、母の家に持ち込みました。
貼り出した。
こんな感じ。
表装や版画の和紙貼りもしているから、道具はなんでも揃っとる。ほいほいさっさで貼れるかと思いきや。
甘かったよ。
ラシャ紙。
まったく言うことを聞きません。貼りにくい。皺寄る。扱いにくいこと極まりない。
和紙って
和紙ってやっぱり偉大な存在だったのね。
さらに床にうずくまってのひとり作業で、足腰の負担半端なく。あれれ? うちで貼ったときはぜんぜん楽勝だったのになぜなんだろう。
とにかく、みなさん、もし襖を貼るなら和紙で。
和紙ならさほど苦労なくちゃんと貼れます。よろしくです。
苦労したけど仕上がりはそこそこ満足
というわけで、思いのほか時間がかかり疲労感もMAX。しかもラシャ紙は皺がよりやすく、仕上がりがパリッとならない部分もあってちょい不満も残ったのですが、まあ、それなりに仕上がったのではないでしょうか。
柄のついている部分は、1枚に大ぶりの刷毛で自由に模様を書いたものを、水切りで裂いて使っています。
変にラシャ紙が縮んで隙間が出来てしまったため、急遽手持ちの金のもみ紙を加えたら、さらにゴージャスになったお。
ちなみに、引手は最初にはずしてから紙を貼り、最後に放射状に切れ目を入れて、またはめ込みます。
小さな釘で止まっていることが多いので、この釘をなくさないように注意です。(一つなくしてしまった。が、まあ、なんとかなる)
以上、襖の張替えでした。
障子も貼った。こちらは剥がすのが大変で。。。。。書こうと思ったけど疲れたので今日はこのへんで。
ちなみに、襖は紙の上からペンキも塗れます。水性塗料をローラーで塗ってもいいんだよ。いろいろ模様替えして楽しみたいですねー。
ではでは、また続く
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