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「ボバ・フェット」1〜3話までの展開を振り返り

昨年末より「スター・ウォーズ」のドラマシリーズ「ボバ・フェット」が配信開始されました。最新の第3話までの展開を振り返ります。内容はネタバレを含みますので未視聴の方はご注意下さい。

個人的には銀河帝国時代の全盛期の活躍が見たい!
今後の回想パートに期待。

物語はタトゥイーンを舞台に描かれる二つの時期

物語はメインストーリーと回想で語られます。一つは「マンダロリアン」シーズン2のポストクレジットシーン直後からの展開、もう一つはサルラックからの生還後の出来事です。長年語られてきた物語との差異は大きく、特に古参のファンはその内容に戸惑った方も多かったのではないでしょうか。

ボバが仲間になったタスケンは北部デューン・シーの部族?

タトゥイーンの過去作ゆかりの土地土地で物語が展開します。しかしながら徒歩やバンサでの移動はちょっと無理があるような・・・。

〈A〉はメインパート、〈B〉は回想パート

カミーノやジオノーシスのフラッシュバックは新三部作&クローン・ウォーズ世代には心を打つ演出だったのではないでしょうか。
逃げた暗殺者を追うフェネックにボバが掛けたセリフ「死ぬなよ」は誤訳で、正しくは「生け捕りにしろ」です。キャラクターの性格描写に関わるので字幕修正&録り直して欲しいです。

回想パートは「アラビアのロレンス」のような展開

パイクのマスクオフは「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」のモヤモヤが晴らされました。ニクト達がたむろしていたあの場所も話題に。タスケンとの絆を深めたボバはイニシエーションを経験し新たな人生を歩み始めます。

ニクト族にはカジェインサニクトとカダッサニクトという2つの種がある

ファンの間ではモッズ風のギャングと街中のチェイスが物議を醸しました。
このエピソードではまたしても台詞の誤訳があります。冒頭、ドロイドの8D8の説明にあるクラトゥイニアンの組織に分け与えられた縄張りは「デス・スターの一部」ではなく、「upper sprawl」=上層部(町の中心部を囲む崖の上の無秩序に開発が進むエリア)を指しています。こちらも意味不明なので字幕修正&録り直してほしいところです。
いよいよ物語が大きく動くのか、今後の展開に注目です。

ボバ・フェットは何者か

ボバ・フェットは1980年の劇場映画第2作「帝国の逆襲」に初登場。必要以上の見せ場は無く台詞も僅かですがインパクトのあるキャラクターでした。小説版でも「邪悪な賞金稼ぎ」という肩書きと「武器を装備した彼の装甲服は邪悪な戦闘集団マンダロア戦士が着用していたものだ。」という紹介に留まります。

講談社の翻訳版小説の「マンダロア戦士」については、当該段落末尾の注釈通り訳者が付け加えたもので、原文では「クローン戦争でジェダイ騎士団に敗れた悪の戦士たちが身に着けていたもの」となっています。(デス・ウォッチのアーマーがボバのそれに似ていたのはこの一文を活かすためとも取れます。)

今では別の世界線となった古いスピンオフ作品では、サルラックからの生還後はデンガーと行動を共にし、ソロへの復讐のため彼を追跡します。しかし復讐は果たせず再び賞金稼ぎとして銀河を渡り歩きます。まだ「ジャンゴ・フェットのクローン」という設定が生まれる以前でしたので現状とは背景が大きく異なります。
エピソード1公開の時点でも「アナキンの友達のキットスターがボバなのでは」という考察もあったほど彼の素性は謎だらけでした。

悪人ボバ・フェットは死んだ

本作は「九死に一生を得て生まれ変わった二代目ジャンゴ・フェット」として観るのが正しい見方だと考えます。「賞金稼ぎボバ・フェットの物語は一度終わった」とした前提を物語の起点に制作しているのではないか、という推測です。それは邪悪なキャラクターを主役に据えたくないだろうディズニーの意向や、悪人ボバ・フェットをヒーローとして描かず惨めな最期を与えた旧三部作制作時のルーカスの意志とも一致しています。

多くのファンが見たかった本来の「凄腕のマンダロア人の賞金稼ぎ」は「マンダロリアン」がその役割を奪ってしまった、という事もあると思います。かつてのオビ=ワン・ケノービの設定がクワイ=ガン・ジンとパダワンのケノービに分離したように。とはいえ「マンダロリアン」14話のタイソンでの無双する姿が素晴らしかったので、あのような大活躍を期待した方々も多かったのではないでしょうか。

ジェレミー・ブロックが演じたボバとテムエラ・モリソンが演じたジャンゴ
ブルーとシルバーのカラーリングは細身に見せる工夫?

「ジェダイの帰還」直後のお話だけに体型差も気になるところですが、そもそもボバのクローン素体であるジャンゴの時点でテムエラ・モリソンはかなりガッチリ体型でした。ジャンゴの配役は原作者ルーカス自身に因るので、その志は尊重すべきかなと思います。(それより問題は年齢?)ちなみに新三部作のクローントルーパーは顔出しシーンではテムエラ・モリソンとボディー・テイラーが表情を演じ、身体はCGでした。

「マンダロリアン」とは異なり、賛否が大きく分かれているように感じられる本作ですが、デイブ・フィローニが脚本を担当する第6話で化ける可能性もあるので今後の展開を見守りたいと思います。


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