見出し画像

「スター・ウォーズ:エピソード4 新たなる希望」のタイムライン

1977年公開の映画「スター・ウォーズ:エピソード4 新たなる希望」のタイムラインを辿ります。世界中で大ヒットした現在も続く人気シリーズの第1作です。古い作品ですが結末までのあらすじ全て書いてますのでご注意下さい。

CR90コルベットの船名については最新の設定による

まずは以前紹介した冒頭30分です。様々な展開がありますが、ルークとオビ=ワン・ケノービとの邂逅が第一幕のプロットポイントとなります。SFっぽいガジェットで彩られつつ情景や話の流れは神話やおとぎ話のようです。

続いて二幕の内容です。ハン・ソロが登場し、ルークは宇宙に飛び出します。映画開始1時間でオルデラン(があった宙域)に着きますが、一応設定的にはハイパースペースの移動で何時間も経過しています。(小説より「到着は0200だ」)

「スパイス」というワードが登場しますが、これは「デューン」というSF小説がその参考元になっています。物語の舞台が砂漠があることも含めてビジュアル面や設定の部分でルーカスに非常に強い影響を与えた作品の一つです。

デス・スターのトラクタービームに捕まってルーク達が図らずも敵の懐に侵入する形となり中盤のピークを迎えます。一幕とは全然違う無機質で機械的な雰囲気の世界にガラリと変わります。

第三幕ではキャラクター達がそれぞれの個性を発揮して窮地を乗り切り、ダース・ヴェイダーと対決の時を迎えたベンはルーク達の脱出のため犠牲に。
このあたりは「指輪物語」のバルログの場面に似ています。

フロド達を助けるためバルログと戦って命を落とすガンダルフ。
後に「白のガンダルフ」となって復活し、フロド達を支える。

「用心棒」「隠し砦の三悪人」など随所で黒澤映画の影響があるのは確かですが、それに限らず取り入れている要素は多種多様で「エピソード4」全体の物語の構造は実際にルーカスが影響を受けたと言われるトールキンの「指輪物語」が一番近いと思います。「デス・スターの設計図」が「一つの指輪」というわけです。

ルークは反乱同盟軍に合流、デス・スター攻略戦のシーンでクライマックスへ。
基地でのブリーフィングからデス・スター表面でのドッグファイトまでは一転してミリタリー色が強くなります。

空中戦のシーケンスに第二次世界大戦の記録映像を参考にした事は有名ですが、発進シーンや司令室の様子などは公開当時におけるリアリズムを感じます。ちなみにルークとトレンチ戦に挑むウェッジ役のデニス・ローソンは後に若いオビ=ワン・ケノービを演じるユアン・マクレガーの叔父です。

画像4
Xウイングは翼のついたドラッグスターのよう

敵味方の戦闘機のデザインは明確に差があります。反乱軍の戦闘機は実在の航空機のようであり、ルーカスが好きなレースカーっぽさもあります。一方の帝国軍は目玉に翼が生えたモンスターのようなシンボリックな造形です。

カラーリングは帝国軍は寒色系/反乱軍は暖色系と分けて悪玉と善玉を一発で識別できます。ライトセーバーの色とは敵味方が逆で面白いですね。

トレンチへの突入はアトラクションのようでもあり、戦闘機の空中戦というよりはカーレースの映像表現に近く、ルーカスのデビュー作「THX1138」のトンネルチェイスにも通じる疾走感があります。
私は幼少時のリバイバル上映のエピソード4がスター・ウォーズ初体験でしたが、このトレンチシーンを観たときの記憶は未だに強烈に残っています。

そして式典のシーンを挟みあっさりとエンドロールへ。

続く2作や新3部作も含めて、あらゆるスター・ウォーズ作品はこの「新たなる希望」のスピンオフと言えます。スター・ウォーズのルールは全てこの作品にありますから、出会い/キッカケがどの作品であるにせよシリーズを改めて追おうとするならこの作品から、というのがこの世界観を満喫する上でベストだと思います。

こちらの映像は「ジェームズ・キャメロンのSF映像学」という番組の一部ですが、ルーカスがスター・ウォーズを作った経緯や作品に込めたメッセージなどについて語っています。番組の内容をまとめた書籍版も出ていますのでお薦めです。
ルーカスが本来描きたかったエピソード7〜9についても少し触れられています。

他にも「スター・ウォーズ」に用いられているアイデアの数々については語り尽くせませんが、この続きは「帝国の逆襲」のタイムライン紹介にて。