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読書感想【宇宙はなぜ美しいのか】


村山斉:著


 有名な物理学者である、村山斉先生が宇宙はなぜ美しいのかということについて語っている本です。
私も宇宙は美しいと思いますが、理由なんて考えたこともありませんでしたね。
1054年に超新星爆発がおきて、藤原定家が明月記に書き残していたとは知りませんでした。

 宇宙にまつわる理論が美しい理由は「高い対称性」「簡潔さ」「自然な安定性」と3つだそう。
なかでも、物理学者が求める美しさの基本ともいえる概念が「対称性」だそうです。
宇宙は極めて対称性が高い空間、だから物理学者にとっては、たいへん美しい空間だといえる。
また、人間は左右対称のものを美しいと感じる傾向があるそうです。
なので、物理学者でない人たちも宇宙は美しいと感じるみたいです。
高い対称性のため、宇宙は美しいと感じるのですね。

 ニュートンの万有引力の法則やアインシュタインの一般相対性理論といった数々の理論が打ち立てられていき、宇宙のことがわかってきました。
しかし、もしたったひとつの理論で全宇宙の物理を説明できるとしたら。
シンプルな美しい法則を求める物理学者にとっては、「究極の統一理論」こそが大きな夢だそうです。
究極の統一理論ですか・・・なんとも壮大ですね。
でも、現時点では矛盾する理論同士があるみたいですし可能なのでしょうか?
究極の統一理論なんてものが確立されれば、物理学会がいっぺんするでしょうね。
確実にノーベル賞もらえるだろうな。

 「暗黒エネルギー」(ダークエネルギー)とは、宇宙に存在する正体不明のエネルギーです。
このエネルギーが宇宙膨張を加速させているそうです。
さらに「インフレーション理論」というものもある。
インフレーション理論とは、誕生から間もない宇宙が短時間のうちに倍々ゲームで急膨張したとする理論だそう。
ただ、インフレーションがどうやっておきたのかはわかっていない。
インフレーションをおこしたエネルギーは「真空エネルギー」と呼ばれるそう。

 暗黒エネルギーとインフレーションの二つがあって星や銀河や私たちが誕生した、とのこと。
インフレーションは星や銀河の種を蒔いた「お父さん」。
暗黒物質はその種を育んで星や銀河に育てた「お母さん」。
そうした両親のおかげで私たちが生まれたそう。なんか壮大ですごいですね・・・。
ただ、前述したように、この二つの正体はよくわかっていないので、両親とは生き別れの状態だという。

 さらには、この宇宙は無数に生まれているとする「マルチバース理論」なんてものもあるそうです。
この理論を否定する根拠がないそうですが、しかし宇宙が無数にあるとすると、私たちの宇宙は偶然に生まれたものであり、それでは物理学者として美しくないみたいなことを村様さんは言ってましたね。

 宇宙が無数に存在する・・・か。しかし、現時点ではそれを確認する術がないですね。
マルチバース理論は否定も肯定もできない状況ってことですかね。
宇宙が無数にあったらそれはそれでおもしろそうですが。

 宇宙の存在は必然なのか、偶然なのか。
いまの物理学はその境目に立っている、と村山さんは本書を締めくくっていました。
宇宙の存在が必然なのか、偶然なのかは物理学者にとっては重要なのかもしれませんが、私にとってはどちらでもいいことですね。
そう思う私は物理学者には向いていないようです。
物理学者である村山さんは宇宙の存在が必然であってほしい、そのほうが美しいからと思っているようです。

 この本を読んで、宇宙に対する理解が深まりました。
物理学者は理論の美しさにやたらこだわるということもわかりました。
求めているのが、「究極の統一理論」だという。
たったひとつの理論で宇宙のすべてをあらわすことができる。
そうすれば、物理学はもうすることなくなるんじゃないですか。
まあ、私は物理学者じゃないから心配する必要もないですけど。

 暗黒エネルギー(ダークエネルギー)とインフレーション理論や真空エネルギーの正体も気になります。
私たちの両親の正体を探るため、まず暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の正体を探っている、と村山さんは言ってましたね。
暗黒エネルギーの正体(ダークエネルギー)の正体がわかれば、両親の正体探しに一歩全身することができますね。

 暗黒エネルギーとインフレーション理論の正体がわかる日が楽しみです。

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