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問いの時間軸とは

アクションプランの立案を目的とした会議や授業、ワークショップなどで、「あなたは何ができますか?」という趣旨の問いを投げかけることがあります。

ここに時間軸を意識して問いを作ると、出てくる発言の性質や方向性が変わります。

下記3つの文章を見てください。

A:あなたは○○について、何ができますか?
B:あなたは○○について、明日から何ができますか?
C:あなたは○○について、1年間継続してできることは何ですか?

Aの問には、時間軸が明示されていません。

Bの問いは、「明日から」というアクションをするタイミングが明示されています。これにより、「本当に実行できることを考えて欲しい」というような、思考の方向性を伝えることが可能になります。

Cの問いは、「1年間」という期間を明示しています。アクションの継続性やインパクトについても考えてほしい場合は、このように「1年間継続」という時間軸を加えることで、意図が伝わります。

これはアクションの「内容」に限らず、アクションするために必要な「資源やリソース」を確認する問いのにも有効です。

A:あなたは、○○を実行するのに何が必要ですか?
B:あなたは、○○を明日から実行するのに何が必要ですか?
C:あなたは、○○を1年間継続して実行するのに何が必要ですか?
D:あなたは、○○を実行するのに、いま何が必要ですか?

Aの問いでは、時間軸が明示されていません。

しかしB~Dでは、それぞれ違う時間軸が設定されていますので、出てくる発言の内容や性質も違ってきます。

最初からこの性質を意図して、時間軸を設定して問いかけることも有効です。

時間が取れる場合は、最初はAの問いかけで自由な発言を促します。つづいて、ディスカッションが停滞したり意見が広がりすぎた場合に、追加でBやC、Dの問いを投げかけて、時間軸を意識することで、具体的な発言を引き出したり、整理したりしやすくなる効果が期待できます。

また、会議やワークショップに依頼者がいる場合は、最終的な成果物、上記例で言うと「アクションに必要なリソース」を話し合う会議では、その精度について、しっかり依頼者と詰めておくことが肝心です。

例えば上司から働き方改革の一環で、「チームメンバーが、残業を減らすために何が必要か会議で話し合っておいてくれ」と言われた場合に、依頼者である上司に「いますぐ必要なリソースを整理すべきですか?それとも継続して残業を減らすために必要なリソースを話し合うべきですか?」と確認をすると、ディスカッションの問いを作る上で参考になります。

時間軸以外の範囲とは

時間以外にも、「範囲」を問いの中に加えることは可能です。

下記問いを比較してみてください。

A:あなたは○○について、できることはなんですか?
B:あなたは○○について、業務を通じてできることはなんですか?

例えば上記の働き方改革の会議の場合、Aの問いでは「パートナーの理解や協力を得ること」といった、仕事の業務以外のアクションが意見として出てくる可能性があります。

もちろん、そういった発言も要素としては重要ですが、仮に短時間で「業務内で実行できるアクション」を話し合ってほしい場合は、予めBの問いのように「業務を通じて」と明示した方が話は早くなります。

このように発言や成果物の範囲や精度がクリアになっていないと、会議の議事録や成果物を依頼者に報告した時に、「こういう話し合いをして欲しいわけじゃなかった」と、あとからダメ出しされる可能性があります。

後出しで否定されないためにも、事前に会議の方向性や成果物について、時間軸などを例に範囲や精度を確認しましょう。

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