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このな禍でのイベント記【インドア目線】

マスクを手放すことのなかった1年が、
マスクを手放すことのないまま、終わろうとしている。

今年はギャラリーにもアートイベントにも、
行きたくても行けない、直に話を聞きたくても、その手段を変えざるを得ないことが多々あった。

それは自分達で主催する側、
アートを鑑賞したり発表をしたりする機会を作ったり、
それ以前に、人と人を会わせる仕掛けを作ったりするところにおいても、悩みは耐えなかった。

一時期は、

マスクをしないといけない環境下であるなら、
偶然の出会いや直接対話をベースにしている、自分のイベントは開催しないほうがいいのではと思った時期もあった。

今年3月、まだ緊急事態宣言前の時期に、
100組以上が出展するような大規模なイベントを初めて見に行った。
もちろん、参加者にはマスク着用の呼び掛けも。

100組以上の大規模イベントなので、
(県外からの出店者など参加を自粛していたブースも見られたが)

パンフレットを見て辿り着いた、目当てのブース、
予めイベント会場内で待ち合わせをしていた人、
あるいは自分の興味のあるグッズや衣装を着た人

広々とした会場でイベントを回している人々がいることへの、「初めまして」的発見はあったが、

自分にとっては肝心の、
目当てのもの以外の予想外な出会い…というものはなかった。

無事開催できて良かった、会えて良かったという声は各所で聞こえたが、


まだまだオリジナルのマスクや、個人で使っているマスクがまだ出回っていない時期。

以前お見かけしたことのある作家さんや、
久しくお会いしていなかった人を見かけても、
瞬間的な判別が難しい。


僕自身もそれに気付きにくく、
また他者から見ても自分は気付かれにくかったように感じた。

緊急事態宣言からしばし経ち、
母校の鳥取大学主催のオンライン講座、
『ことばの再発明』の成果発表の一環として、展覧会に出展した。

(県内のWEBメディアにて、レポート記事も書かせていただいてます)
http://totto-ri.net/report_kotobanosaihatumei20200925_28/

鳥取市内の展示会場で在廊する
(自分の主催のイベント以外では)、久々の機会となった。

もちろんマスクは必須。

以前にお会いした方が来場されても、
僕が芳名録をチラ見するまで、その方の存在に気づけなかったり、

同じ展覧会の出展者が会場入りしたときに、
僕はうっかり一般の来場者と勘違いして、対応をしてしまったこともあった。

マスクで「顔」が、わからないぶん、

●シルエット、髪型
●服の色やオシャレ加減、動きやすさ
●声のトーン

●買い物袋を提げている場合、
その人は今日は別に予定があり、
展覧会はサイドメニュー的な位置づけだったのかどうか
●出展者や関係者のうちの誰の知り合いか

●展示品のどこを注視して鑑賞しているのか

このようないつもとは違う箇所をヒントに、
人とのチューニングを図るしかなかった。

こんな状況下ではあったが、
鳥取の仲間と主催している、
深夜の美術展in鳥取も、

今年8月、
会場からのライブ配信をする形でオンライン開催をした。

僕に代わって鳥取市の人の流れを共有してくれたり、イベント開催について市内の保健所に取り合ってくれた同志や、
出展イベントが中止になって、イベントを手伝うことよりも出展へのエネルギーが溜まっているであろう学生には、感謝してもしきれない。

無観客開催ということで、
一般来場者からの
(配信時に届いたコメント以外での)
リアクションを聞くことはできなかったが、

そのぶん、同じ会場に集った作り手同士での、
密なトークが実現した日でもあった。

学生時代に関わっていた対話型のイベントのことを思い出すと、

40人集まったときよりも、
20人集まったときのほうが、
「全体に占める顔見知りの割合」が高く
なり、

アフタートークでも、自分のすぐ近くに人生の先輩がいることの緊張感や自分がインドア派であることも忘れて、
「密」な時間を過ごせた感覚があった。

入り口を広くする意味では、大規模なイベントも魅力的だけれど、

この期間を経て、


100対100で人間が出会う場に関わることより、

10対10くらいのフィールドでこそ、
自分は意味を為すのではないか



今はそんな仮説にたどり着いている。

今日も、(年の瀬の挨拶の意味も込めて)
様々な方とお会いできる場に行ってくる。

この中でも行きたい場がある、
会いたい人がいる。

来場制限のようなものはこれからも必要になるけれど、
この御時世だからこそ、
本当に人に求められる場は何なのか、
そして自分にできる立ち回りは何なのか…。

それを考える意味では、今年は刺激的な1年だったと言えるかもしれない。

読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは、鳥取のアートシーンで活動されている方々を応援する際に使わせていただきます。