蕎麦とうどん、どちらが好き? ということより先に考えるべき論点
『そば』と『うどん』、どちらがいいか?
まあよくある論争である。
特にカップ麺という舞台でこの論争は繰り広げられている。
もっと具体的に言えば『天ぷらそば』と『きつねうどん』のどちらが優れているか、だ。
ある意味、いたずらに争いを煽ってるんじゃないか? なんかの炎上商法なんじゃないのか? と思わなくもないが、それだけこのふたつのカップ麺がポピュラーだということなのだろう。
麺ものという観点からみれば、ほかにもさまざまなトッピングがあるにも関わらずこの組み合わせはやはり、圧倒的にメジャーといえる。
カップ麺があったからここまでポピュラーになったのか、それともポピュラーだったからこそカップ麺になったのか、そこらへんの理由はわからない。それはもう鶏と卵のようなものだろう。
さて、しかし、今回話したいのは、どちらが優れているとかどちらが美味いとかそういうことではない。自分がどちらが好きとかいう話でももちろんない。
なぜに『きつねそば』と『天ぷらうどん』ではなくて、『天ぷらそば』と『きつねうどん』なのかということである。
答えは簡単である。理にかなっているから。
理にかなっているとはどういうこと? もちろん食としての合理性である。
厚生労働省の食生活指針において、以下の一文がある。
「食事のバランスを。多様な食品を組み合わせましょう。」
つまりはそういうことだ。
(文章の一部の切り取りによる印象操作をしているんじゃないか? はい、確宿犯ですとも)
ここでキーとなるのは『うどん』の存在だ。
『うどん』の素材は少麦である。
天ぷら、というか、かき揚げの原材料はなにか? 小麦である。そう小麦なのだ。(他にも各種具材が入っているだろうって? あんなものは飾り程度。かき揚げの原材料は小麦だ!)
『うどん』において『かき揚げ』は小麦被り。多様な食品の摂取とならないことは明白である。
一方、『きつね』つまり『お揚げ』は大豆。多様な食品の組み合わせとはこういうことである。
『そば』の場合は、かき揚げでもきつねでも成立することはする。しかし、『うどん』では摂らなかった小麦素材を『そば』で摂るというのはうなづけるだろう。かき揚げかきあげならばその他の端食材も摂れる。(え? さっきと言っていることが違う? こまけぇことはいいんだよ!)
以上の理由により、蕎麦を食べるときは天ぷらが正解、うどんを食べるときはきつねが正解、ということが証明できた。
今、あなたの頭には「そもそも他のトッピング食材があるんじゃないのか? 山菜とか月見とか、ほかにも麺にのせて美味しいものもあるでしょう?」という言葉が浮かんでいるだろう。容易に想像できる。
そんなことは承知の上。そうではないのだ。ここで言いたいのは、2大メジャーである『天ぷらそば』『きつねうどん』はなぜこの組み合わせであるか、ということなのだ。
強弁ではないか? そのとおり。強弁結構。
異論は認める。しかし、現実、『天ぷら』は『そば』であり『きつね』は『うどん』なのだ。
さて。ここまで書いておいてなんだが、ここ最近、自分が駅そばで注文する際は、かき揚げでもきつねでもない。
コロッケ。
『そば』を食べるときも『うどん』のときも、コロッケにしている。
だって、コロッケってジャガイモじゃん。素材も被らないし、若干の動物性たんぱくも食べられるし、多様性の観点ならベストチョイスなのではなかろうか。汁を吸ったコロッケは美味しいしさ。
ここまで強く主張してきたことはなんだったんだ、と自己否定著しいけれど。
てなわけで、とりあえず、カップ麺でも『コロッケそば』がもう少しメジャーになってもらいたいものだと願う昨今である。
24年3月15日 初出
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