【鑑賞日記】日本の巨大ロボット群像展を観に行った
日本の巨大ロボット群像―巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現―
@横須賀美術館
ロボットという存在について世界的な標準形は等身大、というか、そもそも人型ではないそうで、さらに搭乗して操縦するという発想もないらしい。
ようは『巨大ロボット』は日本独特の文化ということらしい。
で、その文化的な位置づけや変遷について概括するというのが本企画のテーマでした。
だから展示についても、美術の展示というよりも博物寄り。
たとえば、美術としてのアプローチなら、本やプラモのパッケージアートに着目するなどになるのでしょうが、本企画展では文化としての変遷そのものに焦点をあてているため、展示も情報そのもの(具体的には文字情報)が中心の構成となっていました。
アニメの絵も展示されてはいましたが、あくまでも添え物的な感じ。動画の展示は(ほぼ)なく、変に視覚情報によるミスリードが生じない分、これはこれで割り切っていてよかったかも。まあ単に権利関係のせいかもしれませんが。
グッときた展示
鉄人28号のリメイク変遷。ディティールにリアルロボット的な要素が追加されていく等、時代ごとのロボットに対する魅力をどう捉えているのかがうかがえて面白かったなあ。
個人的には横山光輝氏の丸っこくて鉄の塊感のあるデザインが好きなんですけれどね。
1分の1スケールのロボットパネルの展示も巨大感がわかって良かったです。あまりにも大きすぎると巨大さが薄れるというのも面白い感覚でした。でかいなあ、と素直に思えるのって3〜5メートルくらいのサイズなんじゃないかしら。
床に描かれた1分の1ガンダムは第1話を彷彿とさせます。できればコクピット部分にシートを被してあって、それめくるみたいインタラクションがあればなおよかったんだけど。
パワードスーツの顔出しは、そう!これ!って感じ。わかってるなあ。
こういう展示も欲しかった
ダムラムやボトムズのパネルをみて思ったのですが、ロボットのコクピットの断面図パネルと座る椅子があって実際に座れると良かったかなあ。いかに狭いところで操縦していたのかが実感できたんじゃないでしょうか。そうまでして搭乗式の操縦にこだわる日本文化を体験できた気がします。。
各ロボット作品の系統樹的な展示があると歴史的変遷がより明確にわかったのではないでしょうか。
系統樹の描きかたも制作会社や監督、原作者などに着目したものや、リアルロボットへの登場や勇者シリーズ等に代表される作調の変遷、おもちゃとの関係性等、いろいろな切り口で研究分析できるのではないかしら。
単なる懐古主義的な展示を目論んでいたわけではないのでしょうから、もう少し学術的な提示が欲しかったなあ。
サブカル系の展覧会って、実際に企画者が展示したいものと鑑賞者側が求めている展示との差をどう詰めていけるのかが大事だと思うのです。
自分は、この企画展の意図に納得でき楽しめたのですが、ちょっと淡々とし過ぎているかなあ、とも思いました。やっぱり、巨大ロボットだから熱量が欲しかったということなのかも。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?