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【鑑賞日記】BankART Life7を観に行った

BankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」@BankART Stationほか

都市という存在をアートはどう捉えるのか。アートは都市にどう入り込んでいくのか。

都市とアートの関係性を表出させる企画というか、都市の情景をアートとして切り出すことによって都市の記号がアートに純化され、それが一巡してアート性が都市に内包されていることを感じさせる作品群でした。
(書いといてなんですがアート性って何?という疑問は置いといて)

エントランス前に展示されていた路上をはじめとする街の風景を、布地のモチーフにする作品は単純に面白いなと思いました。
自然をモチーフとした図柄にするアイデア自体はそれほどには珍しくはないのですが、路上にある案内や指示などの構造体も含めた街の風景そのものも積極的にパターン化されていると、そうかそうきたかという感じがありました。

館内に展示されている、街によくみかける情景をさまざまな手法で再構築/再構成する作品は、それぞれが本来ならば見慣れたものというか、あまりにも日常に埋没しているために、私たちがそれを認識することなどない。
それをこのようにアートのモチーフとしてあらためて提示されると、そういう異物たり得る素材が街には埋まっているんだなあ、と再認識することでできました。

特にラクガキを木彫化した作品は「そういう使い方があるのか」という気づきがありました。
しかも、もともと2次元の図柄を立体化することで、単なるモチーフの切り出しだけで終わらず、あらたな要素/視点が付加され、別の作品に変貌していく感覚がありました。

BankARTでは以前より”都市”というキーワードにこだわってきています。
が、今回、ヨコトリ連携事業という位置であらためて捉えると、都市型の芸術祭という取組自体が、都市に対してどう機能しているのか。ということを一歩引いたカタチで、冷静に、そして若干の茶目っ気をもって、示しているなあと思いました。

ヨコトリは芸術祭それ自体であるため、現代アートを通して社会に対する何らかの提示をする存在です。しかしだからこそ、自己の存在意義を客観視し問いかけてはいません。その役目を果たすものが、この連携企画にある。そう感じました。

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