空っぽの器
三年前に京都旅行に行き、高台寺前から祗園花見小路に向かう途中の国内外の観光客でひしめき合う、を越えて溢れる様、市バスの案内のおじいちゃんや東寺の受付窓口のお姉さんが平気でマナー違反する観光客にキレていらっしゃるのを見て京都の観光業の方々には申し訳ないが…
この状況は…欲貪りすぎて狂ってる。
とすら思ったものである。観光立国ジャパンブームが引き起こした日本の寺社仏閣はおろか田舎の崖や山や海までを、
誰が言い始めたか知らんけどもパワースポットと呼びアニメも含む聖地巡礼と称して国内のど田舎まで金を集める観光地化する政策、というものをこの時ほど…
情けないし、醜いし、飽きられた後の落差が怖い。と思ったことは無かった。
私は急性ストレス胃腸炎になり、二泊三日の京都市内滞在中駅ビル二階のおにぎり屋さんのおにぎりしか食べれなかった。
クールジャパンクールジャパンというカタカナ標語連呼せずに、
かつての富士屋ホテルの創業者のように素直に
「当ホテルの目的は、外人から金を取る事である」
と本音を言ってくれた方が清々しいではないか。
私ははっきりとは診断されてないが覚えたことを忘れる事が出来ない疑アスペルガーで、人が密集し過ぎるとパニックを起こす性質で、その他いくつかの精神疾患。の複数の特性持ちでこの世に生まれて物心付いた三つの時から、
人間なんてどう金をかけて育てても行儀よくする「振り」しか出来ないケダモノだ。
と諦めて社会で色々ぶつかって難しく生きてきた部類だ。
だから、さして人間に情をかけてもすぐ裏切られるので情を持たない、というか嫉妬や嫌悪が生まれないよう距離を置き、
女職場で自分が触ったものにも触れてくれないレベルの無視、という壮絶ないじめに遭ったりもした。
特に夫持ち、子持ちほど一通りの得るべきものは得たはずの女性ほど陰湿な仕打ちをした。
所有すればするほど飢《かつ》えて自分より下を探す女なんて嫌いだ。
それを機に自分の心が女である。ことから離れて女を客観視しようと決めたら気が楽になった。
この世で美しいのは自然と、人間がこしらえた作品だけだ。
と思ってお花を愛でて5年が経過した。最初は高い苗を枯らしてぴえんでぱおんしてたが、某有名なバラ園を管理している園芸農家さんに出会い、
「毎日水やりして諦めるな」と励まされて今日まで来たのである。
ところが、今年初めからのコロナ禍で…その園芸農家さんも阿蘇の有名なバラ園から撤退した。
そのニュースを知った時には、
事業者は何処かで敗北を認めて退かないと、首をくくる破目になる世の中だから仕方がない。と理性で思いつつも、感情の方では…
人間としてあまりにも悔しいではないか。
とショックを受けていた。
この9ヶ月間で思い知った事。
世の中所詮、数とカネだったのだ。
夢は欲望を美しく言い換えただけの単語。
理性はすぐ壊れるプライドの薄皮。
そしてカクヨムというエリアで星50も取れない自分の才能の無さと不甲斐なさ。もー退会しようか断筆しよっかなーとまで思い詰めていたのである。他の作者さんの作品をあまり読まず、一番ブラウザバックしているであろう最低のユーザーである私はここにいる資格なし。
と思ってここ1ヶ月休んでなろう、の方に作品投稿を続けていた。
アイデア纏まらないと書かない人なんでカクヨムの他のユーザーさんの作品も読むようになって面白かったらいいね、付けたりした日々で、
結構な数の書き手の方のユーザーは、あまり他のユーザーの作品読んでない人多いし、すんごく選り好みしてるな…。
って事に気付き、なーんだ。自分はアプリ以下の暇潰しを提供しているただの駄文書きでいいじゃん。
上を目指すから苦しむんじゃん。とまで思えてきたのである。
(やっぱり金は欲しいけど)
あの時の農園の社長さん。
「毎日水やりは続けろ」って言葉、バラ栽培でも駄文書きでも諦めずに続けてますよ。
そして星50以下では注目されない。なのをいいことに好きな事書き散らしている作者がここにいるのである。
フランス語で「希望」という名のアヴニールの新苗に他ユーザーさんの小説に出てくるアマビエさんのセリフ
「ウイルス消えろ、慈悲はない。ウイルス消えろ、慈悲はない。ウイルス消えろ、慈悲はない。ふふふ…」
とつぶやきながら水やりをする日々。
最近薄い色よりアンニュイ、な感じの濃い色のバラを好むようになった。
自分はここにいるぞ!という生命力の強さを主張しているようである。
早く食うには困らないほどに活気が戻って来るといいですね。
ま、人多すぎる所からは逃げる作者ですけど。
頭の中で勝手に流れてくる物語を紡ぐだけの私は空っぽの器の駄文書き。
それでいい。嫌われてると思ってれば楽だ。
付加価値、付加価値言いくさる国や団体や人ほど、自分の中身の無さに気付いていないな。と思う昨今なのです。
…いや、分かっててわざと数とカネを集めているのかもしれない。
それはそれで凄くたちが悪いが。
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