自らテレビをぶち壊してしまった話

一昨年の秋のことである。


某国大統領選の最終開票中に敗けを認めない現職が開票やり直しを訴えまくる映像がテレビに大映しになり、


ああ、もうたくさんだ。てめぇの偏った独善が起こす醜い現実など、見たくないんだよ。


と私はテレビのリモコンを画面に向って投げつけた。



その時の気持ちはキレた、というよりもこれで自らテレビを破壊した。という既成事実が出来て今後テレビを買って見なくて済む。 


という割と打算的で冷静な考えのもと遂行した。


画面はぱりん、と割れて見事なお花の形のひび割れが入った。


人間、思い切ったことをやるときは冷静な計算のもとやっている。


とこの時身を持って知った。


これで強引に生活からテレビを外した私はスマホしか見る画面が無くなり、見たい番組は配信サイトにお金を払って見るしかなくなった。


年越しにこれだけは観なければ。というゆく年くる年や今年も生でさだまさしはこたつに足突っ込んで震えながらスマホの小さな画面で見た。


でもそれでよかったのだ。


見たい番組や動画だけを選択して見るのだから、朝から怒りを掻き立てるニュース番組や数字目当てで作ってます感が半端ない某公営放送時代劇や毎朝ドラマを憮然とした思いで見ることとは縁がなくなったのである。


ストレスが減って夜もぐっすり眠れるようになった。


敗けた現職の扇動から起こった暴力沙汰のニュースが流れる直前にリモコンを放り投げてから1年半が断った2022現在、現実はもっと酷くなり隣の大陸で起こった戦争を某国の大統領が煽っているし、SNSさえも戦争の道具と課してしまった。


長い人生生きて地獄を見たらさらに底を踏み抜いた地獄が待っていることを教訓にしている私は、


やっぱり自らテレビを壊して良かったのだ。


と心から思えてしょうがない今日このごろ。











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