同担発見!

深夜の仕事を終え、
仮眠して午後からは好きな人のいる工場へ。


わたしは今、好きな人がカッコよすぎて爆発しそうだ。


会った後幸せ過ぎて、

「今すぐ殺してくれい!!!」


ってなる男はやっぱりこの世に彼しかいない。

大好きだ。カッコよすぎて今マジで電車で泣いてる。(不審者)

やっぱりわたしが好きなのは彼なのだ。
顔も声も話し方もみんな好きだ。
神様お願いだからあんな人と付き合ってみたい。夢。


彼が出勤していて、
無事に彼のいるフロアに行けたのに、
そこでまたクソ女に別のフロアに送られそうになったけれど、
王子様を目の前にしたわたしは、
「わたしあそこあんまり得意じゃなくて…」と控えめに断ることができた。

だってわたしの好きな人が目の前にいるのに今さら3階に戻れって言われたって戻るわけがねえし!!!
しかし王子様本人に、 
陸の孤島みたいなポジションに送られて泣きそうになる。

でも「今日19時まで?」ってわざわざわたしに聞いてきたし、
遠目に目が合っちゃうし、
早めにポジションの指示もくれたので、
わたしの勝負は18時までだと心の準備ができた。


陸の孤島の仕事は2回目で慣れていないため、
わたしが機械をおかしくしてしまい、
パートさんはそのままで良いよと作業に戻してくれたけれど、
まさかの王子様が機械を直しに来たので一応
「すいません壊したのわたしなんですぅ!!!」と謝ると、
彼は歩きながら大丈夫と言って去っていった。
この子忙しい時はほんと塩対応。
さっきはやたらパートさんに絡んでいたから、
今日はごきげんなのかと思ったのにな。

 
彼はたまに昔好きだったバンドマン(故人)と重なって見える。


全国各地に追いかけ過ぎてなんか気まずくなって、
あまり優しくない人だったから大好きなのに直接話すのも怖くなって物販もサイン会も見るだけになり、
最後の方は背中ばかり見ていた推し…。
わたしは緊張のあまり彼を直視できなくて、
いつも大きい背中に視線を送っている時、
たまにあの推しに見えてしまう。
好きな人は怖い。
好きな人はいつだってわたしを殺せるのだ。

黙々と黙々と慣れない作業をする。
いつの間にか他のタイミーは違うフロアに送られていて、
気づけばわたしともう一人しかいない。
わたしが壊しかけた機械を彼もちょこちょこ使いに来るし、
陸の孤島かと思っていたけれど、
ここのポジションも悪くないかもしれない。
小柄な彼が大きいタオルを何枚も抱えているのがめちゃくちゃ可愛くて、
わたしも彼に抱えられる真っ白なタオルになりたいと思いながら作業していた。(ど変態)


しかしとうとうわたしも彼のいないフロアに送られてしまい、お楽しみは終わってしまった。
最後の1時間は適当に仕事をする。
ここは本当に暑くて、仮眠といえども2時間も寝ていないわたしには過酷なポジションなのだ。
もし倒れて迷惑をかけてここに来づらくなったら本当に困る。

しかし運良く出入り口のポジションに置かれたため、
彼が上がらないか仕事しながらチェックすることができた。
階段の方に男の人が来たらいちいち見てしまう。 
ちょこちょこ来る他の男性社員に、
心の中で「またお前か」「だから違うんだってば」とツッコミを入れる。
もうこれただの出待ちやん。
昔ライブハウスでこういうのよくやってたよ!!!

終業間際、彼がこちらにやってきた。
カッコよすぎて直視できない。
でも絶対に「こいついつも俺のことめっちゃ見てくるよな」とは思われていると思う。

彼が来た途端にさっきまで適当だった作業は丁寧になり、
他のタイミーはもう棒立ちして上がるのを今か今かと待っているところ、
わたしは変わらず作業を続ける。
(突然のやる気スイッチON)



視界に入った彼が、

なんとタイミーのQRコードを持っていた。


え!!!!!そんなまさか。
こんなの初めてだ。
いつも女性社員がやるのに。
今日は彼に面と向かってお疲れ様でしたが言えるのか?!?!
死ぬって!!!!!!!!
なにこのサービスタイムは!!!!!
なんか「いつも物販には来ないボーカルが今日は物販に来たぞ!」感がある。(伝わる人には伝わる例え)
今日朝からなんかおかしいって!!!!!


やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

恥ずかしいよぉぉぉぉぉ!!!!!

むりぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!


見ないふりをして逃げ出したくなりながら作業を続けたが、
ものが無くなってしまった。
これはいよいよわたしも上がらなければならない。

王子様はわたしの後ろにいる。

彼が「1階と3階で上がる時間違うのかと思ってた!」と言ったのが先か、
わたしが「今日お兄さんがそれ持ってるの珍しいですね!」と言ったのが先か、
もう記憶がない。つい1時間前の話なのに。

彼とそのままふたりで話していたら、
わたしと同年代の最近仲良くなった女の子が、
「明日お兄さんいますか?」と明るく彼に聞いた。

わたしもそれ聞きたかったのぉぉぉぉぉ!!!!!


彼女の話しぶりを見ていると、
間違いなく彼に好意がある。
彼に相談事をした話を聞いてから、
そんな予感はしていたのだけど、
やっぱり彼女も同担だったのだ。
彼女はわたしよりも頻繁に毎週のようにここに来ていて、タイミーの上限を気にしていた。
わたしもここの上限はめちゃくちゃ気にしている。
きっと彼に気があるから、来れなくなったら困るのだろう。めちゃくちゃわかる。

わたしは横で笑いながら、「明日何時に来ますか?」と聞いたら彼は6時と言った。
やべえな!!!さすが繁忙期。

なんか女2人できゃあきゃあ言いながら若い男に群がっていると、
本当にライブの物販みたいだ。
これじゃ本命にはなれない気がする。

そしてもし奇跡的にわたしが彼と付き合えても、
やっぱりこうやってグイグイ来る女もいるのだ。怖すぎる。
彼女はわたしと違って強い。
わたしがずっと怯えている気持ち悪い男は、
彼女にもハイタッチしていたけれど、
彼女は自力でとっとと追い払ったらしい。強すぎ。
もしかして彼のことが好きだから他の男は追い払えたのかもしれないし、
そうやって好きな男もゲットしていく女だったらどうしよう。
わたしの王子様が他の女に取られてしまったら…
せめてわたしの見えないところでやってほしい。
あの人はわたしを殺せるから。
現にわたしは今、
胸がいっぱいでとてもご飯が食べられなくて、
晩ごはんはヨーグルトで済ませてしまった。

こんなに大好きな彼と付き合うことができないなら、
わたしはこのままとっとと爆発して消えてしまいたい。


好きな人が結婚しているとか、
どんなに美人でも付き合えないとか、
もうあの生き地獄だけは勘弁なのだ。