若い女性添乗員は必ずセクハラを受ける その2
私はとある会社の研修旅行に同行した際にも恐ろしい体験をした。
御一行様なので、ツアーと違って宴会の面倒まで見なければならず、コンパニオンでもないのに宴会場で水割りを作らされた(これは結構普通らしい)
一旦私達も休憩を取り、宴会がお開きになった頃、撤収させるために会場に戻ったら、見事に出来上がっていた。
酔っ払いのお兄さん達がしつこく絡んでくる(若い理系男子っぽい人が多い会社だった)
「部屋で一緒に飲もうよ」「去年のガイドさんは来てくれたよ(絶対に嘘)」
お酒か何かを両手で渡した時、目の前にいた男性二人が、ほぼ同時に私の両手首を握ってきた。(左右一人ずつ)
怖かった。なかなか離してくれない。ずっとニヤニヤしている。二人とも年齢は近そうだが、全く好みじゃない。
その後仕事が終わり、社員の女の子(新卒で滝川クリステルみたいな超美人だった)と二人で部屋に戻ろうとした。
宴会場からは出したが、まだ通路で先程の男性達が騒いでいた。
酔っ払い達に部屋がバレたら何をされるかわからない。
そっと立ち去ろうとしたら、酔っ払い達に気づかれてしまった。
酔っ払いの集団は、部屋まで続く階段をゾンビみたいに追いかけてきた。
私はあの光景を今でも忘れられない。本当に階段を這って追いかけてくるゾンビにしか見えなかった。
社員の女の子はまだ彼らのあしらい方がわからないようで、今にも捕まってしまいそうだった。客なので邪険にできないのだろう。
「また明日よろしくお願いしますね~」とか適当なことを言って、何とか女の子を連れ出して急いで階段を上り、酔っ払い達を撒いた。
自分達の部屋の近くまで誰も来ていないことを確認し、挨拶をしてお互いの部屋に入った。
翌朝酔いが醒めた男性社員達は、こちらがびっくりするほど冷静だった(さすが理系男子)
昨夜はあんなにしつこかったのに、今朝は目も合わさない。本当に同じ人なのか信じられないくらいだ。
所詮は会社の研修旅行だ。上司もいるし、本当に羽目を外すことはないのだろう。
男性の残酷さを垣間見た瞬間であった。
こんなに恐怖を感じる仕事はもう二度とごめんだった。
私は会社に戻ると一番に「御一行様のツアーにはもう二度と乗りたくない」と告げた。
他の女性添乗員は「えー!御一行さん楽しいのに!!!楽だし!」と驚いていた。
彼女達は酔っ払いに水割りを作ってあげるのも楽しいらしい。
「じゃああなたが乗ってください」と思いながら、私は曖昧に笑うしかなかった。
またあんな目に遭うのではと怯えながら、もう一度御一行様に同行する勇気はすっかり無くなっていたのである。