我が名は給料泥棒

今日は喉が絶不調のため、
本業中は無理して話さずに黙って喉を守った。
うちの会社はデスクが大きい上に、
まだアクリル板まで設置してある。
それに負けずに今の喉で大声を出したら、
夜のバイト中には声が出なくなりそうだったので、
ちょっと気まずかったけど黙って座っていた。
一応出勤して習う作業こそあったものの、

暇すぎてほぼ座りに来た感じだ。


マジで退屈過ぎる。
わたしにはこれからもう1つ行くところがあって良かったと本気で思う。
本業だけなら退屈過ぎて死ぬ。

お気に入りのスーパーのフリースペースで、
勉強中の学生達に紛れて、
おばちゃんは持ってきたお弁当を1人で食べながら、
斉藤和義の「ベリーベリーストロング」を延々と聴いていた。
わたしの癒やしの時間。

髪の毛を縛って運送会社まで30分歩いて向かう。
今日は昨日よりあったかい。よかった。

今日はわたしの好きなちょっと天然の新人ドライバーさんとトラックで移動した。
このおじさんは話しかける度にボケてきてなんか可愛いからわたしは大好きだ。
新人さんなのでタイミーのわたしに指示は出してくれないけれど、
話しやすくていつも癒やされている。

しかしこの会社は完全な男社会なので、
他のおじさん達やチャラい男の子からは結構キツめに言われていて可哀想なときが多々ある。
わたしも女社会で相当やられたけれど、

男社会は男社会で、

言い方とかかなりキツいし怖い。

(この会社に来て初めて知った)

だからこのおじさんが老眼で伝票が見えないときとか、
荷物の数を数えるときとか、
何かを探しているときとか、
持ってきたメモを忘れて帰っちゃいそうなときとか、
わたしにできることは手伝うようにしている。
たぶん他のドライバーさんだって、
隣によその会社の女性がいたらちょっとは口調が優しくなるはずだ。
このおじさんはちょっと天然で抜けてるけれど、
優しい人だからあまり苛めないでほしいのだ。

同じ会社の男同士で聞きにくいことがあったら、
わたしを都合よく使ってくれればいいのに、
おじさんはそういうズルい男ではないみたいで、
いつも困ったら恐る恐るチャラい男の子とかに電話して聞いているから、
怒られないかとわたしの方がハラハラしてしまう。

おじさんは2月にこの会社に入ったらしい。
わたしはここには3月からタイミーで来ているから、
同じような時期からここに通っていることになる。
今日一緒に作業していたら、
「入ったときは全然わかんなかった!」と言っていたので、
「入ったときのことを振り返られるってことは、そのときより成長したってことですよ!」と言ったら、
「そうやってポジティブに考えればいいのか!」と言われた。
うん、頑張ってほしい。
怒られても辞めないでほしい。
このおじさんがいなくなったらわたしは結構寂しい。
わたしがここにいるときだけでも、
おじさんがちょっとは働きやすくなっていたらいいなと思う。

その後わたしが慣れないハンドリフトを触っていたら、
おじさんが使い方を教えてくれた。
わたしがあまりにも下手なのでおじさんは笑っていたし、
なぜか他のおじさん達まで集まってきて面白かった。
わいわいしていたら突然チャラい男の子がやってきて「それ今から使うんで」と冷たく言われて、
わたしはやっぱりあの子には好かれていないのがわかったけれど、
もしかしたら「イケメンのとこにあれ持っていって」といつもわかりにくい指示を出す他のおじさんに、

「チャラ男って言われたらわかるけど、イケメンじゃわかんない!!!」


と大声で言っていたのが聞こえていたのかもしれない。(大変失礼)
ここの会社の男の人達はみんな優しいけれど、
イケメンは一人もいない。間違いない。


ここにもしわたしの好きな人がいて、
「イケメンのところに持っていって」と言われたら、
誰に何を言われようとわたしは彼のところに直行するのになぁ。

「イケメンのところに持っていってって言われたから持ってきましたぁ!!!」


くらい言うかもしれない。(鋼のメンタル)
そしたらあのいつも無表情な彼でも、
ちょっとだけまんざらでもない笑みを浮かべそうな気がするのだ。
想像、いや妄想でしかないけれど。
でも片想いはこういうのが楽しいからいいのだ。


わたしは本業でも副業でも、

たいした仕事もせずにお給料だけちゃっかり頂いている。


決して楽な仕事ばかり狙っていたわけではない。
なんかどこかでもっと一生懸命働きたいような気はするけれど、
わたしが通う会社は本業も副業もどちらも、
わたしがいてもいなくても変わらないくらい暇なのだ。
良いご身分だなと思うけれど、
これがいつまで続くかはわからない。
でもわたしは適当な性格なので、

「まぁ楽しければいっか!」


くらいに思っている。