⑥移住への決意
妻が感じていた少しの違和感は、所有者の方が土地を手放したくなくなってしまったことだった。
北の大地への僕たちの移住計画は振り出しに戻った。いや、そもそも移住のことすら何も初めからなかったようにも感じた。
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妻は友人のカフェで突っ伏したまま、この1年を想い返しているようだった。僕はまだ、あまり自分たちの事情が飲み込めていなくて、ぼんやりとしていた。
心配してくれたカフェの友人は地元の方々にまた別の土地をいろいろと問い合わせてくれた。
やはり田舎の土地探しは地元の方に聞いてまわるのが
1番手っ取り早いのだと思う。ただ良い土地に出逢うのだけではなくて、その土地の思いも同時に感じることができるとも思うし、そこも移住者として大事にしていきたいとも思っている。
それからいくつかは土地を紹介して頂いたのだが、やはり素直にいいなぁと思える土地とは出逢うことは出来なかった。
旅の途中のタイトなスケジュールの中、明後日には別の友人が自分たちの気になっている土地を案内してくれることになっていた。