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【求人コラム】もったいないなぁと思うポートフォリオについて

イクシールは、練馬の片隅に存在する小さなゲーム開発会社です。
今年で設立15年目を迎えますが、ゲーム業界内での知名度も低く、まだまだこれからの会社です。

ですが、そんな会社に対して、『御社が第一志望です!』と入社を希望していただけることが増えてきました。

本当にありがたいことだなあ、と思います。


ただ、お送りいただく応募書類や作品のポートフォリオに対して、

『もっとこうすれば、ご自身の魅力が伝わりやすくなるのに…』
『もっと、こうすれば印象がよくなるのに…』

と、もったいないなぁと思うことが少なくありません。

特に新卒応募の方は、『応募書類に求められているもの』が、まだ手探り状態のようで、今一つ見えていないことも多いようです。

なので、採用審査をする会社側としても、応募書類からできるだけその本質部分見抜こうとはするのですが、やはりそれも限界があります…。


今回は、そのようなポートフォリオに対して、
『もっとこうすると、いいかもしれませんよ?』
というアドバイス記事になります。

ゲーム開発会社のグラフィックデザイナーを目指している方に向けた内容になっています。(※会社によって、勿論、考え方や採用基準はバラバラですので、あくまで一例として捉えてください。)



【もったいない例①】描きたいものしか描いていない

ポートフォリオ内の作品が、『描きたいもの』だけになっていることがあります。

例えば、『若い男女のキャラクターイラスト』しかポートフォリオに入っていない場合、作品に偏りが有りすぎて、もったいないなぁと思ってしまいます。


既にプロとして自立できる力が有るのであれば、自らの『売り込み方』として、それも間違いではないです。

ただ、ゲーム会社に、グラフィックデザイナーの『一年生』を目指して応募する場合、このようなポートフォリオから感じることは、
『描きたいもの以外のことは、あまりやりたくないのかなぁ』
ということです。


趣味であれば好きなものばかりを描いていてもいいのですが、仕事の場合はそうもいきません。

仕事の場合、好きじゃないもの、苦手なもの、描いたことが無いものを描く機会も当然あります。 

好きなもの、描きたいもの、得意なものが伝わるポートフォリオにすることも大切なのですが、プロのゲームグラフィックデザイナーを目指すことになるので、色んなことにチャレンジしたい!と意欲を感じるポートフォリオを拝見したいです。


好きなことを仕事にしたいという前向きな気持ちから、ついつい描きたい好きなものだけでまとめた『自分のポートフォリオ』を作りたくなる気持ちもとてもよく分かります。

ただ、ポートフォリオを見る側の観点を意識していただくと、『求められているポートフォリオ』が理解しやすいと思います。

相手の求めているものは何か?』を考えることは、プロの世界で生き抜いていくためには、とても大切です。

〈余談〉
例えば専門学校等でも、授業で好きなものしか描きたくないという学生さんが一定層いるという話をよく聞きます。

学生の方が自らお金を払っている立場だからということもあるようです。

ただ、これからプロを目指そうという立場でもあるわけなので、貪欲に色んな表現にチャレンジしてもらいたいなぁと思います。



【もったいない例②】ゲームグラフィックを意識していない

ゲーム業界への就職を目指していなかった方が、就職活動をきっかけに、初めて『ゲーム業界』が視野に入ってくるということもあると思います。

その場合、早くからゲーム業界を意識してきた方々や、『ゲーム系専門学校の学生さんのポートフォリオ』と比べると、どうしてもゲームグラフィックを意識した作品は少なくなります。

こればっかりは、もう仕方がないと思います。

ただ、ゲームグラフィックを意識した作品が少ないと、もったいないなぁと思ってしまうのも事実です。

やはりゲーム業界への就職を目指すからには、しっかりとゲーム業界と向き合い、求められているポートフォリオを考えていただけると嬉しいです。(ご自身のためにも。)

・ゲームのグラフィックデザイナーとは、どのような仕事をするのか?
・具体的にどのような作品をポートフォリオに含めれば、参考にしやすいのか?

この点がしっかりと考えて作られているポートフォリオだと印象がグッと良くなります。

ゲームが、どのようなグラフィックから構成されているのか分析し、一点でも多く、ゲームグラフィックを意識した作品を増やしていただけると良いと思います。



【もったいない例③】時間をかけて丁寧に仕上げた作品が無い

小さく縮小した状態で見栄えするように仕上がっていても、等倍の表示サイズで見た時に、線や塗り、質感表現が『粗いな…』と感じる作品が傾向として、とても多いように思います。

詰めの仕上げが甘いという印象になってしまい、もったいないなぁと思ってしまいます。

できるだけ早く完成させて、作品点数を揃えたいという気持ちが働いてしまうのでしょうか…?

私自身が学生だった頃の感覚で言うと、一つの作品に対して、どれだけ手を入れても納得できず、時間をかけて何度も何度も客観視して、気になるところ、納得いかないところと、とことん向き合って何度も修正していました。


実際に、ゲーム業界に入り、お金をもらって制作するという『プロの現場で求められる丁寧さ、細部へのこだわり』というのは、想像の遥か上のレベルだと思っていてもらっていいと思います。

どのような仕上げを、『完成』した状態だと捉えるのか、その感覚が違いすぎると、プロの現場でも食い違いがたくさん生まれてしまいます。

線が歪んでいたり、塗りがはみ出していたり、質感があまり感じられなかったり、そのような状態のものをプロの現場で『できました!』と言っても、なかなか通用しません…。


できるだけ近い感覚で、仕上げの完成状態をイメージできる方と一緒にお仕事をしたいと思いますので、時間をかけて、細部まで丁寧にこだわって仕上げた作品も、必ず含めていただけると嬉しいです。



【もったいない例④】強みが見えてこない

今の時代、ゲームグラフィックデザイナー志望の学生さんが多数存在します。そんな中で、何か抜きん出た強みが無いと、なかなかプロの世界に入ることは難しいように思います。

例えば、『キャラクターイラスト』を強みにしている学生さんはとても多いのですが、その中で抜きん出るために、『何を強みにしているのか』が、ポートフォリオから感じられるようになっていると、とても嬉しいです。

強みを上手くアピールできていないポートフォリオは、もったいないなぁと思ってしまいます。

他のゲームグラフィックデザイナー志望者のポートフォリオよりもどうやって目立ち、どのような『抜きん出た強み』を見せられるのか、しっかり考えられているポートフォリオだと、魅力が伝わりやすくなると思います。

ポートフォリオを見た人に、『強み』が魅力的に目立って映れば、『弱み』が逆にあまり気にならなくなったりもしますので。

作品をポートフォリオとしてまとめることだけで、いっぱいいっぱいになっているなぁと感じることが多いです



嬉しかった例

逆に、『こんなポートフォリオは嬉しかった!良かった!』という例も書いおきたいと思います。

過去、一番嬉しかったのは、イクシールという会社だけに向けたオリジナルの作品を含めていただけていたことです。

イクシールのロゴマークやイメージをもとに、オリジナルキャラクターをわざわざデザインしてイラストやドット絵を描いてもらえていたのは、感動しました。

イクシールのロゴマークがキャラクターデザインに採り入れられていたので、他社さんへの応募作品には使えないんですよね。
イクシールという会社だけに向けた作品になっていました。

気持ちの伝わる作品を作ってもらえて、本当に嬉しかったです。

その後、このポートフォリオをお送りいただいた方とは、面接でお会いし、その場で内定を出させていただきました。



最後に

ちなみに、こういった『もったいない例』に関係無く、採用に繋がるポートフォリオの特徴というものもあります。

それは、圧倒的な画力、意欲、ポテンシャルを感じるポートフォリオになっている場合です。

ポートフォリオを通して、その方が『プロの現場で活躍できるイメージを持てるかどうか』が大切なので、強みで弱みをカバーできていれば、問題ありません。


そういえば、私自身のポートフォリオはどうだったかなぁ…と記憶を辿ってみたのですが、過去に二度だけ作ったことがあります。

一度目は専門学生時代で、『学校の課題作品のみ』でまとめていました。

『プロのデザイナー採用者であれば、学校の課題作品からでも、才能を見出だしてくれるに違いない。』と勝手に思ってしまっていました…。自分にとって都合のいいように相手に解釈を求めてしまう悪い例ですね。


最初に勤めたアーケードゲーム開発会社を辞めた後、別のゲーム会社に誘ってもらえたのですが、その時に作ったのが二度目です。

その時は、モノクロの鉛筆画イラストを5枚くらいまとめただけのものでした。
PCも持っておらず、デジタル作品が無かったので、急遽用意したアナログ作品でした。

これは、もったいないどころか、全く参考にならないダメな例ですね…。
すみません…。


★イクシールのホームページ★
http://www.ixill.net/

★BOOTHのイクシール通販サイト★
https://ixill.booth.pm/

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