奨学金を応募するにあたってのマインドセット
初投稿です。ixieと言います。現在、海外の大学院(修士)に向けて、東京で社会人やりながら準備中です。
最近、いくつか奨学金の応募書類を出し終わったので、改めて書類準備のプロセスの中で、自分が心がけたことを記録しておこうと思います。後半は、どんどん留学自体へのアドバイスみたいなことまで話が発散していますが。これから学位取得のための海外大学を目指す人の参考になれば幸いです。
ちなみに、序盤はマインドセットの話が中心なので、国内の大学の奨学金を受ける人にも通ずるものはあるかなと思います。
「奨学金は落ちるもの」と思って挑む
初っ端から厳しい話ですが、基本的に奨学金は受からないと思ったほうがいいです。私は学部時代にもいろいろ奨学金を受けましたが、当時全滅しました。これまでも、優秀な友達が奨学金落ちまくるのも見てきました。
中島記念国際交流財団だったり、平和中島財団、伊藤国際教育交流財団の採用実績を見ればわかりますが、倍率は約9倍〜20倍と、相当なものです。しかも受ける皆さんは当然優秀な方ばかりなので、本当にちょっとした差が、落ちる要因になります。
もちろん、応募書類を作成するにあたって、自分のベストは尽くします。しかし、落ちる可能性のほうが圧倒的に高いということを覚えて、落ちた時にどうするかをしっかり考えておいたほうが精神衛生上いいです。
特に、英語圏の学費高騰を見ていると、今後も奨学金の競争率は激化していくんじゃないかと思っています。
奨学金に応募する過程に価値を置く
上述の通り、私は今回「奨学金は落ちるもの」という気持ちで挑みました。最初は「負け戦に挑むなんて……」と思ったこともありました。が、たとえ結果として落ちても、自分の研究したいことや、留学する理由を言語化すること自体に価値があると思い、応募しました。
書類を提出して、結果待ちの今でもそれは変わりません。改めて、自分が何を研究したいのか、どうして第一志望の大学を選ぶのか、この留学を経て将来何をしたいのか。言語化したことで自分自身の確固たる決意になりました。この決意はこれから大学院を受験するにあたって一番必要なものであり、ゆくゆくは自分の人生の中での「留学」に意味を持たせるものになります。
ここで、私が大好きな「ジョジョの奇妙な冒険」の5部の名台詞を貼っておきます笑
「結果」に振り回されそうな時、私はこのセリフがあるエピソードを読んで励まされています。
奨学金に落ちても、それは自分が「優秀じゃない」というわけではない
奨学金は大体、審査基準や他の応募者のレベルはわからないものです。たとえ落ちたとしても、落ちた要因の可能性は無限に考えられます。だからこそ、落ちてもそれを「自分の評価」として受け止めるべきではないです。
もしかしたら、十分選ばれる可能性はあったけど、自分の書類に不備があったかもしれない。自分と同レベルの他の人の方が、TOEFLの点数が1点高かったかもしれない。自分よりちょっとだけ文章力が高い人がいたかもしれない。自分と同じ専攻で応募している人が、その年はたまたま多かっただけかもしれない。応募書類やGPAは同レベルでも、もっと有名な先生に推薦状を書いてもらった人がいるかもしれない。
倍率が高ければ高いほど、また自分自身も周りも優秀であればあるほど、本当にごくわずかな差で結果が変わる世界だと思います。
あとは、シンプルにその奨学金が求めている人物像とマッチしなかった、というケースも全然あり得ます。別の例ですが、就活や転職ではそういうパターンがよくあります。私の友人で、商社は全部内定したけど、それ以外のメーカーなどは全滅した人がいます。その人が優秀じゃないというわけでは全くなく、メーカーの業界とは相性が合わなかった、というだけの話です。
いつかまた別のチャレンジやチャンスが巡って来た時に、それを自分のベストの状態で勝ち取れるように、自分を磨き続けるしかないですね。
奨学金がない前提で留学準備を進める
これまでは奨学金を受けるにあたってのマインドセットみたいな話をしましたが、ここからはそもそもの、具体的な留学準備のおせっかい話をしようと思います。
私は自分の大学院留学について、奨学金がない前提で準備を進めています。これが、そもそもの心の余裕にもつながります。取れる選択肢というのは、大まかに以下のものになるかなと思いますが、順番に話していきます。
学費を低額で抑えられる国を選ぶ
(大学から直接院進する人向け)一旦就職して、貯金をする
学生ローン含め、借金をする
親や親戚に援助してもらう
1. 学費を低額で抑えられる国を選ぶ
意外とこの選択肢があるというのを気づいていないのか、知らない人が多いように思います。留学となると、アメリカやイギリスなどの英語圏が最初に挙がりますが、非英語圏でも英語で学位を取れるというのはぜひ知っておいていただきたいです。
これは学部にも当てはまりますが、修士・博士レベルになるとさらにぐっと選択肢は増えます。ちなみに今回、私が取るのもこの選択肢です。
「留学したい、とにかくアメリカかイギリスかオーストラリア行きたい! だけど学費高すぎる……」と思っている方は、一度立ち止まってみてもいいかもしれません。なぜ留学するのか? 留学するなら、なぜ英語圏がいいのか? もし奨学金が全滅したら、何千万の借金を背負ってまで行く価値はあるのか? 改めて考えてみましょう。英語は大事ですが、英語圏の国なんて世界的に見れば少数派です。世界はもっと広いです。
そこで個人的におすすめなのはヨーロッパです。安泰なのはドイツとかですかね。数年前時点ではフライブルク大学とかは学部の英語コースがあり、学費もほぼ無料でした。詳しくはないですが、フィリピンやマレーシアなどのアジア圏、南アフリカなども選択肢に入るかと思います。
英語圏の大学の学費がどんどん高騰していっている中で、こういう非英語圏で英語で学位を取る、というパターンは今後増えていくんじゃないでしょうか。
一方で、近年この流れを受けてなのか、もともとは無料だったのに、海外からの学生には学費を課する非英語圏の大学も出てきています。ノルウェーとかがそのパターンです。「英語圏じゃなくてもいいから、いつか留学したいなー」と思ってる方は、早めに検討し始めたほうがいいかもしれないですね。
2. (大学から直接院進する人向け)一旦就職して、貯金をする
これも意外と、選択肢として存在すると気づいている人は少ない印象です。私自身もかつてそうでしたが、自然と「修士行くなら、学部から直接行くもの」と思い込んでいる人が多いです。だけど、そんなことまったくないです。むしろ、院進を考えている人こそ、一度社会人を挟んだほうがいいように思います。
私自身、学部時代は当たり前のように修士まで行くものと思い込んでいました。しかし、コロナ禍で院進を断念して就職し、今では金銭面含め、社会人やって本当に良かったと思っています。
風呂敷を広げてしまいますが、学部卒業後にとりあえず就職するメリットをちょっと語らせてください:
とにかくお金が貯まる
社会の仕組みが見える
自分が勉強・研究したいことを見直せる
まず、とにかくお金が貯まります。人によるかもしれませんが、学部時代はお金がなく、バイトしながら勉強の両立を求められます。院進しても、その状態が続くのは正直辛いと思います。一旦就職して貯金をすれば、院に戻る時に生活費に困らないなど、金銭面でかなり余裕ができると思います。私の知人で、ひたすら貯金をして、イギリスの大学院の学費まで全部自費で賄った人もいます。
もう一つは、社会の仕組みが見えることです。これが、もし今後研究者を目指すなら、ゆくゆくは「資金の取り方を知る」ことにつながると思います。大学にいる間は、研究室にいる博士やポスドクの先輩、そして教授と多く接しますが、世間的に見れば大学での研究職はマイノリティです。大学卒業者のマジョリティは企業で働いています。だからこそ、自分も企業に就職してマジョリティを経験することで、社会がどういう常識の上で成り立っているのか、どういう風にお金やモノが動いているのかの解像度が上がります。言い換えれば、「ビジネス」を知り、その中で生きる方法も学べる、ということですね。
今後研究者を目指す方には特に(自戒を込めて)意識してほしいのですが、研究資金の出所はだいたい大学の外です。社会の中で、自分の研究がどういう価値があって、それをどう一般人に理解してもらい、お金につなげるには、ビジネスの現場を少しでも知っていることは大きな武器になると思います。
最後に、就職すると自分が勉強・研究したいことを見直せます。上述の視野が広がる、に通ずるのですが、大学にいる間は自分の向き合っている学問が自分の世界のほぼすべてです。社会人になることで、学問から離れて学問を客観視できるし、人によっては「また大学でこういう勉強、研究したい」と改めて大学に戻る目的が明確になります。私がそのパターンでした。
と、いう感じです。金銭面はもちろん、自分の能力・経験の幅を広げるという意味でも、大学からそのまま大学院を目指す人にこそぜひ就職も選択肢に入れてほしいです。
3. 学生ローンを含め、借金をする
これも私が現在検討している方法です。正直まだ借りていないので借り方や、実際返済はどんな感じかはわからないですが、今後詳細わかったら更新していきます。
MBAや、ビジネスに活きる学位で留学する人には現実的な選択肢だと思います。卒業後に得られるリターンの見込みが大きいので。学位取得後、すぐに就職する予定の人も同じくです。
一方で、博士以降も大学に残って研究することを考えている人には、ちょっとリスクが大きい選択肢かもしれません。ちなみに私は今のところこっち側の人間なので、借金するとしても多額にならないようにする予定です。
4. 親や親戚に援助してもらう
この選択肢を取れる人には、正直何も言うことはありません笑。もちろん、身内だとしても後々トラブルにならないように事前に話し合いは必要ですが、かじられるスネがあるなら全力でかじりましょう。報告義務、帰国義務、返済義務などなど、いろんなしがらみと無縁な留学ほど幸せなことはありません!
おわりに
奨学金を受けると決めた時から、「どういうふうに書けば受かるか」「受かるためにはどういう対策をするか」「受かったらこういうことができる」など、「受かるイメージ」をし続けます。それに囚われすぎると、落ちる覚悟が足りていなかったり、奨学金がない前提での留学準備が進まないこともあると思います。
しかし、現実は奨学金は落ちる人が大半です。どんなに優秀な人でも、奨学金に受からないことは多々あります。
これから留学、そしてその前段の奨学金応募に挑戦する方に向けて、少しでも冷静に向き合えるお手伝いができれば幸いです。
一緒にがんばって留学を目指しましょう!
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