2024年1月4日(木)

能登半島地震

年末年始は富山の実家に帰省していた。1月1日は家族4人でのんびりと麻雀を打っていた。午後4時過ぎ、まず少し大きめの地震があった。このときは、まだ身の危険を感じるほどではない。さて麻雀を続けようかというときに、2度目の揺れがやってきた。今まで経験したことのない大きな揺れに、炬燵の中に身を屈めた。このとき襲った震度5強は富山県では観測史上最も大きかったという。家の基盤から鳴るミシミシという音が今も頭に強く残っている。いくらかの物が散乱したが、幸い大きな家具などが倒れることはなかった。

地震が収まった後、すぐに海から逃げようということになった。私の実家は海沿いの町にある。海岸からは歩いて10分ほどだ。東日本大震災のときの津波の映像が頭をよぎる。最低限の防寒具を着て、家族全員で車に飛び乗った。車のカーナビから流れるテレビの映像には「にげて」という大きな文字が映し出されている。どこに行けばいいのか分からないまま、とにかく海から離れる方向に向かった。一応、近くの避難所として地域のコミュニティセンターが指定されていたが、2階建ての建物で海から大して離れているわけではなかったので、当てにはできなかった。みんな津波への危機意識は高く、陸の方に向かう道路は若干渋滞していた。

最終的に私の家族は海岸から5キロほど離れたところにある総合体育館に身を寄せた。海抜が4メートルで、2階の観客席にいれば津波の心配はないだろうということだった。周りには知り合いの家族もいて安心感が大きかった。ただ、その避難所は暖房を出していなかったし(火災の危険性を考慮して?)、その他防寒具などの提供もなかった。津波警報は解除されていなかったものの、寒さに耐えかねて20時頃には実家に戻った。一応、津波の第1波の到達と満潮時刻が過ぎたのは確認していた。周りの家族がどんどん帰宅の判断をしていたというのもある。ただ、こののときの判断が正しかったのかは分からない。最大限の安全を考えるのならば、津波警報が解除されるまで避難所で待機すべきだっただろう。暖房設備のある他の避難所を探すといった選択肢も考えられたかもしれない。結果として私たちの地区には住宅地に押し寄せるほどの津波は来なかった。その日のうちに家に戻って食事を摂りシャワーを浴びて布団で横になれたのはよかったのだけれど、それは結果論でしかない。事前にシミュレーションしておかないと、非常事態における判断は難しい。

帰ってきた家は体感で分かるぐらいには廊下が傾いていて、いくつかの扉の開け閉めが難しくなっていた。塀の一部も見て分かるぐらいには傾いてしまっていた。泥が噴出して水が出てきているところがあったので、液状化現象が原因だと考えられる。大工さんによるとすぐに倒壊の危険があるわけではないらしいが、今後、大きな余震があったらと考えると心配になる。保険がどこまで適用されるのか、どこまで直すことができるのか。心配の種は尽きない。

地震に対しての精神的緊張が続いている。いつ余震がやってくるか不安でいっぱいなのだが、私の心は無意識的にそれを抑えようとしているんだと思う。研究活動などに集中しようとすると、抑えられていた不安が表に出てくるのを感じる。そういう緊張状態を抱えている人は私以外にもたくさんいるのではないだろうか。安心して日々を過ごせるようになるまでは、まだしばらくの時間が掛かりそうだ。家族や友人のことは心配ではあるが、審査会の日に現地にいないわけにはいかないので、明日には東京に戻る。少しでも不安が和らぐよう、家族や友人とは密に連絡を取りたい。私にできるのは、それぐらいのことしかない。

役に立ったアプリ

今回の災害を通して役立ったいくつかのアプリを紹介しておく。

急いで車で海岸から離れた後に近くの避難所を探すのに使った。避難所の場所を地図上で示してくれるので分かりやすい。

警報・注意報などの確認に使っていた。信用できる情報がいち早く手に入る。

地震の通知が抜群に早い。余震が来る前に通知が来ることもしばしばあるので備えることができる。揺れているのか揺れていないのか過敏になっている人も多いので、そういうのを確認するのにも便利だと思う。

今回の地震ではX(旧Twitter)の検索が使い物にならなくなっていたように思う。しかしながら、個人的には「自分の地区の名前」で検索を掛けて、最新順に並べたポストは結構役に立った印象がある。家の近くの被害状況を写真や動画で上げてくれている人がそこそこいた。

最後に

家の基盤が深刻な被害を受けてしまったとは言え、私の家族は全員無事だった。親戚や友人に連絡を取り、全員の無事を確認することもできた。生きて会うことができて本当によかったと思う。石川県の被害状況を見ていると心が痛む。少しでも早く人々が安心して暮らせるようになることを願いたい。最後に今回の地震の支援サイトを載せておく。


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