見出し画像

パンチライン百科事典 p.7 -HUMBLE.-

過去投稿第6回目も前回と同じアーティスト、同じ曲を取り上げようと思う。なぜか。なぜならやはりKendrick Lamarというアーティストがそれほど魅力であり、彼の書く歌詞は解説しがいがあるからだ。とりあえず前回の記事を読んでいない人は先にそっちもチェックしてほしい。

今回紹介するラインはこの曲の中で私が最も気に入っているラインである。ぜひ最後まで読んで欲しい。

他のパンチラインを見たい方はこちら↓
パンチライン百科事典:https://plpedia.com

Kendrick Lamar - HUMBLE. 0:18〜

D'USSÉ with my boo bae tastes like Kool-Aid for the analysts

自分が普段女の子と飲んでいるD'USSÉは、解説者にとってKool-Aidのような味がする
0:16〜

これはこの曲における代表的なラインの1つである。D'USSÉというのはJay Zがプロデュースする高級なお酒のことであり、Kool-Aidとは主に子供に飲まれているような安価なジュースのことである。

画像2

画像2

つまりKendrickは、「解説者は物事の良し悪しが分かっていない」ということを主張している。これは、彼が2015年に名盤『To Pimp A Butterfly』をリリースした際に、彼の曲を批判したアメリカ某有名番組のコメンテーターに対してのディスだと言われている。そのコメンテーターの標的となった曲は『Alight』。この曲は元々差別を受けている黒人コミュニティに向けた励ましの曲であったのだが、何を勘違いしたのかコメンテーターは「警察をディスっている」だの「暴力的」だのとネガティブな捉え方をし、彼を批判した。彼はこの件に関してかなり腹を立てていたと思われる。特に個人的には、この「良質なものとしての"D'USSÉ"」と「悪質なものとしての"Kool-Aid"」という対比に感動した。というのも、前者を聞いてイメージするものは「Jay Z」、後者を聞いてイメージするものは「子供」であり、このラインは「コメンテーターはJay Z子供の違いも理解できない」というシナリオを私の頭の中に作り上げたからだ。Jay Zと子供の差はまさに月とスッポンであり、ヒップホップヘッズであれば誰もが理解できるはずだ。つまりKendrickはこのラインによって「何も分かっていない解説者」というレッテルをそのコメンテーターに対して貼ることに成功した。物事の批評を生業とする人にとってこのようなレッテルを貼られることは致命的であり、彼は見事にリベンジを成し遂げたということになるだろう。聞き手の印象に強く残るディスほど強力なものはない。
加えて、このラインはライミングも滑らかで気持ちが良く、着目して欲しいポイントの1つである。オンビートに乗る"D'USSÉ""boo bae""Kool-Aid"の流れは思わず口に出したくなるような語感である。


P.S. 今回でこのコーナーも7回目になるのですが、皆さん楽しんでいただけてますか。そこそこの閲覧数は獲得できているので全く面白くないコンテツというわけではないと思うのですが、実際のところどうなのかというのが掴めず少し不安になっています(若干ですけど)笑 もしよければコメントやスキなどで表現してもらえると助かります。人気が無いようであれば違うコーナーをスタートしようかなと考えてます。一応リクエスト等も随時受け付けるつもりですので、何かあれば気軽にコメント欄に書いてください。よろしくお願いします!



written by じょん

ここから先は

0字

¥ 100

出来るだけ多くの音楽を聴いてパンチライン図鑑を完成させていこうと思っています!そのための購入、サポート、シェア、フォロー、ご協力いただけると大変助かります!! Stank You Smelly Mucho!!