仕事と家事と


家事にもやり方がある。

ボクは、一時期、コンピューターセキュリテイーの会社に勤めていた。
仕事内容は有害コンテンツのURLをデータベース化することだった。

一応マネージャーだったので、終業前に翌日の関係社員の作業設計を行う。

その頃は、IT業界で標準的な方法論が、例えばPIMBOKとかSWEBOKとかにまとめられていたけど。それらを詳しくは知らなかった。
そのため、経験則で翌日の作業設計を行っていた。
今考えると、冷や汗の出るような未熟さだ。

この作業設計は、一応機能していたけど、時々、実態が大きく乖離する。
そうすると、あわてて、当日の作業設計を変更することになる。
ある時、なぜこのような乖離が発生するのか、よくよく考えた。

答えは単純で、無理なスケジュールを押し付けていたのだ。
ではなぜ無理なスケジュールを押し付けていたかというと、何に困るのか、きちんと作業する人たちとコミュニケーションできていなかった。
PIMBOにもSWEBOKにも、一番大切なのはコミュニケーションだと書いてああった。
悔恨の極みだ。

その後、いろいろあって、その職から離れ、その企業から退職し、大病を発症し、職すらも失った。

それから主夫になった。

やってみるとわっかると思うが、実は家事はむずかしい。
きちんと段取りを組まないと、予想の時間に作業が終わらない。

これって仕事とあまり変わりはないんじゃないか?
そんな考えが頭の中に出てくる。

家事は仕事ではないという論調を聴くことは多々あるが、家事がいかに大変なのか。
主婦も主夫も、みな一日の作業計画を、頭の中に毎日組み立てているのだ。

何時にスーパーに行ったら安売りしているとか、この食材の下ごしらえにはどのくらいの時間がかかるから、味付けとかの本格的な調理はいつからやったらよいのかとか、その間に洗濯とかいつ取り掛かったらよいのかとか、あとその日は晴れているのか雨なのかという事だけでも、いろいろな影響が出ることを分かっていて、その日の作業計画がきまるわけだ。

そう、主婦あるいは主夫はたいへんなのだ。
仕事ではないのだろうけど、仕事と同じくらい大変なのだ。
それを、仕事をして家事を行わない人にも、少しわかっていただけたらと思う。

ではまた。


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