大学生への租税講座 ~ 新しい視点を ~
先月、大学生への「税理士による租税講座」という授業を担当しました。
■ 講座の趣旨
大学の後期授業の1つで、全15回。内容は税理士制度、租税法概論、各税法(所得税、法人税、消費税、相続税)、トピックなテーマ(若者のマネー学、国際課税、事業承継、税務実務)など。様々なテーマを約10名の講師が担当する講座です。
大学の授業ですので「学び」を提供することを前提とし、プラス実務家の講話を通じ、税理士や会計業界に興味をもってもらおうという趣旨もあります。そのため、各講師が担当するテーマの内容と、税理士を目指したきっかけや受験の話、実務での話や今後の展望なども含めて話します。
私は「法人税法」を担当し、授業としては法人税法Ⅰ・Ⅱとして2度登壇しました。
■ 導入は『視点を手に入れよう』
私は前回も「大学生への租税講座」で法人税法を担当しました。前回、授業後の感想で多かったものが「当初、法人税は興味がなかったけれど、勉強しようと思った」という回答でした。身近な消費税や所得税に比べ、起業しようとかコンサルの仕事につきたいというような明確な目的がなければ、なかなか「法人税」というものに興味がわきにくい。
そこで、まず法人税(関連して会計や経営)を学んだ場合、どんな世界が広がるかというお話をしました。
上記のスライドは、大学生を対象にとったアンケートではありません。「18歳~64歳を対象」にとったアンケートです。すなわち、日本は社会に出て多くの学びや経験を積み、40代、50代と過ごしていっても「経営」に関する知識や能力、経験は一部の人間しかもっていないという現状です。
上記アンケートは経済産業省が長年委託して調査しているもの。国はこの問題に対し、子どもたちには「起業家教育」、社会人には「学び直し」という動きが始めています。しかし、自ら「学びたい」という意識改革こそが一番の原動力になると思います。
私が大学生の頃、教授から聞いた今も心に残っている言葉があります。
孫子の「彼を知りて己を知れば…」の格言がベースですが、兵法よりもマイルドな表現で好きです。
上記のお話は、前回も今回の授業でも紹介しました。そして、この講義は、法人税法の具体的な内容を覚えようというものではなく、知ったことで広がる「視点」を手にしてほしいということを伝えました。
■ 講義を終えて
2回の講義の内容は、以下の構成でした。
上の写真は「税務コンサルティング」のお話をしたときのものです。税理士は、会計や税の専門家であり、会計や税の知識を常に学び続けることが仕事の1つです。専門知識を深掘りするか、視野を広げていくか。私はバランスよくやりたい。税への知識を高め、かつ相手を知るために経営学も、それぞれの業種の仕事内容も、社会情勢も、視点をたくさん持つことでよいコンサルティングをしていきたいという考えを伝えました。
これって税理士やコンサルティングに限ったことではありません。どんな業種でも役割でも、通じることだと思います。
学生にはいくつか本を薦めました。本は視点の宝庫。でも本だけではなくSNSだって活用できますね。例えば、今書いているnoteという場。いろいろな考え・価値観・世界を、知ろう・紹介しようというやり取りが日々行われています。相互に「自分らしく生きる・働く」に繋がる作用があるように感じます。少なくとも私は、新しい視点を何個も手に入れました。
授業には約250名。授業後、出席登録を兼ねたアンケートには、たくさんの感想や意見を頂きました。「社会の見方が変わった気がする」「新しい世界が広がった」という感想も。拙い授業の中でも世界が広がる感覚を実感してくれた学生がいる。
大学生の鋭い意見に刺激を受けつつ、とても嬉しい時間になりました。
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