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双子の父親として思うこと

去年、三つ子の次男虐待死事件という非常に悲しい事件がありました。昨日は、この事件の控訴審。

私は、長女(4歳)次女三女の双子(2歳)の父親です。SNSでも、双子・多胎児コミュニティ等の情報を日々閲覧しているので、この事件の後は、本当にいろいろな意見を見ました。

ただ、私自身、思うことはあるけれど、発信はしませんでした。

理由は、たとえ、多胎児という共通点があっても、その過酷さは当事者にしかわからない。子供が1人亡くなっています。出ている情報だけで、軽はずみな発言はできないと思いました。ですので、刑が妥当か否かではなく、私自身の育児体験から思うことを少し書きたいと思います。

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母親がノイローゼの時、父親はどうしていたのだろうか。

こちらの記事ではこのような記述があります。

夫は半年間の育児休業を取得していたが、おむつの取り換えに手こずったり上手にあやせなかったりしたため、母親は夫を次第に頼らなくなったそうだ。

私も長女の時は、意欲だけ空回りのダメパパでした(今も継続中かもしれませんが・・)。おむつ変えても、つけ方が悪くて漏れる。ミルクを作るのが遅く、急いだら温度が熱すぎた。あやしたら、逆に泣いて妻への負担を倍増させた。いびきがうるさい。妻は寝不足でヘトヘトですから、「もうやらなくていい!」と何度も戦力外通告を受けました。

これは「父親あるある」だと思います。でも戦力外通告を受けたとしても、家族は家族。プロ野球選手のように契約が解消されるわけではありません。私も「もっと優しく言ってくれ。頑張っているんだよ・・。」「じゃあもうやらないよ」という気持ちと「なんとか家族を支えたい」という気持ちを併せ持ちながら、乗り越えました。

私はそんなこんなで、多少育児レベルが上がった状態で、双子が生まれましたので、さすがにおむつの失敗もないですし、ミルクを同時に2人あげることもできました。おむつ交換2倍、ミルク2倍、あやす・寝かす2倍、そして長女もまだ2歳(よく周囲からはほとんど三つ子ちゃんね、と言われていました)。育児というか、やることが多すぎて、もはや繁忙期の事務仕事のように淡々とこなす毎日。ただ、身体的疲労は大きかったですが、長女の経験のおかげで、精神的な疲労は軽減されていたと思います。(妻はもう毎日、げっそりしていましたが・・)

だから、この事件のように、初めての子供が三つ子だった場合。想像すると、父親は父親で「俺が関わらない方が、妻への負担にならないかもしれない」と、戦力外通告を受け入れるような苦しい心情だったかもしれません。それでは当然ダメなのですが、じゃあ自分に置き換えたとき、自分自身が強くいられただろうか?・・この想像が容易にできないほど、大変な環境だったと思います。

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私は子供が生まれる前は、結構飲み会に参加していました。遊びではなく、自営なので、お客様と交流したり、いろいろなつながり、交流会に参加したり。長女が1歳すぎたころも、少しは参加していました。しかし、双子が生まれてからは、ほとんど参加していません(20時くらいに帰ることができる集まりくらいです。)。よく、以前飲みにいっていた人や会から、「そろそろどう?」と言われます。双子がいることは知っているけれど、もう2歳だし、ということで。とてもありがたい話です。

ただ、「まだ」2歳。1年前や2年前に比べて楽にはなりましたが、新たな問題イヤイヤ期突入など、妻は結局毎日ヘトヘトです。今は、私が家族の時間に必要。どうせ、娘3人です。どんどん「パパいなくていいよ(・・くさっ、きたなっ)」となるので、今現在は家族最優先で行動させてもらっています(とは言いながら、そうならないことを密かに目指していますが 笑)。

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育児、介護、障がいなど。日常的なものほど、周りが「大変ね」と思う以上に、大変かもしれません。三つ子だから、外に連れていけない。よく分かります。

私は、「あーーきつい」「疲れた~」「いい加減にしてくれ~」とは言うものの、充実して過ごしていますが、そうとも言っていられない人もたくさんいるでしょう。

今回の事件で行政側への改善も求められています。それもそうかもしれませんが、例えば我々会社の人間も、社員や仲間で、育児や介護等に追われている人がいたら、少し相手の状況を想像してみる。私は介護の経験がありませんが、毎日親の介護が必要な人がいたらどれだけ大変だろうか。こういった意識や社内の体制づくりも大切だと思います。

子供を産みたかったのだから大変なのは当たり前。親の介護が必要なら、施設に預けるべき。正論かもしれませんが、そんな意見がもし社内で飛び交うようでは、働き方改革など進むはずがありません(個々の考えは別として)。

今回の事件。ノイローゼとはいえ、一線を越えたこと。想像したくありませんし、許せない行動です。妻とも話しましたが、その行為だけは、お互い一致で共感できないという意見です。

ただ、ノイローゼに、その行動に至ったこと。その因子は、お母さんだけではないだろうと思います。お父さんだけでも、行政だけでもない。

核家族の定番化、多胎児の増加。家族、会社、行政、社会それぞれの括りが、こういった幼い命を守る体制でなければいけないと感じました。

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