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2月2日の仮想通貨市場に何が起こったか

2月2日、日本のメディアは、コインチェック社への金融庁の立ち入り検査が始まったことをトップラインで報じていた。コインチェック社を巡っては、メディア報道が過熱し、SNS上の口コミ情報も入り乱れ、大騒ぎとなっていた。ここに加えて、香港のBitfinex社と関係の深いTether社が発行するドルペッグ仮想通貨USDTを巡る疑惑報道が流れ、インドの財務大臣のビットコインに関するコメントを巡っても、様々な憶測が乱れ飛んだ。

こうした中で、仮想通貨市場は、1月17日に続く、今年2度目の大きな下落を示した。ビットコインこそ、10%程度の下落で済んでいたが、アルトコインは軒並み20-30%も下落し、時価総額ランキングで30位までがすべて前日比マイナスとなった。仮想通貨全体を示す指標として、coinmarketcap.comによるmarketcapの金額で説明しよう(グラフ上段)。marketcapは、1月8日に$830Bの史上最高値を付けた後、1か月にわたって下落基調にあったが、日本時間の午後9時47分、一直線の下落から、ついに$348B、ピーク比で-58%の下落となった。

しかし、その直後に、相場は急反発し、午後10時32分には$400Bを回復する。その後、ほぼ400台を維持して相場は24時間経過後も$430程度の水準で安定しつつある。$350Bを割ったときの急落感は目がくらむようだったが、とりあえずはピーク比半値で何とか落ち着きを取り戻した形だ。

マーケットの参加者がどのような思いでこの間の動きを見ていたのかは分からない。コインチェック社が取引を停止しているので、売買ができずに困っている投資家も多いだろう。とはいえ、1年前の仮想通貨市場の規模は、$20Bもなかった。それから比較すれば、なお前年比20倍の水準である。最近、新規参入した投資家の中には損失を出している人もいるが、全体としてはなお大幅に含み益を持っていると考えられる。高値で売れなかったことを後悔している人もいるだろうが、仮想通貨はガチホ(ガチでホールド)が基本ともいうので、この程度の下落は気にせず、今後の上昇を期待している人もいるだろう。相場は一寸先は闇である。どういう展開になるか、誰にも予想がつかない。

この間、各種コインのシェアはどう推移したのだろうか(グラフ下段)。1週間を通してみれば、相対的に値下がりの少なかったイーサリアムがややシェアを伸ばしたが、全体的にはほぼパラレルに各仮想通貨の価格が推移したことがわかる。

1週間のチャートを詳しく見ると、2月2日の午後10時前後のビットコインのシェアに大きなスパイクが記録されている。この時間帯、ビットコインも$10000/BTCから$8000/BTCへの値下がりを記録しているのだが、市場の急落と急反発のタイミングが、ビットコインとアルトコインとで微妙にずれていたことを示している。価格情報の伝わり方に遅延があるのか、各市場の価格生成自体にタイムラグがあるのか分からないが、仮想通貨市場自体が個人投資家中心の未成熟な市場であるだけに、ストレス時に市場がどう反応するかについての貴重な経験だったと考えることができるだろう。

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