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“スキップしすぎた未来”を巻き戻せ!? 2021年、空間✕リモートでやりたいアイデア6つ


あらゆるもののオンライン化・リモート化が加速した2020年。

望んでいた未来に近づいたと言うけれど、何か大切なものまでスキップしてしまった感じがしませんか。ちょっともやっとするというか。それって何でしょうね?

空間デザイナーと配信ディレクターによる兄弟ユニット「岩沢兄弟」は、そんなスキップしすぎた未来を巻き戻すべく、2021年「こんなことをやってみたい」というフラッシュアイデアを考えてみました。


1. 重役フロアをスタジオにせよ!

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役員の椅子を目指すのに、社内政治はいらない。重役室をスタジオにして予約できるようにすればいい。

「社長の椅子」とか「重役の椅子」とか、ポジション争いの例えとしても使われる「椅子」。こんな状況下だからこそいっそ、どんな社員も座れるようにしてみてはどうでしょう?

バーチャル背景使わなくても、執務室を改装して配信ブースをつくらなくてもいい。だいたいの重役室はその会社らしさも宿っているし、かぐや調度品も立派です。空間自体が魅力的なのだから、あとは配信用に最適化するだけです。デジタルに強い若手社員がプロジェクトを立ち上げ、機材を入れセキュリティもアップして、使い勝手のよい新時代の重役室(兼スタジオ)をつくり上げていけばいい。

重役フロア・応接スペースに散りばめられた「企業文化」に触れることで、見せるべき会社の姿も社内外に提示できるはず。社内の風通しもよくなる一度で何倍もおいしいアイデアです。どうでしょう、社長!

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2. リモート転勤キットをどうぞ

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「会社ってそもそもなんだっけ?」って気分になりませんか。リモートワークを続けていると。せっかくならさらに謎めく体験を味わってみるのもいいかも。

ある日、東京在住のあなたが上司に呼び出されます。もちろんオンライン会議室に。そうして告げられる突然の辞令。「明日から秋田支社に異動してください。リモートで」と。

リモートなのに転勤とはこれいかに。翌日からあなたは秋田支社のSlackチャンネルに入り、秋田支社のメンバーとオンライン会議をして、歓迎会もリモートでそれぞれの家からアクセスします。

そのとき会社ができることは「移動せずとも異動した」気分をつくること。異動が決まったその日以降、本社からは秋田の食材や風物が定期的に届けられます。

リモート転勤であれば、引っ越しや単身赴任のストレスに身を晒されることなく、経験を豊かにし、人材交流ができます。リモートワーク続きだと煮詰まりがちな人間関係も、定期的なリモート転勤でシャッフルされれば軽くなるかも。

日本企業の「転勤」という仕組みを、ポジティブにアップデートする機会にしてみるのはどうでしょう。働くことの健康さや、新しい出会いを取り戻すチャンスかも。

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3. ホームでアウェイ。ご近所臨時出張所へ

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リモート転勤はちょっとコンセプチュアルすぎるというなら、ご近所の会社の中に臨時出張所をつくるのはいかがでしょう?

オフィスに集まったり、満員電車で通勤することは感染リスクが高い。かといって家庭内で仕事をし続けるのもなにかと不便。そんな社員に向け、自宅近くのシェアオフィス利用を進める企業もあるようですが、せっかくなら地域の別の会社を借りてみるアイデアです。

ある日、総務部からお知らせが届きます。「あなたの近所の◎◎商事さんの席が空いていたので3席レンタルしました。そちらもお使いいただけます」と。

行ってみると、商店街の一角にある地元企業の事務所。会社がレンタルした席には、同じ地域で暮らす同じ会社の面々が。アウェイな空間に一緒にいることで、オフィスに通っていた頃は話さなかった他部署の人と仲間意識も芽生えます

よその会社に交じるのはちょっとした居心地の悪さもあるけれど、新鮮な発見や交流も生まれるはず。家のなかのワークスペースや無機質なシェアオフィスを経験した後だと悪くないと感じたりして。

リモートワークが解除されて再集合したときには、社員一人ひとりが逞しくなっている……かも。

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4.いっそ大きなアレクサになろう

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でもやっぱりリモートワークは自宅がいいという方もいるはずです。

書斎や空き部屋があれば確かにいいですよね。ただリビングの一角を使うしかなかったり、一緒に暮らす人も同時にリモートワークをしてたりする環境だとなかなか不便。

僕たち岩沢兄弟も、自宅用リモート会議ブースの相談を受けることがあります。実際いろいろなメーカーやデザイナーがパーソナルスペースの提案をしてますが、機能面や価格面で争ってもおもしろくない(僕たちが)。

ということで提案したいのは、「大きなスマートスピーカー型のブースのなかでアレクサのふりして仕事する」です。リモートワークの何が問題って、家の中に独りでぶつぶつ仕事の話をしつづける人がいる違和感がかさばることだと思うんです。

アレクサでもグーグルでもSiriでもいいんですが、スマートスピーカーが普及しつある現在、家の中にあって独り言を言っている機械の存在にもみんな慣れてきた頃ではないでしょうか。

ちょっとまだ一方通行感が残るスマートスピーカー。その姿ならば防音機能までも必要なくて、同居する人たちも「大きいアレクサが何か言ってるな」という状況になるのでは! ……え、ならない?

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5. 恋しい旅行、そしてボックス席!

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この状況下でつらいのは働く場所だけではありません。

旅行、恋しくないですか? 誰かと一緒に旅をする。道中、美味しいものを食べながら移動する。その時間がいかに尊いか、全世界レベルで味わっている今日このごろですよね。

特に電車のボックス席なんて旅情があって最高ですが、今は新幹線でも席を対面にして座ることは禁止されています。

じゃあ、「移動型バーチャルボックス席カー」はいかがでしょう? 用意するのは2台の車。その中には片側だけのボックス席があって、正面には別のボックス席の様子が投影されています。友達のところにもこのスペシャルなカーが訪れています。

この中なら安心して一緒に駅弁を食べたり、車窓を眺めたりできる。「熱海まで60分」とか「秋田まで4時間」とか移動時間を指定して、その間だけ旅情を味わうサービスです。

もちろんお宿に泊まったりはできないのですが、それは状況が落ち着いてからでもいい。いま必要なのって、同じものを眺めながらのとりとめもない会話なんじゃないかなーって思っています。

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6. オフラインでオンラインな仲人

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でもそもそも、旅行が行きたなくなる相手と新たに出会うことも減りましたよね。

ここ数年、活発になっていた婚活や恋活もオンラインシフトがどんどん進んでいると噂で聞きます。アプリをつかって知り合う仕組みならオンライン化もしやすいですが、昔ながらの「おせっかい」的な出会いのつくりかたは、なかなかオンラインでは難しいもの。

そこで考えたのですが、仲人だけがリアルで会うお見合いはどうでしょう? 同じ家に暮らす人(夫婦や姉妹など)が仲人になったり、ご近所同士が感染対策したりしてやる感じで。

仲人が居間に集まり、当の本人たちはパソコンの中にいる新時代のお見合いです。ちゃぶ台の上でノートパソコンをひろげ、「こちらが◎◎さんです。△△△に勤めてらっしゃって…」なんて仲人が紹介するところからスタート。

もちろん「お若いふたりで」タイムもあって、そのときはパソコン2台が居間に置かれていきます。インターネットでは当人同士を繋がず、パソコンを物理的に対面させるという依代システム。よく見えないだろうし聞こえないだろう歯がゆさもお見合いには程よいのではないでしょうか。

でもたぶんこれをやって一番楽しいのは仲人のほうなんですけどね。おせっかいする楽しみ、人と人を繋ぐ喜びもまた、いま欠けているものなのかもしれません。

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“スキップしすぎた未来”を巻き戻す? 加速する?

以上、荒唐無稽だけど、大真面目に考えてみた2021年「未来を巻き戻す」アイデアでした。

実際のところ、2020年僕たち全員の身に起きたことは、荒唐無稽なほどの変化でした。移動や越境に自粛を求められ、親しい人との食事や対面が封じられ、限られた空間や関係のなかでインターネットを頼りにコミュニケーションしていく。

本当は一歩一歩進んでたどり着くべき未来に一気に来てしまった。そのことにちょっと疲れたなとか、無理があるなっていうとき、後ろ向きに視点を向けてみると色々見えてくる気がします。

もちろん「いや、アイデアだけじゃなくて、実際にやってみようよ。スポンサードするからさ!」という太っ腹な企業の方がいたら大歓迎です。こちらに連絡ください。お待ちしています。

さて、これを読んだ皆さんは、“スキップしすぎた未来”とどう付き合いますか? それもいつか直接会って話してみたいことのひとつです。

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📺おまけ。この記事の舞台裏動画📺

*2020年秋に岩沢兄弟とその仲間たちで立ち上げた「放送室」プロジェクトでは、地域のメディアセンターの可能性を探りながら月1回のの「試験放送」をしています。この記事は、2021年1月22日の試験放送#04で公開アイデア会議をして生まれました!


(イラスト:岩沢エリ)


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