短編「夢で会うクラスの女の子
【夢で会うクラスの女の子】
高校生の僕には、毎晩夢の中でよく会う女の子がいた。
それは同じクラスの小川さんにそっくりな人だ。
小川さんはおとなしくて男子とは喋らない。
でもクラスで一番かわいい女の子だ。
そして今夜ぼくは夢の中で会って、
彼女に話しかけることにした。
ねえ、もしかして小川さんだよね?
そうよ、君は高木くんよね?
あっ、そ、そうだよ、
ねえ、俺たちって今、同じ夢の中にいるんだよね。
いると思うわ。いるで確定よ。
高木くんと初めて喋った。
なんだか嬉しいわ。
それは、ぼ、僕もだよ——。
(次の夜)
高木くん、また夢の中で会ったね、
なかなか学校では話せないけど、
夢の中だと話せちゃうね。
そうだね、なんだか不思議ね
ところで小川さん、
君は好きな男子とかいるの?
それは……高木くんに決まっているじゃないの
えっ?俺なの?本当に言っているの?
もちろん。本当よ。
実はずっと前から好きだったの
ありがとう。それは嬉しいよ。
ねえ、これからも夢の中に来てくれる?
もちろんよ。ずっとこの夢の中で二人きりでね会いましょう。
(夢で会って1ヶ月)
ねえ、小川さん、
夢の中でのおしゃべりもいいんだけど
そろそろ現実の世界で君とおしゃべりがしたいな
現実世界の教室で話したらダメかな?
君と現実で話したくてたまらないんだけど。
そうね。
私も高木くんと現実で話したいと思ってたところよ
ねえ、そもそも俺と小川さんって
本当に同じ夢の中にいるのかな?
もちろん。同じ夢に決まっているでしょ
じゃあ、もし気になるんだったら、
明日の朝、学校でおたがいに見つめあって
同じキーワードを言い合いましょ。
それはいいね。わかった。
そのキーワードは?
おっぱい、でどうかしら?
えっ?そ、それじゃないとダメなの?
それしか今は思い浮かばないからそれでお願い。
さあ、もうすぐ朝よ。
数時間後に学校であいましょう。
わかった。
じゃあ、明日の朝、
そのキーワードを「せーの」で言い合おう。
(翌朝)
あっ、小川さん、おはよう。
えっ?お、おはよ……
いくよ、小川さん、せーの。
おっぱい!!
はあ?
急にキモいんだけど……
そしてその夜から
小川さんは僕の夢に出てくることは2度となかった—— 。
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