原発ムラ

最近、女川原発で働く労働者が数人立て続けに来た。会社の健康診断で引っかかったから、「酒楼可能」という診断書が欲しいというのだ。みるとちょっとコレステロールが高いとかちょっと酒の飲み過ぎで肝機能が悪いとか言うようなもので、一般的就労に何ら差し支える話では無い。なんで女川にも病院があるのに当院に来るのかというと、彼らの寮がこの近所にあるらしい。それで、先日一人が高血圧で来てその治療をしたらその人が「あそこへ行け」と言ってくれたようだ。



私はもちろん女川原発再稼働に大反対だが、そこで働く労働者の健康管理は別の話だ。まして私の診断書一枚で彼らが職を失ってしまうのでは大変だ。だから上記疾患に付き定期的通院治療を要するが就労は可能であるという診断書を出した。東北電力としては医者のお墨付きが欲しいのだろうし、私としては定期的に通ってくれる患者が増えたわけだ。



しかしこれで私も原発村の一員になってしまったようだ。「原発に群がる人々」というと如何にもあくどい自民党の地方議員などを思い浮かべるだろうが、私の所に来るのは汚れた作業着を着た中高年の労働者だ。原発で食っている人が原発村の住民なら、彼らだってそうだし、それを治療する私だってそうだ。



原発の問題は根深い。原発を再生可能エネルギーに転換していくにしても、彼ら労働者をどうして食わせていくのかまで考えて事を進めていかなくてはなるまい。裾野が、広すぎる。

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