ノドグロの話

今日午前中診療中に電話が鳴って、手が空いている時にかけ直したら箕寿司のご主人でした。箕寿司の本店は昔本町にありましたがとうに店をたたんで、私が懇意にしているのは太白大橋のたもとにあるのれん分けした店です。さすがに本店から暖簾を許されただけあって腕は確かです。



で、ご主人の電話の主旨は、私に頼まれた北陸のノドグロが最近仙台市場に毎日入荷してるんだけど、と言う話でした。皆さんもノドグロの塩焼きって食べたことあるかも知れませんが、この辺で言うノドグロは、実は魚を扱う人たちからはカジカと呼ばれる魚だそうです。丁度掌サイズの、小ぶりな魚です。しかし石川や富山辺りの北陸では全く別のノドグロという魚を食べるのです。どんな魚かというと、箕寿司の大将曰く



「でかいんだよ。一匹1kg以上ある。で、市場の競り値も8千円とかするんだ」



そうです。それが、北陸のノドグロであります。だいたい一匹1.2kgとかそれぐらいあって、とても一人で食べきれるものではありません。祝い魚です。昔私が東北大で教鞭を執っていた時、あちらに講演に行ったらご接待でノドグロ一匹を煮付けてドンと出してくれました。大変なおもてなしです。もちろん私1人で食べられるものではありませんから、皆で突いて食べるのです。あれがまた食べたい、と大将に頼んだのでありました。



しかし考えてみれば当家は初老の二人住まいです。到底、2人で食べきれるものではありません。しかも市場の競り値が8千円というのですから、店に出たらそれだけで幾らになるやら・・・。



結局自分で頼んでおきながら、断念したのでありました。初老ぐらいの胃袋だと、4人ぐらい集まらないとあれは食べきれないですねえ。

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