新型コロナの漢方治療の意義

新型コロナのBA5と言う株は、重症化する率は低いのですが感染力が凄まじく、分母となる感染者数が膨大なため、結局重症者数が多くなって医療崩壊を引き起こしています。救急医療、呼吸器医療、集中治療の現場はとうに限界を超えているので、何とかして重症化を防がなくてはなりません。


ところが、今一般に行われている発熱外来はコロナを診断するだけで、薬というと解熱鎮痛剤ぐらいしかないのです。しかもその解熱鎮痛剤も供給が枯渇しています。これでは重症化を防ぐことは出来ません。しかしBA5の起こす病態を漢方医学の視点から見ると、傷寒(しょうかん)と弁証でき、適切な治療を行うことが出来ます。実際、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)を合わせた治療を軽症コロナに行うと重症化を防ぐことが出来るというデータも示されました。しかしそれを聞きつけた西洋医は、それっとばかりに小柴胡湯加桔梗石膏に飛びついたので、今度は小柴胡湯加桔梗石膏が枯渇してしまいました。漢方大手メーカーツムラによると、9月末まで市場に供給できる見込みは立たないそうです。


しかし今小柴胡湯加桔梗石膏を使っている医者のほとんどは、漢方医学を知らない西洋医です。彼らは小柴胡湯加桔梗石膏が本来どの様に使われるべきなのかをまるで理解しないまま、単に咽頭炎に対する解熱鎮痛剤の代わりとして使っているだけです。これでは小柴胡湯加桔梗石膏が適切な効果を発揮できず、無駄に消費されるだけになってしまいます。



医者であれば誰でも漢方薬を使えるにもかかわらず、医学教育できちんと漢方医学を教えてこなかった弊害が露骨に現れているのです。



私は漢方医学及びその元になった中国伝統医学を体系的に学んだので、コロナに小柴胡湯加桔梗石膏などと言う馬鹿の一つ覚えのような治療はしません。きちんと「この患者は傷寒太陽病位だ、こっちは傷寒太陽病位と少陽病位の合病だ、この患者は傷寒ではなく温病だ」と見分け、それぞれに適切な漢方治療をします。こうすることで、少しでも重症化を減らすことが出来れば、救急医療や集中治療の疲弊を緩和することに繋がります。喉元過ぎれば熱さを忘れるではいけません。今度こそ、医学教育に体系的な伝統医学を取り入れるべきです。

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