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10年前に起業していたときの会社のルールをふりかえる

過去に3度の起業経験があることを売りにしているIwaoです。働き方改革で世間がざわついていますが、昔、私が代表をやっていた会社では働き方改革っぽいことをやっていました。10年以上前にです。受託開発がメインで自社製品の売り上げがぼちぼちある感じの15人くらいのIT企業です。

当時はハードワークがそこそこ当たり前だった時代で、知り合いのエンジニアも鬱になった人を何人も見てきました。そのせいか非効率な労働を強いられられないために、なるべく心身の負担のかからないような働き方を模索していました。

最近この話をすると意外とウケが良いので、当時の会社制度をワークエンゲージメントの切り口で振り返ってみます。

ワークエンゲージメント: 没頭

会社のメンバーのジョブは基本的にエンジニアとデザイナーだけなので没頭=パフォーマンスと考えていました。没頭するためには自分で営業もしていたので時間の管理をうまくやろうと考えてました。

自宅作業制度

事前に申告すれば自宅作業OKです。最近は色々な会社で施行されていますが、当時は珍しく自分でも画期的だったと思っています。

銀行や役所など事務手続きを効率化するために導入したんですが、非常に好評でこれを目当てに入社する人もいたほどです。交通費の節約にもなりますし、都心から離れた所に住むこともできます。

課題は本当に働いているのかをどう監視するかですが、信頼の元で管理しませんでした。基本的に何かしらの権限を移譲することで、成果を出さなければそのまま自分に返ってくる仕組みが必要と考えています。

また、最初は週1くらいにしてフルリモートはやめといたほうがよいです。自宅作業は孤独になりがちで精神的な負荷がかかってきます。メンタルに自信がない人や、本人はよくても他人が気になるマイクロマネージメント型の管理者、指示がないと仕事ができない労働者がいると難しいかと思います。

固定電話を置かない

没頭が肝なので固定電話は置きませんでした。「エンジニアやデザイナーが電話に出る必要なくない?」的な課題は色々な人から聞きますね。実際に重要な電話は会社で契約した携帯電話だけで十分でした。

ビジネスチャットのない時代で、メールという即レスを求められないツールが社外とのやり取りのベースにあったからうまくいったのかもしれません。

課題は固定電話がないと通らない事務手続きがあったので、その辺は制御不能でした。今はどうなんだろう?

ひとりハッカソン

「外国人は1ヶ月くらいまとめて休暇をとるらしいよ」に刺激を受けて、長期休暇をとる人はとってました。しかしあまり効果的ではなかったかなと思います。なぜならビジネスチャンスのウェーブは2週に1度くらいくる感覚だったので、日本に戻った時には浦島太郎状態になりリハビリコストがかかる印象でした。

変わりに旅行ついでにハッカソン的にプロトタイプを作るようにしていました。有給ではなく出張になりますが、旅の間はほとんどホテルでPCと向き合うだけになりますw

ワークエンゲージメント: 活力

活力と熱意を区別するなら、活力=継続的なモチベーション、熱意=瞬間的なモチベーションとして考えています。活力は事業の存続に必要で、筋トレみたいに習慣化することが求められます。

フレックス制度

満員電車には絶対に乗らないという強い意思があってフレックスタイムを作りましたが、既に多くの企業が導入してて目新しさはありませんでした。裁量労働自体がフレックスを包括するので、逆に時間労働型のジョブの場合は活きるかと思います。

満員電車に乗らないだけで、心穏やかに仕事に活力を見出すことができます。ただ脳が活発な午前中にミーティングをできないことが課題としてありました。

年俸申告制度

評価という概念はなくて「いくらほしい?」って聞いてそれがそのまま年俸になりますw

お子さんがいる家庭と独身では生活費が違いますから家族手当みたいな制度に近いと思いますが、それを定義するのではなく仕事量で調整する制度でした。その年俸分は稼いでもらわないと困りますが、一人ひとりが赤字にならないように単価とか利益を考えて行動して、自主経営的な目線を持つようになっていきました。

課題は無謀な年俸を設定された場合です。一歩間違うと大赤字になり、税金地獄と営業負荷が高くなってしまいます。そこはフリーランスの経験があるかそれを志す人だと理解できるかと思います。

服装自由

スーツはデザイン的には好きでしたが、当時は値段が高くメンテナンスも大変で経費でもダメって言われたので、服装に縛りをなくしました。

課題はビジネスの場からかけ離れた服装の人を雇った場合です。短パンは?サンダルは?みたいなボーダーラインを決めて、細かく定義するしかないかと思います。

ワークエンゲージメント: 熱意

熱意(瞬間的なモチベーション)は、事業の立ち上げやチャレンジが求められるような場面で、意欲的に行動するための指標と考えています。但しエゴと履き違える場合がありますので、セルフコントロールもできないといけません。

週休3日制度

Googleの80%ルールに衝撃を受けて一日は自由な日を設けます。役員はフリーデーが被らないようにしていました。金曜が週に2回くるマインドに優しい制度です。平日の空いてるときに買い物に行ったり副業でも何でもできるので、非常に時間効率は良かったです。

課題はフリーデー以外の4日間で5日分の業務のこなすので、帰りが遅くなりがちで高い集中力が必要でした。仕事とプライベート、オンとオフをはっきりさせたい人には向いていないと思います。

ビジネスモデル雑談

思いついたアイデアは雑談レベルですぐに壁打ちします。「これやったら儲かりそうだけどどう?」「いや◯◯社がシェア握ってるからハードル高いですよ」とか「面白そうですね!プロトタイプ作ってみたらどうです?」みたいに雑談レベルでアイデアを形にしていきます。

プロダクト開発の原則を理解しているチームであれば効果的です。そうでなくても雑談自体が効果的だと思っている人でも成立します。

課題は雑談が楽しくて何時間も話し込んでしまう日もありました。「鉄は熱いうちに打て」で、ある程度のところでアイデアの価値を判断してすぐに手を動かせる環境が必要です。

他人を巻き込む

製品開発では一人より二人以上のチームで活動したほうが効果的なことを学びました。他人を巻き込んだほうがモチベーションを相互に高める効果があります。

注意点は社外にも声をかけたりしてましたが、コラボする場合の製品の権利やレベニューシェアの条件でトラブルになりかねないので、契約をしてメタ原則を定めてからしっかり進めましょう。

雑感

今振り返るとエキサイティングなこれらのルールですが、7年以上会社を存続できたことを考えると、無駄の共通項を削ぎ落として個の自己実現に時間を確保することができれば、仕事の密度を高められると身をもって体験できました。

ただホワイトにするのではなくQCDを上げるための施策なので、本質は見失わないように、ルールを定めることでより多くのエンジニアやデザイナーがパフォーマンスを発揮できるようになってほしいです。また僕自身も10年後の未来を予測しながら働き方を模索したいなと思っています!

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