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紫陽花


涙滴り 紫陽花が咲く
無垢な貴方が 消えていく 


おいでと囁く 貴方の声に
夜が凪ぐのを 願ってた

知らなければと 心が鬩ぐ
底の無い身に 満ちる毒

初夏の曇天 遣らずの雨が
移ろう心に よく響く

愁いを帯びた 紫陽花が咲く
蒼い四葩が 頬に散る


次に逢う時 貴方は他人
その日の夜は 恋人で

いつかのどこかで 貴方と出逢う
都合の良い人 それで良い

初夏の荒天 篠突く雨に
涙忍ばせ 空仰ぐ

紅い四葩の 紫陽花が咲く
その燃ゆる色に 胸が熱い


嘘か本音か 隠せぬ想い
惑う心を 忍ぶれど 

毒か薬か 紫陽花が咲く
色に出でにけり 恋心

初夏の夕暮れ 雨夜の月を
搔き抱いたまま 見ないフリ

涙滴り 紫陽花が咲く
無垢な貴方が 消えていく

涙滴り 貴方が咲いた
初心な私は もういない


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