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【出産】体験記5~手術室へ~

マジパねえ!
初めての出産の記録。


当日、分娩室にて

「赤ちゃんの心音が下がってるみたい。ちょっと確認しますね」

赤ちゃんの心音が下がっている…?それは、大丈夫なの…?

腹の痛みと不安と疲労でほぼ放心していた私は、助産師さんの言葉で急に冷静になった。

わが子が苦しんでいる。はやく出してあげられないからだよね…?ずっと陣痛から逃げ続けている、私のせいだよね?自分だけしんどいみたいな顔してたけど、つらいのはこの子も同じなんだ…。

しかしここで何が何でも出してあげるからね!と一念発起にならなかった私の思考。赤ちゃんが股から出るビジョンが全く持てない。これ、切っちゃえばすぐに出してあげられる?帝王切開なら痛いの終わる?←情けない!世のお母さん、経膣分娩乗り越えててすごい!えらすぎ!拍手とガソリンの割引バーコードを差し上げたい!

情けなく色々と考えている間に、子宮口チェックの内診を終えた助産師さんが、声をかけてきた。

「トイレに行ってみますか。赤ちゃんが膀胱に押されて、苦しくなっちゃうこともありますからね~」

優しく言いながら、テキパキと機器を操作する助産師さんのネームプレートには「師長」の文字が。そういえば、朝からお世話になっていた若い助産師さんは昼間担当って言ってたっけ…。分娩室入場と同時に「交代前に出てきてくれるように、頑張りましょう!」と言われたのを思い出した。もう19時か。交代しちゃったんだな…。

入院してから12時間が経とうとしていた。師長さんに言われて尿意を思い出した私は促されるままトイレに立とうとした。が、このタイミングで痛みがきてしまいベッドから離れられなかった。

そうしていると、先生が2人部屋に入ってきた。いつもの若い骨格ストレートであろう男性の先生と、麻酔医と名乗る40~50代であろう女性の先生だった。どうして先生が2人も。もう19時ですよ?まさか、それほどまでにヤバイ状況なのか?

ただならぬ雰囲気と尿意で鳥肌を立てている私に、先生たちが掛けた言葉は帝王切開の提案だった。説明された理由はこんな感じ。

赤ちゃんの心音が低下していること。
陣痛が始まって経過した時間のわりには、子宮口が開いておらず赤ちゃんが下りてきていないこと。
臍の緒が絡まっている可能性があり、赤ちゃんに酸素が届いているか心配であること。←え?
破水はしていないのに羊水が少ないこと。←え??

「もう少し頑張ってみる手もありますけどね~」とのことだったが、股から出るビジョンが持てないし、気になる文言がいくつかあったので早く出したい。これで陣痛とおさらば出来るとなると腹切る一択では??いつの間にか、師長さんが尿道カテーテルと酸素マスクの準備を整えていた。

気づかぬうちに夫が戻ってきており、一緒に話を聞いていた。私たちは決断を迫られた。まあ私はというと「この陣痛が終わるなら」と、どこまでも情けないメンタルだったので決断も早かった。夫は?

なんだか涙目になっているようだ。心配かけて、ごめんね。

帝王切開でも良いと思っている旨を夫に話すと、夫もそれに賛同し先生たちに改めて伝えてくれた。夫の声はめちゃくちゃ消え入りそうだったし震えていた。嫁が腹を切る状況に動揺が隠せなかったらしかった。ほんと、長丁場にしちゃってスンマセン。


つづく。

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