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【マッチプレビュー】2023明治安田生命J2リーグ第24節 いわきFC対栃木SC

2023明治安田生命J2リーグ第24節。いわきFCは7月5日(水)、いわきグリーンフィールドに栃木SCを迎える。この試合の見どころについて解説していこう。

■試合の見どころ

現在21位のいわきFC。今節、ホームに迎える相手は17位・栃木SC。現在勝ち点21位のいわきにとって、降格圏脱出の足がかりとするため、何としても勝利を得たい一戦であるのは言うまでもない。

この試合の見どころは

①相手3トップ対いわきの2CB
②いわきの攻撃陣対相手DF陣
③セカンドボールを巡るバトル

などだろう。

栃木の戦力分析をする前に、まずはいわきFCの至近の戦いを振り返ろう。

第22節はアウェーで22位・大宮アルディージャとの対戦。前半7分、FW吉澤柊のゴールで先制し、その後も攻守で優勢に試合を進める。後半に1失点したものの、約8カ月ぶりに復帰したMF岩渕弘人が追加点を奪うなど圧倒。"裏天王山"を5対1で制し、田村雄三監督体制での初勝利をつかんだ。

そして7月2日の第23節は、アウェーでブラウブリッツ秋田と対戦。いわきのフォーメーションは4-3-3。メンバーはGK鹿野修平、DF河村匠/遠藤凌/家泉怜依/石田侑資、MF山下優人/下田栄祐/宮本英治、FW17谷村海那/FW18吉澤柊/11有田稜。

フィジカルと縦への速さを武器とする同士の「東北ダービー」は、予想通り激しい戦いとなった。序盤、秋田がセットプレーから立て続けにチャンスを得るも、いわき守備陣はしっかりと跳ね返し、GK鹿野も好セーブを見せ無得点。前半途中からは攻撃陣が積極的に仕掛け、秋田を押し込んでいく。

後半もいわきの流れは続いたが、先制点を得たのは秋田。後半33分に右サイドを崩し、途中出場の三上陽輔がゴール。1点のビハインドとなり、試合はアディショナルタイムに突入。ここで途中出場のFW岩渕弘人がファウルを受けてPKを獲得。自ら決めて土壇場で同点に追いつき、1対1の引き分けに持ち込んだ。

いわきFCの通算成績は5勝6分け12敗の勝ち点21。順位は依然、22チーム中21位。ただし田村雄三監督の就任以来1勝2分けと、無敗が続いている。

1トップに入り、ボックス内での力強さを示すFW吉澤、これまで求められたボールを収める役割に加え、右サイドで新境地を拓くFW有田、アンカーの位置から広い視野で巧みな配球を見せるMF下田、そして負傷復帰から2試合に交代出場して2得点を挙げたMF岩渕らの活躍で、チームは躍動感あふれるプレースタイルを取り戻しつつある。

■戦力分析~栃木SC

対戦相手の栃木SCのオリジンは、1947年創設の栃木県最初のクラブチーム・栃木蹴球団。1999年に関東サッカーリーグに昇格し、優勝。全国地域サッカーリーグ決勝大会で準優勝し、JFL昇格を果たす。

2007年にJリーグ準加盟クラブとして承認。2008年にJFL4位以内に入り、2009年よりJリーグ加盟。J2へと戦いの場を移した。2015年に最下位でJ3降格も、2017年にJ3を制して2年でJ2にカムバック。2018年からは再びJ2で戦い続ける。

2022年、前福島ユナイテッドFC監督の時崎悠氏が監督就任も、前半戦で下位に低迷。後半戦も思うように勝ち点を伸ばせず11勝16分15敗の17位でシーズンを終えた。

2023年は時崎悠監督体制2年目。今オフは目立った補強はなかったものの、昨年のメンバーの多くが残留。堅守速攻のプレースタイルに磨きをかける。

いわきFCとは、4月23日の第11節で対戦。いわきは開始早々に自陣でファールを取られ、セットプレーから失点。栃木が1対0で勝利を挙げた。中盤の激しいバトルの中でFW有田、DF遠藤が鼻を負傷するなど大きなダメージを負ったいわきは、この試合を落として失速。5連敗を喫し、下位低迷のきっかけとなってしまった。

栃木のここまでの成績は、6勝7分け10敗の勝ち点25で17位。至近の第23節、アウェーでツエーゲン金沢と対戦。1対0で勝利している。メンバーはGK41藤田和輝、DF23福島隼斗/16平松航/5大谷尚輝、MF4佐藤祥/30福森健太/7西谷優希/21吉田朋恭、FW36山田雄士/38小堀空、FW32宮崎鴻。サブにはいわき市出身のベテランMF高萩洋次郎、前回のいわき戦で活躍したFW根本凌らがイン。

基本フォーメーションは3-4-2-1。相手ボール時は1トップを残した9人でブロックを組み、ボールを奪うと素早いテンポで前に展開し、積極的にクロスやロングボールを入れてくる。いわきはチャレンジ/カバーを徹底し、まずはクロスやロングボールを入れさせないこと。

警戒すべき選手はCFに入る宮崎または根本。ともにポストプレーを得意とし、ロングカウンターの起点でもある。そのため、遠藤・家泉のCB二人で抑え込み、ボールを収めさせないこと。

逆に攻撃時には、いわきの攻撃陣が相手3DFとの競り合いの中、しっかりボールを収められるが重要になる。

そして中盤のセカンドボール争いは、今回も間違いなく熾烈なものとなるだろう。いわきとしては両IHがライン間でボールを引き出し、奪ったボールを積極的に前に運びたい。連戦の中でもしっかりとボールを動かし、攻撃のリズムを作れるか。栃木守備陣はドリブル対応で後手に回るケースがあることから、有田、谷村、山下、宮本、そしてジョーカー永井颯太らの前向きなプレーに期待したい。

ちなみに、栃木SCを率いる時崎監督は福島県出身。現役時代は湘南ベルマーレ(ベルマーレ平塚)や福島ユナイテッドFCで活躍。引退後は湘南、福島でコーチ、監督を務めた。田村雄三監督とは湘南で選手、指導者としてともに日々を過ごし、2021年には監督同士、福島ダービーで二度相まみえ1勝1敗。

最初の戦いは同年2月の東日本大震災メモリアルマッチ。開始早々から激しいプレッシャーをかけ続け、福島に5年ぶりのダービー勝利をもたらした。

2度目の戦いは同年5月の天皇杯福島県代表決定戦。この試合は、3-4-1-2のトップ下に入ったFW岩渕の2ゴールで、田村監督率いるいわきがリベンジを果たした。

岩渕はこの試合をきっかけに新しい可能性を拓き、その後のシーズンでMF山口大輝の負傷の穴を埋めて攻撃的MFとして活躍。そして昨年は4-4-2の右SHとして8ゴールを挙げ、ポテンシャルを見事に開花させた。

岩渕は昨シーズン終盤に負ったケガで長期離脱。しかし今年の第22節・大宮戦で復帰するや、2試合で2ゴール。色あせないゴールへの嗅覚を示しており、今節も活躍を期待したい。

■「ゴール前の5枚をどう動かすか」田村雄三監督

「秋田さんはクロスやセットプレーの上手いチームで、ウチの失点の多くがそこから。難しいゲームになるだろうと予測していました。ボールを落ち着かせるまでにやや時間がかかりましたが、みんな辛抱強く頑張ってくれました。最後あのような形で同点にできたことはプラス材料です。

選手起用についてはフレッシュな選手を使っています。時にはうまくいかないこともあるかもしれませんが、指導者には我慢が必要。選手全員に対し、何を求めているかは明確に伝えてあります。幸いみんながそれぞれの課題に対し、前向きに取り組んでくれています。

栃木SCさんは一人一人に対し、しっかりと強く来るチーム。その点では秋田さんと似ています。守備の時、ゴール前に5枚入るので、彼らを動かさなくては点を取れません。ではどのように動かすか。それが大きなポイントになる。この試合もボールホルダーを積極的に追い越し、ボックス内に多くの人数を入れていきたい。

第22節の大宮戦から始まり、秋田戦そしてこの栃木戦を挟んで水戸、山口と続く5試合は、今シーズンを占うカギ。連戦ですが、選手達を見ているとそれほど疲労感を感じません。コンディションは悪くない印象で、選手達も気持ちが入っています。しっかりとやってくれるはずです」

■決して落とせない戦いが続く。

明治安田生命J2リーグは7月1日~2日に第23節が終了。首位を走るFC町田ゼルビアは、第22節でいわきに大敗を喫した大宮アルディージャに2点を先制されるも逆転。3対2で勝利を挙げ、15勝5分け3敗の勝ち点50。独走体勢に入りつつある。

2位は13勝4分け6敗の勝ち点43で東京ヴェルディ。ロアッソ熊本に1対0で勝利し、自動昇格圏に浮上した。3位は12勝6分け5敗の勝ち点42で大分トリニータ。アウェーでジュビロ磐田と分け、ヴェルディと入れ替わってプレーオフ圏内の3位に後退。

4位は10勝8分け5敗の勝ち点38で磐田。5位は11勝5分け7敗の勝ち点38でV・ファーレン長崎。6位は11勝4分け8敗の勝ち点37でヴァンフォーレ甲府。そしてプレーオフ圏外の7位に清水エスパルス。9勝8分け6敗の勝ち点35で甲府を追う。

降格圏の2チームはいわきと大宮。いわきは第22節の"裏天王山"大宮戦を5対1で制し、翌週に秋田と1対1で分けて5勝6分け12敗の勝ち点21で21位。大宮は町田に敗れ5連敗となり、4勝2分け17敗の勝ち点14で22位。

いわきFCにとって、今はまさに正念場。現在18位ツエーゲン金沢、19位水戸ホーリーホック、20位レノファ山口FCの3チームが勝ち点24で並んでおり、いわきは週末の第25節にホームで水戸と、翌週の第26節にアウェーで山口との対戦を控える。

今節の栃木戦を含めた向こう3試合は、降格圏脱出のために決して落とせない戦いとなるだろう。

明治安田生命J2リーグ第24節 栃木SC戦は7月5日(水)19時より、いわきグリーンフィールドにてキックオフ。試合の模様はDAZNでライブ配信される。

今年二度目となるミッドウィークのホームゲーム。水曜日はぜひ、いわきグリーンフィールドへ!

(終わり)


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