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【マッチプレビュー】2022明治安田生命J3リーグ第34節 いわきFC対Y.S.C.C.横浜

2022明治安田生命J3リーグ第34節、いわきFCは11月20日(日)、JヴィレッジスタジアムにY.S.C.C.横浜を迎える。

Y.S.C.C.横浜は、神奈川県横浜市をホームタウンとするプロサッカークラブ。この試合の見どころを紹介しよう。

■名称は「横浜スポーツ&カルチャークラブ」。

「Y.S.C.C.」とは「Yokohama Sports&Culture Club」の略。クラブのオリジンは1964年に発足した「横浜・中区スポーツ少年団」。小学生から社会人の各年代のチームを擁する市民クラブとして創設された。

その後、1979年に全日空が資本参加。数度のクラブ名変更を経て1984年、JSL(日本サッカーリーグ)1部に昇格を果たす。クラブはこれを機に、全日空スポーツが運営する「全日空横浜サッカークラブ」となった。

しかしJSL昇格から2年後、全日空に依存するクラブ運営に疑問を感じたクラブOBやスタッフが、地域に根ざしたクラブを目指して分裂。こうして設立されたのが「横浜スポーツクラブ」。中学生への指導を中心に運営がスタートされ、チームは、翌年「横浜サッカー&カルチャークラブ」と改称する。


全日空横浜サッカークラブはその後「横浜フリューゲルス」として1993年にJリーグ参戦。しかし経営不振から1999年に横浜マリノスと合併し、消滅している。
横浜サッカー&カルチャークラブは1988年に神奈川県社会人サッカーリーグ3部に参戦すると、県リーグを順調にステップアップ。2002年に運営母体がNPO法人化されるとともに、クラブ名を「横浜スポーツ&カルチャークラブ」へ変更。総合型地域スポーツクラブを目指し、多彩な活動を行っていく。

トップチームは2003年に関東リーグ2部へ昇格。2004年に関東リーグ1部昇格。2011年に4度目の関東リーグ1部優勝を果たし、第35回全国地域サッカーリーグ決勝大会で優勝。2012年にJFL(日本フットボールリーグ)参戦を果たす。そして2013年、新たに創設されるJ3への参入意思を表明。2014年から戦いの場をJ3に移した。

J3では3年連続で最下位に沈み、2017~2018年も下位に低迷。しかし2019年に現AC長野パルセイロ監督のシュタルフ悠紀リヒャルト氏が監督に就任。13位へ順位を上げると、2021年には過去最高となる8位に躍進を果たす。

2022年はFC岐阜のヘッドコーチを務めていた仲田建二氏が監督に就任。しかし開幕5連敗と波に乗れず、相模原との引き分けを挟んでさらに6連敗と低迷。仲田氏は連敗の最中、5月に辞任。星川敬氏が監督に就任した。

■注目はルクセンブルク人の大型FWロリス・ティネッリ。

いわきFCとの初対戦は6月4日のJ3第11節。前半はほぼ互角の展開も、43分にMF岩渕弘人がゴールを挙げ、いわきが1対0で前半を折り返す。後半に入り、いわきはフィジカル差で圧倒。岩渕がハットトリックを達成し、SB嵯峨理久、FW有馬幸太郎、MF鈴木翔大もゴール。いわきFCが6対0で快勝した。

Y.S.C.C.横浜はその後、7月9日の第16節でヴァンラーレ八戸を相手に初白星。8月にはギラヴァンツ北九州、アスルクラロ沼津に連勝。そして9月25日の松本山雅FC戦では、ルクセンブルク人の大型FWロリス・ティネッリが鮮やかなゴール。この1点を守り抜き、1対0の金星を挙げた。ちなみにこの決勝ゴールは、9月のJ3月間ベストゴールに選出されている。

10月にはホームでFC今治、福島ユナイテッドFCに勝利。11月に入って再び八戸に勝利を挙げるなど、現在は上向き傾向にある。

至近3試合の出場選手はGK佐川亮介、DF花房稔/柳雄太郎/藤原拓也/土館賢人、MF宮内寛斗/古賀俊太郎/山本凌太郎/松井大輔/吉田明生/菊谷篤資/和田幹大/田場ディエゴ、FWロリス・ティネッリ/脇坂崚平/河辺駿太郎/林友哉/宮内寛斗。

注目のFWロリス・ティネッリの他にも、国内外のさまざまなクラブを渡り歩いてきた元日本代表のベテランMF松井大輔など、スキルの高い選手が並ぶ。気を抜けば、足元をすくわれる可能性は十分にある。

■常に全力で戦う姿勢をはっきりと示したSC相模原戦。

11月6日の第32節、いわきFCはホームで4位鹿児島ユナイテッドFCと対戦。FW有田稜、MF山口大輝、嵯峨理久のゴールで3対0と圧勝。同日に2位藤枝、3位松本山雅FCがともに敗れたことで、J3優勝とJ2昇格が確定した。

鹿児島ユナイテッドFCは開幕戦で戦った相手。アウェーの初対決をドローで終えたチームを圧倒できたことで、シーズンを通じた積み上げを証明できた。

そして翌週の第33節は、アウェーでSC相模原と対戦。この試合は左SH鈴木翔大、左SB日高大を出場停止で欠くとともに、右SH岩渕弘人が負傷欠場。この試合でも右SBの嵯峨理久が右SHに上がり、2016年からプレーする最古参・吉田知樹が右SBで今季初先発。

試合は前半38分、右SH嵯峨のクロスをFW有田稜が頭で決め、得点ランキングトップの17点目。そして53分には吉田知樹がミドルシュートを決めて2対0。89分に隙をつかれて失点を許すも、いわきFCが2対1で勝利。例え優勝・昇格を決めた後の試合であろうと、常に全力で戦う。その姿勢をはっきりと示し、23勝6分け4敗で勝ち点を75に伸ばした。

ホームで迎える最終戦。いわきFCはどのような思いでシーズン最後の戦いに臨むのか。村主博正監督の談話を紹介しよう

■「どんな時も勝利を目指し、全力を尽くす」村主博正監督談話

「チームの雰囲気は普段と変わりません。前節に出場停止だった選手が帰ってくるので、今節は現状のベストメンバーで戦えると思います。

選手達にはシーズンイン当初から、90分間×34試合を止まらず、倒れずにプレーしようと言ってきました。ですから優勝・昇格が決まっても、全力で戦うことに変わりはありません。もしかすると今節、いわきFCの試合に初めて足を運ぶお客さんがいらっしゃるかもしれない。優勝した時と同じ熱量のサッカーを期待して来場してくださる人もいるかもしれない。だから、これがいわきFCだ、という試合を見せなくてはいけない。優勝したから、昇格したからといって戦い方が変わってしまったら、それはいわきFCではない。どんな時も勝利を目指して全力を尽くします。

スターティングメンバーはまだ決めかねていますが、チームが目指すプレーをしっかり体現できる選手をチョイスしたい。優勝・昇格を目指していた時と同じ熱量で戦える選手を選びますし、結果に満足している選手がいれば外します。

Y.S.C.C.横浜は今、下位にいますが、松本山雅FCやFC今治など上位チームから勝ち点を奪っています。隙を見せたらやられてしまう可能性が高い。簡単にはいかない試合です。実際、前回の戦いは6対0と大差がつきましたが、前半に関して言えばそこまでの差はありませんでした。後半に足が止まって失点することの多いチームですが、スタミナがあるうちはボールを動かすのがとても上手い。こちらは90分間しっかりとプレーして勝ち点を取るつもりです。

ここで最後を汚すようなゲームをすると、今年積み上げてきたものが台無しになってしまう。胸を張って来年J2に挑むために、そして応援してくださるファンの皆さんのために、しっかりと勝ちに行きます」

■最後の輝きを放つのは誰か。

見事に優勝・昇格を決めたいわきFC。それでも、激しいメンバー争いは最後の最後まで続く。多くの負傷者を抱える中、シーズン最終戦のピッチで輝きを放つのは誰か。

昇格1年目にして「魂の息吹くフットボール」でJ3を席巻したいわきFC。素晴らしいチームワークでシーズンを戦い抜いた選手達の、2022年最後の雄姿を見届けてほしい。日曜日はぜひ、スタジアムへ。

明治安田生命J3リーグ第34節・Y.S.C.C.横浜戦は11月20日(日)14時より、Jヴィレッジスタジアムにてキックオフ。試合の模様はDAZNにてライブ配信される。

今シーズン最後の熱き戦い。ぜひご注目を!


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