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【マッチプレビュー】2023明治安田生命J2リーグ第25節 いわきFC対水戸ホーリーホック

2023明治安田生命J2リーグ第25節。いわきFCは7月9日(日)、いわきグリーンフィールドに水戸ホーリーホックを迎える。この試合の見どころについて解説していこう。

■ポイント&レビュー

現在21位のいわきFC。今節の相手・水戸ホーリーホックは16位。降格圏脱出に向けて負けられないこの試合のポイントは

①相手3トップの自由を奪うこと
②ボランチ同士のバトル、セカンドボールの回収
③ボールホルダーを追い越す動きとボックス内に入る人数

などだろう。

まずはいわきFCの至近の戦いを振り返りたい。ミッドウィーク開催の前節、ホームに迎えたのは17位・栃木SC。

フォーメーションは4-3-3。メンバーはGK鹿野修平、DF河村匠/遠藤凌/家泉怜依/石田侑資、MF山下優人/下田栄祐/宮本英治、FW20永井颯太/18吉澤柊/11有田稜。

前節のスターティングメンバーから谷村海那がサブに回り、ドリブラーの永井がスタメン入り。ベンチには復帰したMF鏑木瑞生、そして2試合連続ゴール中の岩渕弘人が控える。

5バックで守りを固めてボールを奪い、攻撃時はロングボールやカウンターで一気に攻める栃木に、いわきは一歩も引かず応戦。球際で激しく身体をぶつけ合ういバトルが続き、ハイテンポで攻守が入れ替わる展開。前半はそれぞれが決定機を迎えるも、得点ならず。

後半に入り、いわきは永井に代え谷村を投入し、ギアを上げる。後半17分には岩渕が入り、終盤の失点が多い栃木を一気に攻め立てる。

試合が動いたのは後半26分。CKの流れから岩渕がゴール左隅に見事なシュートを決め、これが決勝点に。岩渕の3試合連続ゴールでいわきが1対0で勝利し、前半戦で敗れた栃木から勝ち点3をもぎ取った。

いわきFCの通算成績は6勝6分け12敗の勝ち点24。順位は依然、22チーム中21位。ただし田村雄三監督の就任以来、2勝2分けと無敗が続く。絶好調の岩渕など負傷者の帰還により、反撃体制を整えつつある。

■戦力分析~水戸ホーリーホック

今節の対戦相手・水戸ホーリーホックは茨城県水戸市、日立市、ひたちなか市、笠間市、那珂市、小美玉市、常陸太田市、北茨城市、常陸大宮市、高萩市、茨城町、城里町、大洗町、大子町、東海村をホームタウンとするクラブ。

オリジンは1994年に創設された「フットボールクラブ水戸」。1997年に土浦市に本拠地を置いていたプリマハム土浦工場の実業団チーム「プリマハムフットボールクラブ土浦」と合併し、株式会社フットボールクラブ水戸ホーリーホックが設立。現体制となった。

1997年に旧JFL参戦。1999年にスタートするJ2への加盟を申請するも見送られ、日本フットボールリーグ(JFL)参加。1999年にJFLで3位に入り、晴れてJ2参戦が決定。2000年から現在まで戦い続けている。

2022年は14勝12分16敗の13位。 2023年は昨年まで2年間ヘッドコーチを務めていた濱崎芳己監督体制1年目。ここまでの成績は、7勝6分け11敗の勝ち点27で16位。

いわきと水戸の今年初対戦は第2節。初の「常磐線ダービー」は、ホームの水戸がボールを保持する展開となった。後半9分に梅田魁人のゴールで水戸が先制。いわきは後半14分に谷村がゴールを挙げて同点に追いつくも、水戸は途中出場のFW寺沼星文がすぐさま勝ち越しゴール。

それでもいわきは勝負を諦めず、後半29分にセットプレーから有田稜が得点。終盤も猛攻を続けるも水戸に守り切られ、試合は2対2の引き分けに終わった。

至近の第24節はホームで徳島ヴォルティスと対戦し、3対1で逆転勝ちを収めている。メンバーはGK2山口瑠伊、DF22長井一真/24 松田佳大/5 楠本卓海/13成瀬竣平、MF7武田英寿/10前田椋介/25鵜木郁哉/14小原基樹、FW20梅田魁人/11草野侑己。

今季は4バックでスタートも、現在は主に3バックで戦う。今節も3バックと推測するが、いわきにとってはそれほど大事な要素ではない。どちらであっても、すべきことに変わりはない。

一番の武器は、前線からプレッシャーをかけてのショートカウンター。中心となるのは前線のFW草野・梅田・小原の3人だ。

中央の草野は技術があり、背後への抜け出しが上手い。左の小原はカットインからのドリブルが得意。そして3トップの右に入る梅田は、パワフルで思い切りのいいシュートを打てる選手。かつてJFL時代のテゲバジャーロ宮崎に在籍し、2020年のリーグ最終戦でいわきFCと対戦。先制ゴールを決めていわきのJ3昇格への最後の望みを砕き、水戸にステップアップを果たしている。

技術の高い前線の3人は警戒が必要。まずは彼らに自由を与えないこと。そしてもう一つのポイントが、中盤のバトルとセカンドボールの回収だ。

水戸はDF 3人とボランチ2人の5人でボールを動かし、いわきの中盤を食いつかせ裏を狙ってくるだろう。ボランチ2人の技術は高く、自由にすると厄介。特に武田の左足は要注意だ。山下、宮本のインサイドハーフによるボール奪取、プレスバックはこの試合の大きなカギ。試合の主導権を握るためにも、中盤での負けは許されない。

いわきはしっかりプレッシャーをかけ、確実にセカンドボールを回収し、最短距離でゴール向かいたい。相手ビルドアップへのプレッシャーと中盤のバトルは、ブラウブリッツ秋田そして栃木SCとの戦いを経てレベルを上げつつある。今の調子を継続できれば、今節の勝ちはおのずと見えるはずだ。

■「選手達の『距離感』がよくなってきた」田村雄三監督

「アウェーの秋田戦から中2日で栃木SCさんと戦いましたが、選手達はよくやってくれました。点を取った岩渕が結果的にヒーローになりましたが、前線でしっかりとボールを収めてくれたFW吉澤や有田、そして中盤の山下、宮本、下田そしてCBの遠藤、家泉など、全員のいいところが出たゲームでした。

自分達がボールを持って戦う時間を増やせており、思い通りにボールを動かせている。最後まで相手に圧をかけ、ボールに強く行けていた。90分間クオリティを落とさずに戦うことができましたし、チームとしていい方向に向かっているように思います。

特に今、よくなっていると思うのが、選手同士の距離感。『この選手はこれをやってくれる』『この選手はボールを必ず収めてくれるからサポートしよう』というような、信頼関係をベースにした距離感のよさを感じています。

水戸さんはいいサッカーをしています。選手達の能力も高く、厄介な相手です。こちらとしては、ここまで積み重ねてきたことの精度を上げることが大事。どこでボールを奪い、どうボールホルダーを追い越していくのか。どうやってボックス内にたくさんの人数を入れていくのか。ここまで取り組んできたことの質を上げて対抗していきます。

第22節の大宮アルディージャさんから来週のレノファ山口FCさんまで、順位の近い5チームとの対戦が続いています。ここから2試合でポイントを積み、上のチームを巻き込みたい。ツエーゲン金沢、栃木、徳島ヴォルティス、山口、水戸そして千葉。現状のターゲットはこのグループ。ここを脱することができれば、残り試合でさらにパワーを増して戦える。

次節は同じ常磐エリアのチームですし、スタジアムにはたくさんの方が来てくださると聞いています。どうにかして勝ち点3をつかみたいと思います」

■見えてきた降格圏脱出。

2023明治安田生命J2リーグ第25節はミッドウィーク開催。7月5日(水)に全11試合が行われた。

首位・FC町田ゼルビアは大分トリニータとの上位対決を3対0で制し、16勝5分け3敗の勝ち点53。V・ファーレン長崎に敗れ13勝4分け7敗の勝ち点43で2位の東京ヴェルディとの勝ち点差は10。首位の座を盤石なものとしつつある。3位は町田に敗れた大分で12勝6分け6敗の勝ち点42。自動昇格圏の2位・ヴェルディを勝ち点1差で追う。

3~6位のプレーオフ圏内には大分の他、4位に11勝8分け5敗の勝ち点41でジュビロ磐田。5位に12勝5分け7敗の勝ち点41で長崎、6位に12勝4分け8敗の勝ち点40でヴァンフォーレ甲府。2位から6位までが勝ち点差3以内にひしめき、7位は10勝8分け6敗で勝ち点38で清水エスパルス。甲府との勝ち点差2でプレーオフ圏内入りをもくろむ。

首位・町田が着々と地固めをする一方、自動昇格圏の2位そしてプレーオフ圏内の6位以内を巡る争いは混沌としつつある。

一方、降格圏の21~22位にいるのは依然、いわきと大宮。22位・大宮は千葉に勝利を挙げ、連敗脱出。勝ち点17となったが、栃木戦の勝利で勝ち点を24に伸ばした21位・いわきとは依然7ポイント差。

いわきは第24節で勝ち点3を上積みし、順位こそ変わらないものの降格圏脱出を見すえ始めた。前節18位だったツエーゲン金沢が今節敗れて3連敗を喫し、20位に後退。いわきと金沢が同勝ち点で並び、得失点差で金沢が上回っている状態だ。

そして19位にランクダウンしたのは、いわきに敗れ勝ち点25の栃木SC。18位が勝ち点26で徳島ヴォルティス、17位が勝ち点27でレノファ山口FC、16位が同じく勝ち点27で水戸ホーリーホック。さらに15位は勝ち点28でジェフユナイテッド千葉。

いわきの現状のターゲットはこのグループだろう。持ち前のインテンシティの高さと優れた走力が戻りつつある今、今節の水戸戦と次節の山口戦で、勝ち点をさらに伸ばしたい。

明治安田生命J2リーグ第25節 水戸ホーリーホック戦は7月9日(日)18時より、いわきグリーンフィールドにてキックオフ。試合の模様はDAZNでライブ配信される。

降格圏脱出を目指して戦う「常磐線ダービー」。日曜日はぜひ、いわきグリーンフィールドへ!

(終わり)

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