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【マッチプレビュー】2024明治安田J2リーグ第15節 いわきFC対レノファ山口FC

2024明治安田J2リーグ第15節。いわきFCは5月12日(日)、ハワイアンズスタジアムいわきにレノファ山口FCを迎える。この試合の見どころについて解説していこう。


■レノファ山口FCとは

対戦相手のレノファ山口FCは、山口県19市町をホームタウンとするサッカークラブ。「レノファ」は、英語の「Renovation(維新)」の頭文字「レノ」と、「Fight」「fine」の「ファ」を合わせた名称である。

起源は1949年創設の「山口県サッカー教員団」。2006年にクラブチーム化して「レノファ山口FC」としてJリーグ参入を表明。2013年に第49回全国社会人サッカー選手権大会で初優勝。J3新設に伴うJFLのチーム数減少に伴い、2014年からJFLに参戦。すぐさま4位に入ってJリーグ参入を果たし、1年目の2015年にJ3優勝&J2昇格を達成した。

2023年は10勝14分け18敗の勝ち点44で20位。開幕から2勝1分けの好スタートもその後は低迷し、5月に名塚善寛監督が退任。フアン・エスナイデル氏を新監督に迎えて立て直しを図るも順位を大きく上げることはできず、19位のいわきFCに次ぐ20位でJ2残留を果たしている。

今年新監督に迎えたのは、J3初年度のFC大阪を2位に躍進させた志垣良氏。志垣体制1年目の今季は3か年計画のもと「勝ち点55」「失点45」を目標に設定。勝ち点とともに失点数の目標値を置いていることから、まずは守備の再構築を目指している模様。今季は目標順位はあえて設定せず失点数を減らし、2025年のトップ10入り、2026年の昇格圏内入りをにらむ。

いわきに完全移籍したDF生駒仁を始め多くの選手が退団した一方、ヴァンラーレ八戸からMF相田勇樹、FC大阪からDF板倉洸、鹿児島ユナイテッドFCからFW山本駿亮、湘南ベルマーレからU-17ワールドカップで活躍した経験のあるFW若月大和、ツエーゲン金沢からMF加藤潤也らを完全移籍で獲得。いわてグルージャ盛岡に期限付き移籍中だったDF新保海鈴が復帰するなど、若手を中心に多くの有望選手をそろえ、巻き返しを図る。

昨年のいわきFCとの対戦成績は1勝1分け。3月の初対決では山口がいわきを1対0で破り、7月2度目の対決はスコアレスドローで終わっている。

印象に残っているのは昨年3月5日にハワスタで行われた初対決。いわきは山口のビルドアップに激しくプレッシャーをかけ、FW谷村海那、MF山口大輝らが幾度となくゴールに迫り優勢に試合を進めた。しかし後半にセットプレーから得点を許し、守り切られて敗れている。ホームのファンの前での2年連続の敗戦は、何としても避けたいところだ。

■2024戦力分析~レノファ山口FC

今季のレノファ山口FCはここまで6勝3分け5敗の勝ち点21で7位。ゴールデンウィークの3連戦は4月28日の第12節で鹿児島に1対0で会心の勝利。5月3日の第13節でベガルタ仙台に1対2の逆転負けを喫するも、至近の第14節は雨の中、モンテディオ山形に2対0で快勝。勢いを取り戻した。

今季は昨年までの戦い方を大きく変え、高強度の守備をベースとするプレースタイルを構築。ショートパスを多用してボールを保持していくスタイルから、背後へのロングボールやサイドアタックでシンプルかつアグレッシブに攻めるチームへ変貌を遂げて現在、プレーオフ圏内を見すえる好順位につける。

フォーメーションは4-4-2。前節・山形戦のメンバーはGK21関憲太郎、DF13板倉洸/6キム・ボムヨン/3ヘナン/48新保海鈴、MF68野寄和哉/37田邉光平/18相田勇樹/38末永透瑛、FW9若月大和/19山本駿亮。山形戦は連戦のため前々節・ベガルタ仙台戦からスターティングメンバー5人を代えており、今節はFW梅木翼・河野孝汰の2トップ、右SHの吉岡雅和らが先発してくると推測。

注意すべき存在は、リーグ1位の空中戦勝利数146と圧倒的な強さを誇る前線のターゲット・FW梅木翼。梅木が競ったセカンドボールを河野や吉岡らが拾ってつなぎ、ゴールに迫る。

いわきはまずDF陣が梅木との競り合いに勝つこと。そして仮に梅木に競り負けたとしても、セカンドボールをしっかりと回収すること。セカンドボールを巡るバトルは、いつも以上に大切なカギとなるだろう。また他にも左SB新保海鈴の突破力と高精度のクロス、MF相田勇樹のロングスロー、そして精度の高いセットプレーにも警戒が必要だ。

前線に競り合いに強い長身のターゲットを置き、ロングボールを当てて中盤がセカンドボールを回収するスタイルは、いわきが第7節で敗れたブラウブリッツ秋田に通ずる部分もある。ただし決して苦手意識はなく、球際のバトルはこちらも望むところ。積み上げてきたフィジカルの強さを発揮して中盤を制し、試合をドミネートしたい。

■さらに激化するメンバー争い

ゴールデンウィークの3連戦を迎えたいわきFC。4月28日の栃木SC戦そして5月3日の千葉戦にいずれも1対0で勝利を収め3連勝。そして千葉戦から中2日で、アウェーの愛媛FC戦に臨んだ。

先発メンバーは前節から4名変更。MF大西悠介と下田栄祐が出場停止となったアンカーはMF山下優人。そして2トップに今季初先発のFWブワニカ啓太と近藤慶一が入り、左WBは坂岸寛太が先発出場。

激しい風と雨の中で行われたこの試合。風下のため、割り切った戦いになった。そんな中でも右WBに入った加瀬直輝は変わらぬ高強度のスプリントを見せて敵陣に迫り、GK立川小太郎はファインセーブでチームを危機から救う。

風が収まった後半は、いわきが勢いを見せた。なかなかボールに触れなかった前半と打って変わり軽快な動きで攻撃を牽引したMF山口大輝、思い切りのいい攻め上がりとシュートを見せたDF石田侑資らに加え、交代出場で入ったFW有馬幸太郎、谷村海那、MF加藤悠馬、大迫塁らが躍動。特に試合終盤は熱のこもった猛攻で愛媛ゴールを幾度となく脅かしたがGKのファインセーブに阻まれ、結果は悔しいスコアレスドローとなった。

連休中の3連戦を2勝1分けで終えたいわきFC。攻守で持ち味を発揮できており、チームは好循環の中にいる。

4月半ばのルヴァンカップ新潟戦から連休最後の愛媛戦まで多くの選手が起用され、メンバー争いはさらに激化している。

2トップで好調なのは、千葉戦の決勝ゴールで今季2点目を挙げたFW有馬幸太郎。時に前線で身体を張り、時に中盤まで下りて組み立てに加わる万能ぶりを示し、貢献度は高い。加えて卓越した身体の強さを持つFW近藤慶一、栃木戦で今季6ゴール目を挙げたFW谷村海那も好調を維持。愛媛戦に先発したFWブワニカ啓太は、ここに割り込んでいきたい。

中盤のインサイドハーフは現状、MF西川潤、山口大輝が盤石。アンカーはデュエル勝利数66でリーグトップのMF大西悠介、長短のパスで巧みにゲームを組み立てるMF下田栄祐、前への推進力が高いMF山下優人と、持ち味の異なる選手がそろう。

右WBは加瀬直輝、そして右CBで先発中の五十嵐聖己。爆発的なスピードで相手守備を切り裂く加瀬に対し、五十嵐は身体の強さや栃木戦の谷村のゴールをお膳立てした左足のクロスなど、加瀬にはない個性を持つ。そして左WBは精度の高い左足のキックが魅力のMF大迫塁が出場を続けてきたが、愛媛戦はMF坂岸寛太が先発。今節もスタメン奪取を狙う。

DF照山颯人を軸とする守備陣は安定感をさらに高め、ここ4試合無失点。左ストッパーには両足でバランスよく蹴れるDF石田侑資がルヴァンカップ新潟戦以来、5試合連続で先発出場を果たしている。ただし左右ストッパーのスタメンの座はDF大森理生、DF生駒仁もチャンス十分。特に生駒にとって、今節は昨年まで在籍した古巣との対戦。心中期するものがあるに違いない。

■「目の前のゲームにしっかりと勝ちに行く」田村雄三監督


「中2日で迎えた前節の愛媛戦は風がとても強く、難しいコンディションのゲームでした。そんな中でも選手達はしっかりと割り切って戦い、特に後半は自分達の時間を作ることができました。決め切れなかったのはとても残念でしたが、試合を終えた選手達の表情はとても悔しそうで、みんなまるで負けた後のような顔をしていました。それが今のチームの状態を表していますし、まだまだ強くなれると思いました。

とはいえ、連勝が止まったことも確か。ここからまた一つずつ積み上げていかなくてはいけません。まずは今一度、目の前のゲームに勝ちに行きます。

レノファ山口FCさんは守備がしっかりと構築され、高い強度でしっかり守ることができています。攻撃では前線に競り合いに強い選手を置いてロングボールを入れ、セカンドボールを拾ってサイドに展開してくる。いわきが前線から奪いに来ることはわかっているはず。パスをつなぐよりもシンプルに蹴るロングボール主体のプレースタイルで来るでしょう。

ただし我々として大事なのは、レノファさんがどうこうよりも自分達のプレーをしっかりとやり切ること。いつも通りの戦いを、より高いクオリティでやり遂げることを、まずは意識していきます」

■シーズンを通じた右肩上がりの成長を

第14節を終えた今年のJ2。現在、首位を走るのは5連勝中の清水エスパルス。11勝1分け2敗の勝ち点34で、2位のV・ファーレン長崎に5ポイント差をつけた。

第2節のベガルタ仙台戦以降負けなしの2位・長崎は5連勝の後、2試合連続で引き分け。清水との勝ち点差が広がったものの依然として好調を維持しており、FWエシガル・ジュニオは現在8ゴールで得点王ランキング1位を走る。

いわきFCは愛媛戦のスコアレスドロー、そしてファジアーノ岡山の敗戦により、順位を4位に上げた。

好調さのベースにあるのは、若い選手達の「上手くなりたい」「サッカー選手として成功したい」という意欲だ。

彼らの強い思いに田村雄三監督を始めとするスタッフ達が寄り添い、決して目を離すことなく成長を促す。このサイクルの継続により、チームは鹿児島キャンプそして開幕戦の敗北を経て、着実に上昇曲線を描いてきた。この先も右肩上がりの成長を続けられれば、望む結果はおのずとついてくるはずだ。

2024明治安田J2リーグ第15節 レノファ山口FC戦は5月12日(日)13時より、ハワイアンズスタジアムいわきにてキックオフ。試合の模様はDAZNでライブ配信、そして福島中央テレビで生中継される。

勝利を目指してひたむきに戦ういわきFCの若き選手達に、熱きご声援を!

(終わり)

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