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文化人物録67(井上健)

67井上健(比較文学者)
→東京大学大学院比較文学比較文化専攻修士課程修了。神戸大学助教授、京都大学助教授、東京工業大学教授などを経て、2005年から東大大学院総合文化研究科教授。2007年日本比較文学会会長。2012年東大を退任し、日本大学国際関係学部教授。2019年退職。

著書に「作家の訳した世界の文学」「現代アメリカ文学を翻訳で学ぶ」「翻訳街裏通り わが青春のB級翻訳」「文豪の翻訳力 近現代日本の作家翻訳 谷崎潤一郎から村上春樹まで」。僕は文芸関係の話で井上さんには大変お世話になった。翻訳学、比較文化学の大家であるが、非常に柔らかい思考の持ち主で、海外文学関係の取材の際には大いに助けていただいた。

*翻訳文学について(2013年)


・戦後は翻訳文学の新訳への切り替えが進んでいったが、そのさなかに日本でも世界中で作品が愛読されるようになる村上春樹が出てきた。またラテン文学への関心が高まり、ガルシア=マルケスなどがどんどん紹介されるようになった。最近では亀山郁夫さんによるドストエフスキーなど光文社の古典新訳などが話題になったが、今後海外文学が読まれるかどうかは読書体験の根本的な変革にどう対応するかにかかっている。

・特に電子書籍に注目している。分厚い世界文学作品もタブレットやスマホに保管できる電子書籍という携帯は、世界文学の可能性を大きく広げる可能性はあると考えている。

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