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ヒッキーコラム③ 演劇高校生のみんな! 試しに見に来て欲しい!


ハイバイは基本、よそ様に作品の上演許可を出していない。

これは特に国内だけのルールにしていて、ハイバイの作品を上演していないような諸外国などには、特別にOKを出している。韓国だったり、アメリカだったりに、台本だけ貸し出したりはしている。

そんな中、この「ヒッキー・カンクーントルネード」だけは「高校生用」の台本が存在し、使用できるようになっている。これには理由がある。

以前、高校演劇の大会の審査員をやらせてもらった。

その際、必死にスタッフや俳優を掛け持ちしながら頑張っている高校生たちが、なかなかビミョーな台本に取り組んでいるところを目撃してしまった。

「それ、今やる?」みたいなやつだ。でも時代のズレなんかは、ある意味仕方ないのだが、そんなの比べ物にならないくらいのさらなる事件性のある編集の施された作品があった。

演劇の台本には時々「メタ構造」の台本が存在する。

わかりやすいもので「劇中劇」。例えば演劇部の物語の中で、本番のシーンが行われ、つまり舞台上にさらに舞台が進行し、その裏方さんや舞台袖の俳優さんたちのやりとりを観客が見る、というものだ。

そういう構造のものは、例えば「演劇部が3ヶ月頑張ってきた、大事な場面」を、劇中劇の中で「上手くいくか!?上手くいかないのか!?果たして!」みたいな感じで、劇と劇中劇がお互いに支え合う構造で、当然どっちもなくてはならないものになってる。

が、僕が大会で見たものは、その、お互いなくてはならない関係のはずの「劇」と「劇中劇」のうち、「劇」の方を完全に取っ払ってしまったものだっだ。

今でこそ、皆様にこの説明ができるのだが、見終わった瞬間は「え…?何だったの?今の?」と、純度の高いポカンだった。

そして、あまりに不思議な台本で、しかも全くストーリーも終わっていなかったので、周りの審査員や学生たちに「何だったんですか?あれ?」と聞いて回ると、「あの作品は今までも何回か上演されてます」とのこと。「まじで!?」と思いながら、とうとう卒業生の父親が原作者であることを突き止め、その人に話を聞くと「ほんとは外側の構造があるんですう、、」とのこと。

なんと、顧問の先生が「演劇部の生徒の数」と「台本の登場人物の数」を合わせるために、劇中劇だけをバッサリとカットしてしまったのだ。なんと恐ろしや。

いずれにしても、高校生達は、その瞬間をかけて、台本がどんなシロモノであれ、必死に作品作りに取り組む。

別に大会で勝った負けたはどうだっていいけど、せめて「人に伝わるもの」「基本的に物語があるもの」「見た人が何かについて考えられる構造を持っている」ぐらいのものを持ち合わせている台本に、力を使わせてあげて欲しい。

そんな思いで、「ヒッキー・カンクーントルネード」を、大会でも使える1時間の尺にした。

大会に使わないで、ただ暇な時に部室で配役を変えながら遊んでもいいと思う。そして、「ほんとにおもろいんか?」とお思いのキミ。

試しに見に来て欲しい。待ってるぞ~!

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