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「おごリングバー」やりました。

先日、いつもお世話になってる「宇宙ラボの」の、
BnA Frontdesk BARにて、
「おごリングバー」というものをやらせてもらった。
(ダイコクさんパチャさんありがとう〜!)
ゲストバーテンとして、池谷のぶえさんと一緒に!

こんな感じのご案内でしたわ!手書きの味に頼りきる!w

この「おごリングバー」の「おごリング」とは、

「お互いが奢り合うことでしかドリンクを飲むことができない」

というシステムのこと。

「おごりの輪(リング)」で成り立つバーをイメージしてみた。

我ながら可愛いロゴです。w

これがすんごい面白かった!

元々は「カフェ ソスペーゾ」という、
イタリアのカフェ文化で、
「カフェに来た客がそのチケットを10枚ほど買って、
店に置いて帰る。その後に来た、学生さんやホームレスなどの
経済的余裕のない方が、
そのチケットを使って無料でコーヒーが飲めちゃう!」

というもの。

このシステムをずっと試してみたくて、
今回はその極端版として、「おごることもできる」ではなく、
「おごり合うことしかできない!」という縛りプレイを
やってみた、というわけです。

通常、お酒もご飯も、自分の分は自分で支払います。
めちゃくちゃフツーのことです。
が、これをあえて「誰かとおごりあう」というルールにする。

するとアラ不思議。
みなさま、誰かにおごられたら、どう思いますか?
嬉しいですよね?
そして逆に、誰かにおごった時、どう思いますか?
これまた、ちょっと嬉しいですよね?

結局、誰かと一杯ずつおごりあったら、
コストとしては自分で一杯飲むのと同じなのに、
おごり合ったことでお互いに「嬉しい」が生まれているのです。

そしてバー当日、実践。
「やっぱり最初のうちのお客さんは戸惑うだろうから」
と、開店から10名様にだけ、
「のぶえと岩井と宇宙ラボより」と書かれた「おごリングチケット」を
無料で差し上げました。

土谷朋子さんデザインのチケット!洗練!購入するときに名前を記入できます!

これでみんなが
「誰かにおごってもらえた!」
という状態でスタートするわけです。

最初に入ってきた3人組のお客さんは、
「おごリングチケット」を手にするかしないかのタイミングで、
すでにお互いの分の「おごリングチケット」を購入していました。
何その適応力!w

しかも、一枚ずつ買うのではなく、
「もう先の分も買っちゃっておこう」と、
それぞれ2枚ずつ購入し、カウンターの自分の席のところに、
「おごリングチケット」を2枚ずつ並べ、
誰かが飲み終わると、
「じゃあこれあげる〜」と「おごリングチケット」を
渡し始めたのです。

「おごリング何年目だよ!」って思いましたが、
僕が事前に想定していた一番いい流れが初っ端に出来上がり、
その後に来たお客さんにも、最初のお客さんたちが、
「じゃあこのチケット使ってくださ〜い!」って、
見知らぬお客さんに一杯おごリングする。
そしてそのおごられたお客さんは、
「じゃあ、わたしも買っておこう〜!」と、
おごリングチケットを2枚購入する。

そんな感じで、カウンター上のチケットは途切れることなく、
逆に増えていきました。

やがては、自分の席の前に置いていたチケットも、
誰のものだかもわからない状態で、
カウンターに10数枚並び、
飲み終わったお客さんが
「すみませ〜ん!いただきま〜す!」
と、チケットを使っていく流れもできたのです。

「やば〜!こんなに上手くいくとは!」
と思っていた僕ですが、もっと驚いたのは、
チケットのやり取りに、コミュニケーションが生まれる。
ということです。

新たに飲み物が欲しい人が
「このチケットいただきま〜す!」
と手にしたチケットには、
チケット購入者の名前が書いてあり、
「誰からのおごりなのか?」が、すぐにわかるようにしてあります。
だからチケットを手にした人がそれを読んで、
「『住職』さん(住職さん来てましたw)、いただきま〜す!」
と言って、一杯にありつき、
その「住職さん」は「住職さん」で、
自分のおごリングチケットが誰に使われたかもわかるので、
「いえいえ!どういたしまして〜!」
と、ちょっとした会話が生まれるわけです。

やっぱりこういうバーに来る人たちって、
知らない人たちと話すこともあまり躊躇がなくって、
どんどん知り合いを増やして行ってる感じが、
カウンター内からみてても気持ちがいいです。

結局岩井はいつも「今日こそバーテンをやる」と言っては、
「演劇コンサル」だったり「占いの練習」とかいって、
結局誰のお酒も作らなかったのですが、
今回はスタートはのぶえさんがバーテンをやり、
「私がつぶれたら、岩井さん頼むね!」
と言ってたので、いつでも来い!と待ち構えていましたが、
のぶえさん、ものすごい勢いでドリンクもお客さんもさばいていく。
プロでした。
しまいには1ミリも酔いつぶれることなく、
なんならどんどん元気になっていったので、
今回も岩井はお茶一杯、作らなかったのでした。

おごリングの形跡(半券)がわかるのも良かった!

最終的には、カウンター上に集まった10数枚のチケットを、
「閉店だ!急げ!」
とみんなで急いで使いまくり、終了。
極めて幸福な、お開きとなりました。
や〜、面白かった。。

閉店後は反省会のような、のんびりとした時間となり、
今回場所を貸してくれた「宇宙ラボ」のダイコクさん、
ぱちゃさん、のぶえさんとお喋り。

ダイコクさんは、高円寺で一年間、「お金を使わない生活」を
実践したことがあるとのことで、
あちこちのお店を覗いては、
「1日働くんで、お金いらないんで、
 1日だけご飯と寝床だけ確保してもらえませんか?」
なんてことをし続け、今では高円寺の街全体が、自分の家のような感覚とのこと。

そんなダイコクさんが面白がってくれて、実現した今回のバーでした。

もちろん、いろんなところでやりたい。
仕事柄、1〜2日だけ、地方にワークショップをしに行ったりすることが多く、そんな時に夕方からバーとかやらせてもらったら、
ワークショップに参加した人も、または参加できなかった人とか、
今まで作品を見てもらってた人なんかも来てくれるかもしれない。
そこで「おごリングチケット」をみんなが発動するようなことがあったら、
めちゃくちゃ楽しいなあ、と思ったのでした。

(おわり)

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岩井秀人
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