見出し画像

ヒッキーコラム⑤ 延期した公演の、再スタート位置

「ヒッキー・カンクーントルネード」、
本来なら昨年の4、5月に上演するはずだった。

僕らだけじゃなく、多くの劇団が「延期」したし、そのままやらなかったり、実際に延期公演を打ったりしている。

で、周りからはなんとなく
「延期になって大変だったね~」
とか
「またイチからやり直さないとですのう」
といった「どっちかってーと悲しみ」の空気を感じたりもするのですが、
意外とポジティブなことがございます。

それは、

「めっちゃ進んだ状態から再スタートできる」

というところです!

公演を打ち、それから何ヶ月か経つと、その作品の意味や、俳優や演出家が自分のアプローチについて時間をかけて客観的になれます。そういった一つの作品の再演の繰り返しが、その作品についての理解を深め、演劇というもの自体の経験値を積むことにもつながるわけです。

今回の「延期」によって、全キャストが自然とその
「長いスパンでしか得られない作品のとらえ方」
を持ったことになるわけです。

「何がどう違うんだ!?」
と言われると困っちゃいますが、比較で言うと、例えばこれが
「今回、コロナ禍で今までやったこともない作品の初演をやります」
だと、稽古場で大道具、小道具、衣装、一体何を準備すればいいのか、俳優がどういう心構えで稽古に入っていけばいいのか、は、ゼロから考えなければいけないわけです。

でも、今回の場合は台本が決定していて、舞台美術も決定している。
俳優は当然、そもそもの物語も知っていて、相手役のアプローチもある程度わかっている。
なんなら「ヒッキー」の過去の上演の映像を出演者がみんな見ている。
お客さんがどこで笑っていて、どこで登場人物たちに感情移入するかもわかっている。

スタート地点がもう、全然違うわけです。

ざっくり言いますと、このキャストですでに一度、公演が終わったくらいな経験値で挑むことになるので、クオリティにはご期待くださいませ。

一緒に笑いながら、現在進行形の「1億総引きこもり」なコロナの時代と、20年近く前の引きこもりを取り囲む社会とを感じ比べたりしてみてください。

そういったことを、くれぐれも笑いながら考えられたらと思っております!
劇場で待っておる〜!

読んでいただきありがとうございます!いただいたサポートは作家部やnoteの運営などに使わせていただきます。