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透析初日。こんなはずじゃなかった!

2022年12月27日。
年末の雰囲気が街を包んでいるこの日。
私はもちろん、母をもっこもこにして
外に出た。

母の透析初日。
言われている書類は持ってるし
記録も書いてるし
着替えも防寒もバッチリ!
なんか忘れてる気がするけど、なんとかなるだろう!

さむ〜い中透析を受けさせるために出発!

「え?車椅子なんだから車で行くんでしょ?」
そう皆様感じるでしょ?

車。どんなに遠い場所でも連れて行くことができる
現代の魔法のじゅうたん…。

そんなもん、あるわけないじゃん!

情けないことに私はシンママで、給与収入も少ない。
毎月の収入は、入った瞬間に生活費に消えていく。
日々の暮らしだけで精一杯な私が
そんなもん買えるわけなかろう!
まして、今回の給与は年末調整でほとんど返ってこなかったので
極貧の最中。

そんな極貧でもふたつ町の日赤病院に連れて行く方法はある。

電車とバス。

バスにさえ乗って仕舞えばこっちのもん。
電車なんて駅員さんの助け無しで乗せられるもんね〜。
ちょっと私の体が辛いけど、なんとか病院に到着。

着替えさせて透析待っていると、母の順番が来た。

看護師さん「お手洗い大丈夫?」
私「…トイレ。ん?なぜにトイレ?」
看護師さん「ドライ体重って言って、おしっこ出した状態で体重測るのよ」
私「普段、おむつなんですけど…」
看護師さん「あ、じゃあ汚れてなければ そのまま」
母「汚れてる…」
私と看護師さん 黙る。
看護師さん「あ…じゃあ取り替えましょうかね」
私「私やります」

母のパンツ交換をしながら内心では
『そうだったー!トイレした状態で体重測るって書いてあったー!』
母「ごめんね、なんか迷惑かけて」
私「大丈夫!気にしにないの。…ん?」
パンツケースの中には余分のパンツが入ってない。
今履き替えたパンツで最後。
なんとなく嫌な予感が頭をよぎる。

とりあえず、母を一瞬放置してカーテンの隙間から顔を出し
待機してくれてる看護師さんに聞く。
私「あのー…もしかして終わった後もパンツって履き替えます…?」
看護師さん「そうですね!(ニッコリ)」
私「…わかりましたー!」

シャッ(首引っ込める)

母「どうしたの?」
私「なんでもないよ。ハハハ…」

予備の紙パン忘れたーーーーーーーーー!

なんで?なんで忘れた?
はっ!

そうだ…。出掛けに猫が騒いでバックに入って…
出なさい!って言って
予備の紙パンも出したーーーーー!
ああああああああああ!

母は着々と透析の準備を行なっている。
そんな中私は看護師さんに
私「あの。予備の紙パンツ忘れちゃって。履き替えますよね…」
看護師さん「そうですね。買ってきていただけるといいですね」
私「わ、わかりました〜」

母の透析が始まり私は病院の外に出た。

ふっ…買ってきてくださいか…。
そんな簡単に済む話じゃねーんだよぉぉぉぉぉ!

説明しよう。
前の話でも言った通り、母は長年不摂生な食生活をしてきており
糖尿病もある。
そう。私の母は「デブ」なのだ。
よって紙パンツのサイズがそこらへんで売っていない。
普通の大きさならね、すぐ買ってくればいいんですが。
小結サイズともなると、ないんですよ。

さーて困ったぞ。
母が使っている紙パンツは一つ隣の駅前に取り扱っているのを
知ってはいる。
そこで手に入れればいいが…問題は帰りだ。
子供用ならまだしも。
大人用紙パンツは縦にも横にもデカイ。
リュックに入れられないし、車椅子にも取り付けられない。

取りに帰ろう(泣)

透析初日は家に一度帰ったおかげでバタバタだった。
まあ、あとは回数重ねて慣れていけば余裕でしょ。

ー透析終了間近ー
事務員さん「あ、これからやって頂きたい手続きがあるんです。
まず、身障者手帳の更新してください。これが診断書。
診断書の文書料が3000円です。
あと、区役所に行って特定疾病の手続きも併せてお願いします。」

書類どさー。
私、呆然。

看護師さん「お母さんなんだけど、近いうちにコロナのワクチンを
追加で打って来て欲しいの。透析してる方ってかかりやすいから。
あと、接種証明書も取って来てください、これ書類ね」

書類再度、どさー。
私、また呆然。

主治医「お母さんさ、糖尿病があるじゃないですか。眼科さんに行って
眼底検査をしてもらって、なおかつ(ヘパリン)って透析に使う薬剤を
使っても大丈夫か聞いて来てください。あ、これメモね」

メモがひらり。
私、放心。

透析に連れていきながら、区役所行って眼科連れて行って
ワクチンも連れて行くの?
私、一応仕事してんですけどーーーーーー!
そんな時間ねーよ!
と内心ツッコミを入れながら
「はい。わかりました。努力します(引き釣り笑顔)」

はぁぁぁぁぁぁぁ…。
帰りの車椅子を押しながらデカいため息が出てしまう。
今日は散々だったなぁ…。
紙パンツ忘れた私がいけないんだけどさ。
母の車椅子に突っ込んだ書類の束を見て
『こんなはずじゃなかったんだけどなぁ』

仕事のスケジュールを思い返しながら
母の病院やワクチンスケジュール考える。
ああ、頭が痛いよぉ。

母「ねえ、お腹すいちゃったんだけど」
…当の本人は能天気だ。
頑張ったご褒美に「PAOPAO」の肉まんを買った。
肉汁が疲れた体に染み込んでいくのを感じた。

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