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鰯崎友×born

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鰯崎友の個人note+WEBマガジン bornでの記事、作品をまとめました。
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2018年7月の記事一覧

なんとなくフーコーを読みます。『監獄の誕生 -監視と処罰-』 第三部 第三章 ①

【アニメの日々】居眠り運転の日々【おそらく聞いたことがない話】

アニメーションの制作進行に課せられたミッションは、車を運転してアニメーターの家に赴き、原稿を回収すること。基本的に休日は無く、まる3日ぶっ通しで働きました、ということも多々あるなかでの車の運転は、とうぜんながら非常に危ない。居眠り運転は日常茶飯事、という状態だった。会社からの通達で、本当に眠いときにはコンビニなどに車を止めて、仮眠をとるように言われていたものの、そんなことをしていればスケジュールが破綻する。 それに、疲れが溜まっているから、15分だけ仮眠と決めていても、いっ

線でマンガを読む『コマツ シンヤ』

うだるような暑さのなか、『線でマンガを読む』を書こうと思って本棚を物色していると、いいものを見つけた。コマツ シンヤの『8月のソーダ水』である。ページをめくると、気温が3℃くらい下がったような気分になる。 『8月のソーダ水』 架空の街、翠曜岬を舞台とした連作短編である。主人公のまわりで起こる、ちょっと不思議な出来事を、海のにおいのする青色をふんだんに散りばめた爽やかな筆致でつづったマンガだ。季節は夏だが、今の日本のようなむっとする熱気ではない。パラソルの下で、うたたねした

保護犬カフェ

最近のお気に入りスポットは、「保護犬カフェ」。捨てられてしまったり、飼い主の事情で飼えなくなった犬や猫が里親を探しています。私は住宅の事情で引き取ることはできないのですが、遊びに行くだけでもOK。ドリンクや犬のおやつの代金が、彼らの生活費になります。 みんなちょっと夏バテで元気なさそうですが、おやつタイムが訪れると大騒ぎになります…一緒にごろごろして癒やされました~

はじまりの終わりのおはなし

まんじゅう大好きの助、「選ばれた七人」について語る。 うどんこプップの助、ニライカナイのお告げを聞く。 おでんあちちの助、「だれ?」という。 にんにくぷんぷんの助、突然変わってびびる。 まんじゅう大好きの助、流行病説をとなえる。 すいかたねペッペの助、不自然に現れる。 すいかたねペッペの助、青春をかえせと嘆く。 まんじゅう大好きの助、永劫に「選ばれた七人」など集まりはしないと予言する。ふたりは銀シャリの助、はめられたと嘆く。 すいかたねペッペの助、泣く。 あらごし梅酒の助、偵

【いわし園芸】木立を抜けて

noteブログシティのかたすみにある、note商店街にて園芸ショップを営んでいます。季節の草花を取り揃えているので、ぜひ見ていってくださいね。 あと、私、大のおしゃべり好きでして、お店に立ち寄っていただいた際には、少しおつき合い頂ければとても嬉しいです。松葉杖をついた男の子が通りがかったんで、声をかけたんです。そうしたら、ね。おっと、あぶない、まずはこちらから。 その男の子、病院に行った帰りなんですって。春先に怪我をして、だんだん良くなってきたから、定期検診の帰りにぶ

登場!「制作進行殺し」

※これは『ストライクウィッチーズ』のはなしではありません! アニメ制作のつらい話ばかり書いているが、もちろん楽しいことだってある。ただそのつらさが尋常じゃないという話なのだ。制作進行をやっていて楽しかったのは、同僚の制作進行たちと、仕事の関係以上に仲良くなること。半数以上の人が数ヶ月で辞めていくなかで、生き残った制作進行は、まさに戦友といえる。深夜に2、3人連れ立って会社を抜け出し、回らない寿司を食べたりした。 若手制作進行は手取り15万円ほどの給料で働いているが、常時車

線でマンガを読む『藤子・F・不二雄』

あらためて読み返してみると、とんでもないエピソードが満載なのだ。「なんでも空港」という、”近くを飛んでいるものならなんでも降りてくる”ひみつ道具を使い、鳥や蝶を集めて遊んでたところまではよかったが、なんとジャンボジェットが引き寄せられて降りてきてしまう。物語は飛行機が不時着する寸前のところで終わるが、このあとどうなっただろう。ふつうに考えれば、大事件である。 『ドラえもん』 また、オンボロ旅館を立て直すためにドラえもんとのび太が奮闘する回では、旅館に食材を買うお金がなく、

『増補 オフサイドはなぜ反則か』レビュー

まるで、地質学者のようだと思う。いや、私はべつだん地質学のことをよく知っているわけではないから、ほんとうは違うのかもしれない。でもイメージとしては、地質学をやっている。地層の断面をみて、そこに残された僅かな化石や層のズレから、ここは何万年も前には海の底だったとか、そういうことを推察する。それを、フットボールでやっているのが、この本の著者、中村敏雄なのだ。 ワールドカップ、日本は負けてしまったが、佳境を迎えた戦いを心待ちにしている方もたくさんいるかと思う。華麗なプレー、ゆずら

樹妖記あるいはサクセスの秘密【おそらく聞いたことがない話】

法相宗の僧、円儀が遣唐使として倭国から唐へと向かったのは、斎明五年のことである。しかし、その当時の航行とはまさに風任せのものであり、運に見放された円儀はついに唐へと渡ること叶わなかった。船は当初の航路から大幅に南へと流され、現在でいう、ヴェトナムへと漂着したのであった。 円儀は自身の不幸を呪ったものの、仕方がないので、この地に自分がたどり着いたのは、御仏の導きである、と考えることにした。自分には、この地にて為すべき使命が存在しているのだ、と考えることにした。元来楽天的で前