IOWN(Innnovative Optical and Wireless Network)について
「IOWN（Innovative Optical and Wireless Network）構想」とは
NTTが2019年に提案した、世界の情報通信基盤を根本から変えるための野心的な構想です。この構想は、以下の3つの主要な要素から成り立っています。
光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソースを提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想がIOWNです。APNに加え、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とするデジタルツインコンピューティング（DTC）、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備するコグニティブ・ファウンデーション（CF）の3つの主要技術分野で構成されています。
▼オールフォトニクス・ネットワーク（APN）
この部分では、光技術（フォトニクス）を、コンピューティング基盤から通信リンクに至るまでのネットワークインフラ全体に導入することを目指しています。光技術の採用により、ネットワーク運用の大幅な向上、低遅延、低消費電力を実現することが期待されています。
▼デジタルツインコンピューティング
この要素は、サイバー空間での物体や人々の高度なリアルタイムの相互作用を可能にすることを目指しています。実世界とデジタル世界の要素を統合することで、未来予測などの先進的なアプリケーションを実現しようとしています。
▼コグニティブ・ファウンデーション
このコンポーネントは、オールフォトニクス・ネットワークやデジタルツインコンピューティングに含まれるさまざまなICTリソースを効率的に配置することを目指しています。すべてを接続し、これらの接続を実現する制御を目指しており、ネットワークおよびコンピューティングインフラの全体的な効率と機能性を向上させることを目指しています。
APN IOWN1.0の適用例
スマートシティの実現:
APNは、スマートシティのインフラストラクチャにおいて、高速かつ大容量のデータ転送を可能にし、都市運営の効率化を図ることができます。例えば、交通管理、エネルギー配分、公共サービスの最適化など、リアルタイムデータ処理と分析に大きな役割を果たします。
ヘルスケア分野の進展:
医療機器や病院のシステムとの高速で安定した通信を通じて、遠隔医療の品質を向上させることが可能です。また、大量の医療データの迅速な処理と分析を通じて、診断精度の向上やパーソナライズされた治療計画の策定が行えます。
高度な通信ネットワーク:
インターネットサービスプロバイダーは、APNを活用して、現在のネットワークの容量と速度を大幅に向上させることができます。これにより、ユーザーはより高速なインターネット接続と改善されたデジタル体験を享受できます。
産業のデジタルトランスフォーメーション:
製造業などの産業では、APNを用いて工場内の機械やシステム間の通信を高速化し、生産効率を向上させることができます。また、サプライチェーン管理や品質管理においてもリアルタイムデータ分析が可能になり、運営の最適化を図ることができます。
これらの適用例は、APN IOWN 1.0が提供する高速、大容量、低遅延の通信能力を活用し、さまざまな分野でのイノベーションと効率化を促進することを示しています。これらの技術は、現代社会の様々な課題に対応し、より良い未来を構築するための鍵となります。
光電融合デバイスの将来展望
▼短期（2023-2025年）
研究開発の進展: 光電融合技術の基礎研究が進む時期。主に大学や研究機関での基礎研究が行われ、初期のプロトタイプが開発されます。
小規模な実証実験: 企業や研究機関による小規模な実証実験が行われ、光電融合デバイスの実用性が評価され始めます。
▼中期（2026-2030年）
技術の成熟と初期の商用化: 光電融合デバイスの技術が成熟し、初期の商用製品が市場に登場する時期。特に通信インフラやデータセンターでの利用が進む可能性が高い。
ヘルスケアやスマートシティへの応用: 医療機器やスマートシティのインフラに光電融合技術が導入され、その効果が実証され始めます。
長期（2031年以降）
広範な産業への応用: さまざまな産業において光電融合デバイスが広く利用されるようになります。これにより、エネルギー効率の向上、高速データ処理、低遅延通信などのメリットが実現されます。
消費者向け製品の普及: スマートフォンやウェアラブルデバイスなど、消費者向け製品にも光電融合技術が広く採用され、新しいユーザー体験が提供されるようになります。
社会的・環境的影響の評価: 光電融合デバイスの社会的および環境的影響が評価され、持続可能な技術開発の方向性が検討されます。
IOWNの目標(性能)
IOWN2.0 (2025年度から)
電力効率: APN部分で13倍、サーバー部分で8倍の向上。
大容量化: 6倍以上の増加。
IOWN3.0 (2029年度から)
大容量化: 125倍に達成。
電力効率: サーバー部分で従来比20倍程度の向上。
IOWN4.0 (2030年度以降)
電力効率: 全体で100倍の向上。
大容量化: 125倍。
遅延: 従来の1/200に削減。
▼参考文献1
▼参考文献2
▼参考文献3
▼参考文献4
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？