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商工中金とIVRyが取り組む業務効率化・生産性向上の新しい形 〜中小企業が日本を変える〜

突然ですが、日本の企業全体のうち「大企業」と「中小企業」の占める割合を知っていますか?
答えは「大企業」が0.3%、残る99.7%が「中小企業」となります。

そんな中小企業に特化し、現在、全国で約75,000社のお客さまとの取引を行っている金融機関が商工組合中央金庫(以下「商工中金」)です。当社IVRyは2023年8月、中小企業のDX化を通じた業務効率化・生産性向上の推進へ向けて商工中金と業務提携を実施。これを機に、全国的な電話DXの取り組みを推進しています。

本記事では、商工中金 スタートアップ支援室の上原氏をお招きし、当社の事業開発責任者(VP of BizDev)の宮原忍(@shinobu_m814)との対談形式で、商工中金のスタートアップに対するサポート、IVRyとの業務提携の狙い、今後の展望までを語っていただきました。


日本の中小企業に向けて融資だけにとどまらないサポートを行う商工中金

ーー 商工中金は資金面のみならず、スタートアップと連携した多面的な中小企業のサポートを行っておられますが、実際にはどのような取り組みを行なっているか教えてください。

上原直己氏(以下、上原):
世の中が多様化していく中で、人手不足や為替変動、資源高など、中小企業には、たくさんの課題が存在しています。その解決策のひとつとして、スタートアップの革新的なプロダクトを、我々のソリューションの一部としてご提供する取り組みを行なっています。

業務効率化や生産性向上に資するプロダクトの導入は中小企業にとってもメリットがありますが、スタートアップ側の販路拡大にも繋がります。スタートアップも広く捉えれば中小企業であり、リソースが限られる中、サービスのニーズがあるお客さまを紹介することは非常に有意義な取り組みとなります。

多くのスタートアップは首都圏を拠点にしていると思いますが、商工中金の全国ネットワークを活用することで、首都圏以外の中小企業を紹介することができると考えています。また、商工中金にとっても、お客さまに喜んでいただき、関係性を深めることができるなどのメリットがあります。中小企業、スタートアップ、そして商工中金、の3者それぞれにメリットがあります。

株式会社商工組合中央金庫 ソリューション事業部スタートアップ支援室 調査役 上原 直己:
千葉県出身。新卒で地方銀行に入行し、営業店にて個人・法人の営業職を担当。その後、商工中金に入庫。営業店にて法人営業に従事し、中小企業向けファイナンス・金融ソリューション提供のほか、スタートアップへのファイナンスを実施。2022年、スタートアップ支援室へ異動。スタートアップ推進策の企画やスタートアップ向けファイナンススキーム構築、ビジネスマッチング等を行う。

ーー 上原さんはスタートアップのサポートに携わられていると思いますが、商工中金が全国の中小企業とスタートアップのマッチングに注力する理由を教えてください。

上原:理由は大きく2つあります。まず、中小企業の多くが生産性の向上に課題を抱えている中、生産性と利益率の改善に繋がり得るという点。 もう1つは、今、多くの中小企業で最大の共通課題と言っても過言ではない、人材不足解消の観点です。

例えばあるホテルでは、コロナ影響による事業環境の悪化から人員を絞ってきましたが、感染ピークアウト後の旅行需要回復により一転、人手不足が深刻化したという話があります。宿泊業界のみならず、あらゆる業界で同じことが起きています。

宮原忍(以下、宮原):
確かに、中小企業は日本の企業全体の99.7%を占めており、雇用においても68.8%を担っています。よって、中小企業が直面している課題は、日本経済そのものの本質的な課題であると捉えています。

また、我々のようなスタートアップにとって、既存の企業や事業とは異なる成長を作ることは重要な役割でもある反面、大きな課題でもあります。商工中金の取り組みを通じて、全国の中小企業がスタートアップのサービスやプロダクトを効果的に活用することで、これらの課題を同時に解決し、日本経済全体の再成長を実現する構造ができるのではないかと考えています。

株式会社IVRy VP of BizDev, Product Management 宮原 忍 :
新卒でエンジニア職を経験したほか、株式会社リクルートなどで事業開発に携わる。前職の株式会社プレイドでは執行役員として、SaaS領域において事業開発からプロダクトマネジメント、アライアンス全般をリードし、東証グロース市場上場に貢献した。2023年IVRyに参画し、事業開発に従事。

上原:
商工中金の中期経営計画において、スタートアップ推進は注力領域のひとつに位置付けています。スタートアップは日本経済全体の発展や成長に向けたエンジン・起爆剤になり得ると考えています。

宮原:
中小企業もその起源においては、スタートアップであったはずです。スタートアップとの出会いが質的変化を及ぼすのではなく、本来のあるべき姿に戻るというのが正しい表現ではないかと考えています。

最近の具体的な事例としては、商工中金のご紹介を受け、静岡県にある稲取東海ホテル 湯苑様が電話自動応答 SaaS「IVRy」を導入されたことが挙げられます。稲取東海ホテル 湯苑様では、私と同年代の若い経営者の方が、長い歴史を持つ事業の大胆な変革に取り組んでいます。このような変革において、商工中金のサポートが重要な役割を果たしていると確信しています。

上原:
経営者の中には、デジタルサービスというだけでアレルギーが出てしまうという方もおられます。一方、業務効率化や生産性向上への関心が高く、DX等に取り組みたいという想いがあるものの、きっかけがないという方も多くいらっしゃいますので、こんなサービスがありますよ、とご紹介すると、喜んでいただけるケースもあります。

IVRyとの協業の決め手は、”誰もが使ったことのある電話”というわかりやすさ

ーー そんな中、なぜIVRyとの協業を決めていただいたのかを教えてください。

上原:
代表の奥西さんをはじめとした経営陣のみなさまとファイナンスに関する対話を重ねる中で、改めて電話自動応答サービスやビジネスモデルについてお伺いする機会をいただきました。IVRyのプロダクトの強みを理解していく中で、是非、事業面でも連携させていただきたいと考え、私から打診させていただきました。

私の中では、IVRyのプロダクトが中小企業の抱える課題を解決し得る素晴らしいプロダクトであると感じていましたが、私の一存で提携を決定することはできません。
協業に向けた社内での検討プロセスを進めていく中で、決め手となったポイントが3つほどありました。

まず、1つめはプロダクトのUI/UXをはじめとしたクオリティと新たなサービスを生み出すスピード感です。
誰でも使いやすく、かつアップデートの回数や品質が他のプロダクトとは一線を画すことは大きなポイントでした。

2つめは非常に安価に導入できる点です。
中小企業にとって、多額のIT投資を行うことは難しい場合もあります。その点、小額から始められる「IVRy」というサービスは中小企業にとって、非常に導入しやすいと思います。
それでいて、提供価値は、十分お客さまにもご満足いただけるものだと考えております。

3つめはターゲットが明確であるということ。
「IVRy」導入の効果が期待できる業種が明確であるため、商工中金内でも「あ!あのお客さまにご紹介できるかも!」と想起しやすく、全国のお客さまへスムーズにご案内できると考えました。

宮原:
私は前職(株式会社プレイド)時代に、投資担当の立場でIVRyと初めて接点を持ったのですが、IVRyが掲げる『最高の技術を、すべての企業に届ける』というミッションに強く共感したことを覚えています。IVRyは、SaaS(Software as a Services)のようなシェアリング型のビジネスモデルを選択することで、日本の大多数を占める中小企業のみなさまに対して、最高の技術をプロダクトという形に昇華し、できる限り安価に提供しようとする使命感にも似た強い意志を感じました。これは日本経済全体にとって本当に重要なことではないでしょうか。

上原さんがおっしゃった内容に被せる形になりますが、この理想を実現するためには、3つの提供価値が鍵となります。

第一に、UI/UXが使いやすく、誰でも直感的に利用可能であることです。弊社サービスのターゲットは地方で “いち” 商店を経営されている方々も多く含まれているため、エンドユーザーのITリテラシーに過度に依存させないことを重要視しています。

次に、電話自動応答(IVR)のルールがノーコードで自由にカスタマイズ可能で、どんな業界・業種でも導入可能であることです。これは、2023年9月現在の導入実績が全99業界中、70業界以上といった数字にも現れています。

最後に、安価ですぐに利用可能であることです。大企業より資金力に劣る中小企業にとって、短期間での投資対効果(ROI)を実現するための機能や料金体系は非常に重要です。特に後者においては、初期費用は無料で、かつ契約期間は単月であることが、製品導入の意思決定プロセスの迅速化に寄与していると考えています。

全国の商工中金各拠点からの反応は上々。さらなる取り組みの加速へ

ーー 実際に提携し、取り組みを始めてみてからの、お客さまおよび商工中金内の反応はどうですか?

上原:
協業を開始してから3ヶ月ほど経ち、日本全国の営業拠点で多くのお客さまへ「IVRy」をご案内しています。

商工中金では、スタートアップをはじめ、多くの企業とビジネスマッチングの連携をしています。その中でも「IVRy」は、効果が期待できる業種が明確で、すぐに使い方や利用シーンを想起可能なため、当初想定どおり全国の営業拠点から「案内しやすい!」という声も上がっています。

また、既に「IVRy」の導入を決められたお客さまからは「何から手を付ければ良いかわからなかったDX を進められ、人手不足解消につながるとてもいいサービスを紹介していただいた」と感謝の言葉をいただいています。

宮原:
現時点で、北は北海道から南は沖縄まで、幅広い地域のお客さまとお繋ぎいただき、その反響の大きさに驚いています。

商工中金との協業は、上原さんとのご縁から始まりました。当初は都心部を中心に展開すると思っていましたが、開始早々のご紹介が米子支店からであったことは特筆すべきことでした。貴社が全国に広がるネットワークを持っていることは、我々のようなスタートアップにとって非常に価値のある点だと考えています。

電話業務効率化による人手不足解消。その先にある、より多角的な課題解決へ

ーー 商工中金とIVRyの連携によって、目指したいことや今後の展望を教えてください。

上原:
目指すものは中小企業の課題解決と活性化だと考えています。
その実現への道筋として、業務効率化に向けた取り組みを引き続き推進していきます。

「IVRy」のような革新的なサービスやプロダクトを、中小企業の課題解決に向けたソリューションとして積極的に日本全国へ広げていきたいと思っています。

また、日々、中小企業のお客さまと向き合っている商工中金が現場で拾い上げた課題をIVRyのみなさまにも共有していくことで、お互いにWin-Winの関係を築いていきたいと思っています。


宮原:
繰り返しになりますが、日本経済全体を再成長させる観点から見た場合、中小企業が直面する課題の解決は極めて重要です。

私たちは自社のサービスやプロダクトを通じて、様々なシーンにおける電話業務の自動化と効率化を実現しています。しかし、私たちだけの力では、日本全国のすべての企業にその価値を伝えることに限界があります。

今後、商工中金との関係を一層深めることにより、日本全国の中小企業のみなさまにIVRyを広く知っていただく機会を増やしたいと考えています。これにより、人手不足という深刻な課題に対して、より効果的に中長期的なアプローチで取り組むことが可能になります。
将来的には商工中金との協業範囲を、M&Aや事業承継を通じた自社の成長戦略にまで広げていけたらと考えています。日本全国の中小企業とのマッチングを起点とした一連の取り組みが、極めて大きな価値を創出できるのではないかと個人的には感じています。

商工中金とIVRyの目指す方向は同じ。2社の連携で日本全体をより良い姿へ

ーー 最後にIVRyへメッセージをいただけますか?

上原:
IVRyと商工中金は、お客さまの層や、目指す世界観など、重なる部分が大きいと感じています。そんな両社が手を組むことで、1+1が2以上になると我々は考えています。

少し大袈裟かもしれませんが、日本の経済・社会のためになる連携であると心から思っていますので、今後もIVRyのお力を借りながら、より良い関係性を築いていきたいと思います。

日本の経済を、日本全体をより良くしていくために、今後も一緒に頑張っていきましょう。

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