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ITサービスマネジメント(ITSM)って何だ?

ITサービスマネジメント(ITSM)は、世界的に認知されているマネジメント領域の一つであり、デジタル/ITによって実現されるサービスが大半になった世の中において、今後さらに重要になってきます。しかしながら、日本においてはITサービスマネジメントの認知度は十分でなく、誤解も多くあります。

そこで、この記事では、当社IT VALUE EXPERTS(IVE)の専門領域でもある(前回の記事参照)、「ITサービスマネジメント(ITSM)」について解説したいと思います。

ITサービスマネジメントとは?

ITサービスマネジメントをシンプルに定義すると、「ITによって実現されるサービスを、ライフサイクルを通じてうまくマネジメントするための手法」です。

より概念的に定義すると、ITサービスマネジメントとは、
「ビジネスニーズや市場の機会を、ステークホルダーとのサービスの共創により、顧客が求める成果(アウトカム)に変換することで、価値を継続的に提供するためのマネジメント手法」です。

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ITサービスマネジメントは、この一連の価値の流れ(バリューチェーン)を最適なものにするための考え方や原則、プラクティス(具体的なやり方)を提供することで、企業が継続的に顧客に価値を提供することを可能にします。

ITIL®とは?

このITサービスマネジメントの実践事例を体系化したもの(=ベストプラクティス)が「ITIL®」です(アイティルと読みます)。
ITIL®はITを活用したサービスを提供する企業・組織で活用される共通言語であり、グローバルでの事実上の標準(デファクト・スタンダード)になっています。
(ITIL® is a registered Trade Mark of AXELOS Limited. All rights reserved.)

ITIL®の歴史を紐解くと、1989年に最初のバージョンがリリースされて以降、時代の変化に合わせて改訂され、2001年にバージョン2、2007年にバージョン3、そして2019年末に最新のバージョンである「ITIL4」がリリースされました。
(ITIL4の内容については、今後こちらのブログで順次ご紹介していきます。)

日本におけるITサービスマネジメントの普及状況は?

2001年のITIL®バージョン2のリリースにより、世界的にITサービスマネジメントの考え方が広まったことを受け、日本でも2003年にITサービスマネジメントの普及を推進する特定非営利活動法人itSMF Japanが設立されました。(当社代表広木はitSMF Japanの理事を2017年から務めています。)
itSMF Japanの設立以降、本格的に日本企業でのITサービスマネジメントの取り組みが開始されました。

日本でのITサービスマネジメントの適用領域はいわゆる「運用」の領域が中心であり、インシデント管理、問題管理、変更管理などが最も適用されているプロセス群になっています。

また、最近の動向として、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や事業のグローバル化といった新たな動きの中で、ITサービスマネジメントに取り組む企業が増えてきています。

ITサービスマネジメントに関する誤解とは?

日本において「ITサービスマネジメントとして認知されているもの」は残念ながら多くの誤解を含んでいます。ここで、ITサービスマネジメントの理解をさらに深めるために、インターネット等で散見されるいくつかの誤解について解説したいと思います。

ITサービスマネジメントはIT部門のためのもの?
ITが業務効率化のためのツールという位置づけだった一昔前とは異なり、今やITなしで成り立つビジネスやサービスはほとんどありません。この前提において、もはやITサービスマネジメントはIT部門だけのためのものではなく、サービスの企画、開発、運営に関わる全てのステークホルダーのためのものになっています。

ITサービスマネジメントはIT運用のためのもの?
最初に日本にITIL®が上陸した際に、「ITIL®はIT運用のベストプラクティス」と紹介され、多くのITプロバイダや製品ベンダがそれに乗っかる形でマーケティングを展開したことから、いまだにこの誤解は多く見聞きします。
上記のITサービスマネジメントの定義から、対象が運用だけでないことはおわかりいただけると思います。

ITサービスマネジメント=ITIL®?
ITサービスマネジメントとITIL®を同じものとして考える誤解も多くあります。ITIL®はあくまでITサービスマネジメントを実現するための一つの手法であり、他にも参考にできる手法は多くあります。(当社ではITIL®以外にVeriSM™、SIAM™、PMBOK®、COBIT®、IT-CMF™など多くの手法を活用しています)

ITサービスマネジメントはプロセス主導で、官僚的であり、アジリティが求められる現在のビジネス環境にはそぐわない?
これは主にITサービスの開発に従事する方々から継続的に寄せられる批判ですが、これも誤解です。確かに、バージョン3までのITIL®では、プロセスコントロールに重点が置かれていたために、そのような側面があったことは否定しませんが、最新のバージョンであるITIL4では、プロセスよりも価値の流れに重点が置かれ、Agile、DevOps、Leanといった手法も積極的に取り込んでおり、より環境の変化に柔軟に対応できるように進化しています。

ITSMツールを導入すれば、ITサービスマネジメントを実現できる?
ツールはあくまでも「マネジメント」の一要素であり、どんなに高機能のITSMツールを導入しても、それだけではITサービスマネジメントは実現できません。当社では、People(人・組織)、Process(プロセス)、Product(ツール)、Partner(パートナー)、Plan(計画と管理)の5つのPの観点をもれなく検討することがITサービスマネジメントの推進に不可欠だと考えています。

ITサービスマネジメントを適用するメリットは?

ITサービスマネジメントを適用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?
当社の「ITによるビジネス貢献フレームワーク」の6つの観点を用いて、メリットの例をまとめます。

ビジネス貢献フレームワーク

終わりに

いかがでしょうか?
今回の記事でITサービスマネジメントについての皆様の理解が深まり、ITサービスマネジメントにこれまで以上に興味を持っていただければ幸いです。

(株)IT VALUE EXPERTSでは今回ご紹介したITサービスマネジメントをコアとしたサービスを提供しています。
当社のサービスについてのお問い合わせ、提案依頼、協業のご相談等がございましたら、下記からお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://iv-experts.co.jp/contact/
IT VALUE EXPERTS Webサイト:https://www.iv-experts.co.jp/
オンライン営業窓口(ポータル):https://calendly.com/ive-online-portal

以上

※本文中に記載されているフレームワーク、ベストプラクティス等に関する商標に関する情報はこちらをご参照ください。

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