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冷静さを欠いた映画レビュー

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冷静さのかけらもない、感情にまかせた映画レビューをちょいちょい書いています。
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2022年6月の記事一覧

弾力のある強さを! --- 映画 「東京2020オリンピック SIDE:B」レビュー

映画が始まる前に、パンフレットを買いました。SIDE:AとSIDE:B、両方買いました。思えば東京オリンピック関連のプロダクトを購入したのは、これが初めてかもしれません。 私は2022年8月3日の両国国技館で行われたボクシングのチケットを持ってました。あの愛らしい入江聖奈選手が金メダルを獲得した日のチケットです。しかしそのチケットは届かず、味気のないダウンロードしたチケットのPDFデータしか手元には残りませんでした。 海外の開催と何も変わらず、テレビで見るだけの五輪。十分

わけのわからなさこそ2ちゃん都市伝説! --- 映画「きさらぎ駅」レビュー ネタバレなし

おかえりモネで私のお気に入りリストの上位に飛び込んできた恒松祐里さんの初主演作ということで、きさらぎ駅を見てまいりました。 以下、ざっとしたあらすじです。 --- 神隠しをテーマに卒論を書いている女子大生の堤春菜は、ある日実際に神隠しにあい生還した女、葉山純子を取材する。 純子は電車を寝過すことをきっかけに迷い込んだ異世界「きさらぎ駅」での悪夢のような体験を語り始めるが、取材をするうちに春菜は「きさらぎ駅」にたどり着く手段を思いついた。春菜はその手段の真偽を確かめるため、

飛びだしたがってる何かがたくさんあるのに --- 映画「Ribbon」Youtube配信版 レビュー

もうずっと、半ばライフワーク的に応援しているのんさんですが、いつの間にかいろんな人を巻き込みながら、ついに自力で主演映画を撮るところまで来てしまいました。素直にすげえなと思います。できれば映画館に足を運びたかったのですが、予定が合わず自宅で配信版を鑑賞。 以下、公式サイトのあらすじです。 のんさんはこれまで勝負をかけた大きなライブを2回自らの手で中止しています。1回目は台風が直撃した日比谷野音でのチャボとの対バン。そして2回目がコロナによる自粛で中止となったのんフェス2で

観るべき価値はある --- 映画 「東京2020オリンピック SIDE:A」レビュー

ウエストサイド、ウルトラマン、トップガン、ガンダム、そして東京オリンピック。小説「私の恋人」ではないけど、マジで2周目の人生を生きてる気がしてきます…。 イオンシネマ港北NT、15:05の回は久々の一人貸し切り状態。平日とはいえ、不入りは確かなようです。まあ同時にウルトラマンとトップガンとガンダムだから、ここでこの映画を見に来るというのはよほどの酔狂ということなのでしょう。まあ、いつの間にか北京の冬期五輪も終わってしまったし、確かに今さら感は否めない。そこへ来て河瀬監督の暴

富野の世界の片隅に --- 映画 「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」レビュー ネタバレ多少あり 2022/7/3追記

近所のイオンシネマでは上映していないので、久々にT-JOY横浜のドルビーシネマで鑑賞。2400円は高いけど、安彦良和氏へのお布施として自分を納得させはしたものの、行ってみればこの劇場のM列は最高で存分に堪能できました。 私はリアルタイムでガンダム世代、しかも当時あのバカ高い記録全集を全巻買い揃えたほどのガンダムファンではありますが、最初のガンダム以降は全く興味が無くZも逆シャアも見ていません。興味を失った大きな原因は作画監督が安彦良和ではなかったことでした。ライディーン、コ

純度100%の「怖い阿部サダヲ」 --- 映画 「死刑にいたる病」レビュー ネタバレなし

いやあ、盲点でした。嫌いじゃない。むしろ好きな役者、のはずなのに。私は阿部サダヲ主演の作品は映画もドラマも舞台も見たことがなかった。マルモのおきて、いだてん、舞妓Haaan! 、そして殿、利息でござる、それぞれちゃんと知ってたのに、ワザとではなく本当に縁が無かっただけとしか言いようがありません。役者阿部サダヲのことを知ってるようで何も知らなかったのです、私は。だから映画館でこの作品が掛かっているのを見たときは「やっと逢えたね!」という気持ちになりました。 久々にあらすじを公

リタ・モレノの「どこか」は遠く --- 映画「ウエスト・サイド・ストーリー」レビュー ネタバレあり

実はもう何ヶ月も前に観に行った映画なのですが、原稿を下書きのまま保存しておいたら、その間に世界がガラリと変わってしまい、書きたいことが全く変わってしまったので一から書き直しています。 今の今まで書くことができなかった理由を自分なりに考えてみたのですが、結局僕はこの映画が好きではなかったのだと思います。低評価、というより好きになれなかったということです。 私はロバート・ワイズのウエスト・サイド物語を見てミュージカルの魅力に取り憑かれて以来、劇団四季の公演も何度も見ているし、