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言葉は、メッセージカードのようなもの


厚志君が来る日はそわそわしている私を見て、おばあちゃんは、私の片思いにとっくに気づいていたんだろう。

そういえば、初めて厚志君が恵理ちゃんを家へ連れてきたときも、ため息をついていた私に、「あなたも何か表現する手段を持ったら?」と言ってたっけ。

「どういう意味?」と私は訊いた。こんなぼろぼろな気持ちを表現するなんて、考えただけでも最悪だ。

「心の熱いや痛いを、言葉にするのよ、あっくんはいま、コピーで表現しているでしょ。あなたもどう?やってみたら?」
「牛丼の安いやうまいでしょ。厚志が表現してんのは」
壊れそうな気持を悟られたくなくて、私は強がってみせた。

「わかってないのねえ。言葉は、メッセージカードのようなものよ」

一枚一枚に、自分の思いを書きつける。とっておくもよし、日々眺めるのもよし。必要なくなれば、破って燃やしてもいい。死ぬまでもずっと、心にしまっておいてもいい。
でも、誰かの目に、耳に触れれば、なおいいだろう。誰かに伝えられれば、なおすばらしいだろう。思いを共有できることもあるかもしれない。心と心を、響き合わせることもできるかもしれない。

言葉の力を、あなたも信じてみらたどう?

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