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4時間目 隠とん小屋にて

※このお話は100%フィクションです。
(1時間目から読んでみたい方はこちら。前回の3時間目はこちら


ここに、国から認められていない集落があった。

小さな島に築かれたその村の名前は「うさん村

この村にタツオ学院という寺子屋を作った者がいた。

ここでは嘘つき学という学問を教えている。
この世の中が嘘で回っている事実を認め、正しく嘘と向き合うことにより、悪意のある嘘に騙し騙される事がないようにという教えである。



※前回のあらすじ
嘘つき養成講座の一環で、人の寄り付かない「隠者の森」に向かったタツオとタツオ学院の生徒たちは、森の中で怪しげな人物二人と出会った。
しかし、どうやらこの二人はタツオと顔見知りの様だ。



では本編をどうぞ

いつもタツオ:「アカシ、村の皆を心配させてはならん。今すぐ帰るのだ」

メザメノ・アカシ:「…。」



すぐにスワル:「タツオや、お主は何も分かっておらんなぁ。アカシは自らの意思で、この森に住み着いたのじゃ」

いつおタツオ:「ふん。スワルよ、どうせお主が自然回帰などと抜かして言いくるめたのじゃろう」

メザメノ・アカシ:「タツオ先生、それは違います。スワル法師様は、う山で遭難して死にそうになった私を救って下さったのです」

いつもタツオ:「う山で遭難だと!なぜ商業地域で研究開発を行なっていたアカシが う山などに登ったのじゃ?」

メザメノ・アカシ:「それには少々話が長くなりますので、場所を移しましょう。我々が暮らす隠とん小屋を案内します。ついて来てください」


イチモツ・コタロー:「う山は標高3000メートル級の山だぞ。腹を空かした狼の群れが住み着いているとも聞いたことがある。あのメガネはとんだ命知らずだ」

ウマミ・スー:「きっと何か深い訳があるんじゃない?面白そうだから付いて行きましょうよ」


隠とん小屋


すぐにスワル:「ここがワシらが寝床にしている隠とん小屋じゃ。まぁ若いの、ゆるりとくつろぐが良い」

ユカノ・モプコ:「ふぅ、やっと座ったべぇ。こりゃありがとござんすぅ」

メザメノ・アカシ:「では手短にお話ししましょう」

「上の①〜③の絵を見て下さい」

①は私が作り上げた人工知能「で〜ぶランニング」です。この装置は、うさん商業地域で最も巨大なビル「バナナ社」の地下深くで稼働しております。

②はこの「で〜ぶランニング」の内部です。ミクロレベルの小さな相撲取り型の因子がランニングマシーンの上を走ることによって自家発電を可能にしました。
この小さな力士たちは、分裂や合体を繰り返し数を増やす事も減らす事も自由自在です。記憶を司る機能もあるために、どんどん知識が蓄積されていきます。

③うさん島の全体マップですが、紫のエリア内は既に「で〜ぶランニング」の監視下に置かれております。つまり電気が通っているところは、小さな力士たちが行ったり来たりでき、情報を「で〜ぶランニング」本体に伝達しているのです。

メザメノ・アカシ:「この事実を知る者は、開発者の私とバナナ社の社長だけです。」

いつもタツオ:「なるほど、村が急速に発展を遂げたのはそのおかげか。それは分かったのだが…。それとアカシが う山で遭難したのと何の関係があるのじゃ?」

メザメノ・アカシ:「あってはならない事が起こったのです。そう、あり得ないバグが発生したのです」

「全て均一の筈の相撲取り型 因子の中に、一人横綱因子が発生したのです」

「この 夜黒龍 と呼ばれる一人横綱因子はランニングしないどころか、他の力士たちを締め上げては服従させ一団を築いたのです!そう、私の方程式には無い展開」


イチモツ・コタロー:「なんか聞いたことある様な名前ばっかり出て来たぞ、あ〜うさんせぇ」

ナメック・ジロー:「待て、ここは聞いておいた方が良さそうだぞ。続けて下さい、なぜ う山に?」

メザメノ・アカシ:「夜黒龍は、開発者である私の命を狙っているんだ。で〜ぶランニングを止める事が出来る人間は唯一 私ひとりだからね。私を抹殺して、で〜ぶランニングの本体ごと乗っ取ろうと考えているのだよ。そして私は追われ続けた末、う山を登るに至った訳だ」


ガサッガサッ


すぐにスワル:「まずい、追手か。アカシ行くぞ!」



シメノ・ダイフク:「二人とも、あっと言う間に消えちゃった。しかし、今度は何だろ!」



ドンドン!

バタンッ


男:「失礼!君達ここいらでアカシという青年を見なかったか?」

イチモツ・コタロー:「わっ!最強の剣術家、う、上杉雲双(ウエスギ・ウンソウ)だぞ!本物だ」

いつもタツオ:「上杉殿。うさん警察署の署長である お主自ら動くとは、一体なにが起こったと言うのです?」

上杉雲双:「これはタツオ先生。詳しいことは言えませんが、村長に頼まれてアカシを村に連れ戻しに来ました」

上杉の部下:「上杉様。付近に焚き火の跡がありました。まだそんなに時間は経っていないものと思われます」

上杉雲双:「さあタツオ先生、どうなのですか?アカシと一緒にいたんじゃないんですか?場合によっては署に同行して頂くが…」




タタタタッ

バタンッ



男②:「探したぞ!雲双!この恨みの手裏剣を受けてみろ!」

上杉雲双:「チッ肝心な時にポスギのバカが来おったわ!仕方がない、者共 出直すぞ!」


ササッ

男②:「喰らえ火遁の術、水遁の術、隠遁の術、豊胸術? オラオラオラー!!」






ユカノ・モプコ:「あのぅ、もうとっくに誰もいねぇっすよ」


男②:「ッ!! デアリャー!」


-つづく-


〜新 登場人物紹介〜

「上杉雲双」(ウエスギ・ウンソウ)

うさん警察署の署長。剣術家で居合道の達人。刀を鞘から抜いて僅か0.3秒の早業で人を切り倒す。「鬼の雲双」の異名を持つ。
趣味は手芸にパッチワーク。小さな子グマのぬいぐるみ「ダッキー」の収集という噂も。
少女マンガ「テーラーぷ〜ん」や「亀より刺身」の大ファン。


「ペイン・ポスギ」

とにかく、脱ぎたがる忍者。「キナ臭島」で うさん警察署長の「上杉雲双」と歴史に残る死闘を演じたかったが、雲双の逆水平チョップで、たった3秒の失神KO負けを喫する。緊急搬送の為、「キナ臭島」から運び出されたときに何故か下半身露出という醜態を演じた。
忍者であるが、遂行した任務を吹聴する癖があるせいで依頼が激減。空いた時間を筋トレに費やしている。総じて言うならヒマ人で、誰も相手にしてくれないのである。


・最後まで読んでくれてありがとう!このつづき5時間目はこちら

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